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令和7年4月14日発行 第3547号 掲載

北海道農業研究センター:スマート農業技術研究会/野菜・畑作関連機器特集

 農研機構北海道農業研究センターは3月11日、オンラインで令和6年度スマート農業技術研究会「畑作体系における可変施肥」を開催した(既報)。農林水産省によるスマート農業実証プロジェクトの成果の横展開を進めるべく、畑作体系における可変施肥について同プロジェクト実証終了後も継続して取り組んでいる事業者などが実証の成果や普及に関する情報提供を行ったもので、6講演と質疑応答が行われた。この中から、JAつべつ・有岡敏也氏による「北海道における小麦、玉ねぎの可変施肥実証~土層改良施工との組合せによる効果~」、滋賀県農業技術振興センター・片山寿人氏による「滋賀県における大麦の可変施肥実証および最近の取り組み」の講演概要をみる。
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 有岡氏は北海道オホーツク地域の津別町において、令和元年度スマート農業実証プロジェクトで実施した可変施肥の取り組み成果を発表した。同地域では平成28年4月に農家74戸が参画して津別町スマート農業研究会を設立し、令和元年から同プロジェクトに取り組んだ。(株)鹿中農場を実証圃場として、「中山間地適用通信技術を活用する自動操舵一貫体系およびセンシング技術の多目的利用体系の実証」に取り組み、(1)プライベートLTEによるRTK補正情報の配信(2)可変施肥(生育センシングデータと高精度位置情報)(3)土壌改善(衛星データと高精度位置情報)(4)営農システムの機能拡充による工程管理―の技術を導入。そのうち(2)では、令和元年に秋まき小麦、2年に玉ネギの可変施肥を実施。秋まき小麦では、生育センサとワイドスプレッダを用いて、前作の生育センシング情報を活用した起生期可変施肥、リアルタイムセンシングデータを活用した幼穂形成期・止葉期における可変追肥を行い、施肥量10・2%減と収量8・7%増を達成した。また、2年目の玉ネギ作では、前作小麦可変施肥時のセンシングデータならびに、前時系列の衛星センシングデータ解析により作成した要排水改良箇所マップも活用し、排水改良と組み合わせた玉ネギ基肥可変施肥を実施。衛星データを利用した土層改良施工と基肥可変施肥により、玉ネギの規格内収量は9%増を、高機能ワイドスプレッダによる基肥の散布時間は慣行比で65%減を達成した。
 一方、実証を通じて生じた課題としては、センシングにより見える化された圃場内の生育ムラを活用し、効果的な可変施肥・土壌改善を行うには、窒素以外の要素も加味した可変施肥の実施が有効になることから、土壌改善後の土壌分析が重要になると指摘。土壌分析内容にそって、カリやリン酸も含めた可変施肥を進めることが求められるなどと語った。
 片山氏は滋賀県彦根市の(株)フクハラファームで実証を行った元年度スマート農業実証プロジェクト「大規模水田作複合経営(水稲・麦・キャベツの輪作体系)でのスマート農業一貫体系導入による環境保全型省力・高収益モデルの実証」のうち、可変施肥の取り組みを紹介。同事業では、ドローンによるリモートセンシングに基づいて、水稲では無人ヘリにて、大麦ではブロードキャスタにて可変施肥を実施。ドローンリモセンではマルチスペクトルカメラにてNDVI(正規化植生指数、植物の量や活力を表す指標)を算出し、マップ化して可変施肥に応用。大麦にてNDVIが大きいところは減肥、小さいところは増肥したところ、倒伏や品質低下を防ぐとともに、収量向上を実現できた。ブロードキャスタによる施肥は同実証では散布幅24メートルで行い、圃場面積が小さいと散布設定との誤差がやや大きくなり、省力化や軽労化が実現できた。
 また、実証期間終了後の近年の生産現場における取り組みでは、ドローンではなく、衛星画像からの地力・生育マップを作成して可変施肥を実施。地力マップからの基肥、生育マップからの追肥の可変施肥―等を行っている。そのうえで、▽これまでの取り組みでは増収効果ははっきり把握できていないが、施肥削減効果は認められる▽衛星画像は雲など天候に左右されるため必要な時期の画像を取得できないこともある▽衛星画像の利用料と肥料削減効果の費用対効果が重要―などと示した。

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