優良経営モデル示す/日本農業法人協会

公益社団法人日本農業法人協会(齋藤一志会長)は10日、「2023年全国農業法人実態調査レポート 農業法人の事業状況と財務状況の関係」を公表した。
これは「2023年全国農業法人実態調査」の1203件のアンケート回答データをもとに、近畿大学経営学部・大学院商学研究科教授の川原尚子氏が、会員法人の事業状況と財務状況の相関関係を統計分析によって明らかにしたもの。
それによると、財政状態(資本金)や経営成績(売上高、経常利益率)といった特定の財務状況の項目と、事業状況の間には、統計的に有意な相関が観察された。特に、リスク要因・対策、現在の経営課題の内容、設備投資の背景・目的・資金調達方法が、特定の財務状況と高い相関性を示すことがわかった。
内容は次の通り。
経営のリスク要因として「自身や従業員のケガ・病気」「地域における離農者の増加」「品種の海外流出」をあげる法人は、経常利益率が高い傾向。一方、「生産コストの上昇」「価格転嫁ができない」「資金調達が困難」をあげる法人は、経常利益率が赤字の傾向。
また、リスク対策として「資材購入先の変更」「収入保険への加入」「従業員の給与水準や福利厚生の改善」「民間保険への加入」「災害等に備えたBCPの策定」「経営継承に向けた計画の策定・実行」「経営統合・合併」に取り組む法人は、経常利益率が高い傾向。一方、「外国人材の活用」「特にしていない」と回答した法人は、経常利益率が赤字の傾向。
現在の経営課題として「人材定着」や「経営継承」「基盤整備」「農作業安全対策」をあげる法人は、経常利益率が高い傾向の一方で、「経営力の向上」「資金調達」「資材コスト」「価格転嫁できない」「農産物の販売価格」「国内販路の開拓」「六次産業化」をあげる法人は、経常利益率が赤字の傾向だった。
過去1年以内に設備投資を行った法人のうち、その背景として「労働力不足への対応(機械化)」「農業政策(補助事業等)による後押し」を、目的として「設備等の更新・維持・補修」「持続可能性の向上」を、資金調達方法として「自己資金」を、それぞれあげた法人は、経常利益率が高い傾向であった。
分析を行った川原氏は、農業法人の経営課題や経営判断が財務状況で相違する現状を示唆しているとし、この研究結果が、今後、よりよい経営判断や経営支援を行ううえでの資料として活用できるものと考える、と同レポートを締めくくった。









