ササキの超耕速で、畦塗機の性能実感/農家訪問・奥田克己氏(栃木県大田原市)

今年の稲作は、例年になく雰囲気が明るい。高水準の米価格により農家の懐が温かいせいだ。この機に新型機械に買い替えたい、機械の更新時期を早めたいという向きも少なくない。後継者不足、従事者不足が続く中、専業の稲作農家には作業の委託、あるいは農地の貸借を呼びかける動きが増加し、より強い機械力の導入で規模拡大を果たそうという経営体のありようが、いま農機市場に映し出されている。(株)ササキコーポレーション(青森県十和田市)が高精度の作業をスピーディーに進める価値をアピールする 超耕速シリーズ は、そうした現場の要望を受け止め、作業の効率化を図る機種群で構成されており、その良さは使ってみて分かる―考え方から、いま各地で体感会、実演会が活発に展開されている。栃木県大田原市で20ヘクタールの米づくりを営む奥田克巳氏(59歳)は、本格的な春作業にかかる前に、同社のリバース畦塗機「超耕速カドヌールエースKA530DX」の機能を味わった。同社関東営業所の細越竜一所長は、当日午前中に県内で同様の実演をこなし、昼過ぎに奥田氏の圃場に同機を持ち込んだ。「やはり作業スピードを見たかったのと、いかに丈夫な畦をつくれるか。ウチは4月20日までと、5月20日ごろの2回田植えをやるんで、続けて1カ月半ぐらいは田に入る。この間に重なる作業をできるだけ効率的に片づける必要がある。また、畦が落ちると除草剤の効き具合など影響が大きいので、丈夫で速い畦づくりが必須なんです」と奥田氏。同機をトラクタに装着する間にも爪配列や爪の形状、土の流れ、爪の減り方など、従来使ってきた機種(他社製)との違いについて細越所長に質し、畦の土台となる元畦を階段状にカットして元畦が新畦を支える階段カット、高速作業でも畦をしっかり締め込む新8枚ディスク(アクティブディスク)などの説明に熱心に耳を傾けた。3日前にけっこうな降雨があったにも関わらず圃場は乾きすぎの状態で条件は良くなかったが、試乗ではいい感触を得たようで、「しっかりつくれるのは実感した。カタログ記入の最高時速2キロまでは求めずとも、1キロでできればこれまでの倍以上の速さになるから全然違う。畦塗りは人によってこだわりのある作業で、よその作業を見ると動いているか動いてないか分からないような速度の人もいて、あれでは作業がはかどらない」と。奥田氏がサラリーマンを退職し専業的に稲作に取り組んでから12年が経つ。米価格が60キロ1万円を切る時代を経験し、作り手が価格を決められない状況に切歯扼腕の思いも抱いた。以前からJAへの出荷は皆無。商業者系への供給あるいは直販で、昨年は販売先の施設に値上げ要望もしたとのことだが、価格上昇による売上げ増加を単純に喜んではいない。「高値は嬉しいが、肝心なのは経営の先行きが見通せる安定した価格推移。いまのように展望できない状況では、農業をやる人がいなくなる」。地域農業の先細りに懸念は大きい。幸い奥田家には後継を表明している子息がいる。現在は(株)関東甲信クボタの社員。直進機能付き田植機、防除用ドローン、色彩選別機、また、超耕速シリーズではハローを3年前から導入と、様々な機械化情報は子息を通じて入ってくる。ただ、機械の大型化とともに価格のほうも高額化しており、今後、スマート農業を実践していくにはコストとの見合いがより重要になる。「そのためにも利益の出る営農を持続することが第1。米に特化しているのは、それだけ機械投資を抑えられるからです。とはいえ、新しい機械が買えると張り合いも出るね」と笑う。奥さんとの2人労働では現状規模が限界という。ゆえに作業効率化は絶えざる課題。その道を追求しつつ、日々の細かな栽培対応、天候推移に合わせた技術対応に喜びを見出す。「朝夕2時間、田を見て回って、自分の工夫がうまくいった時の小さな喜びを積み上げ、それが出来栄え、収入という大きな喜びにつながる。だから日々勉強。そこに農業の面白味がある」今年の諸条件も楽観はできない。豊かな秋の稔りに向け、奥田氏の工夫と努力は尽きることがない。









