「新しい林業」の実証成果/躍進2025林業機械(11)

伐採から再造林・保育に至る収支のプラス転換を可能とする「新しい林業」の取り組みが着々と進んでいる。2月5日に開催された令和6年度の林業イノベーション現場実装シンポジウムの第3部で「新しい林業経営の事例」として経営モデル事業での12事例の成果と課題とともに「ICTを活用したCTLシステムによる垂直統合型経営モデル」の現状報告が行われた。「長期にわたる持続的な経営」を実現できる林業事業体の育成を目指す取り組みの成果をみた。
新しい林業経営の事例として発表したのは、住友林業(株)の岡田広行と(株)柴田産業の柴田智樹の両氏。題して「ICTを活用したCTLシステムによる垂直統合型経営モデルの構築」について。令和3年度から3カ年かけて実施した「『新しい林業』に向けた林業経営育成対策のうち経営モデル実証事業」で構築した「素材生産管理システム」の手応え、今後の展望について語った。
実証主体の林業経営体として取り組んだ(株)柴田産業。岩手県北部、青森県南部をテリトリーとして、素材生産、森林整備、木材製材、チップ製造、木材加工の業務を展開。年間の素材生産量は、約4万3000立方メートル(2023年度)。社員数は45名で、グラップル12台、フェラーバンチャ3台、ハーベスタ5台、フォワーダ7台、トラック9台、チッパー2台と、高性能な林業機械を保有する林業経営体として知られている。
実証事業で進めたテーマと課題は、1つは「素材生産から再造林、製材を含めた垂直統合モデルの構築」。2つ目が「日本版CTLシステムの確立」、その上で「ICT林業生産管理標準仕様(StanforD日本版)」の普及に取り組んだ。
垂直統合モデルの構築では、「特別な合意形成の必要なく経営者の判断で進めることができる」をテーマとして、一定以上の立場がITリテラシーを持つ必要があるとの課題に対応した。
日本版CTLシステムの確立については、素材生産において少人数でも高い生産性を発揮できることをテーマに掲げて安全かつ快適な職場環境を目指した。その際、適用可否の判断が重要となる上、投資額が大きいことから、稼働率の向上と事業地確保を重視した。
また、「ICT林業生産管理標準仕様」の普及では、StanforD形式のデータに対応することで作業班内のサプライチェーンにおけるデータ連携・共有が容易になるものの、同形式でのデータ出力に対応した国内のハーベスタが少なく、簡易に閲覧できる汎用ソフトも少ないという課題に直面した。
令和4、5年で作り上げた「素材生産管理システム」の概要をみると、ドローンレーザー計測によって資源量・現場状況を把握するとともに、生産管理機能として現場からの定量情報・地理的情報を基に進捗状況を把握。6年度は作業進捗管理機能の実証を進めて生産計画のICT化を図った。
その結果、「できる技術が手に届くようになった。他産業と同じようになった」と手応えをつかんでおり、あくまでも私見と断った上で「新しい林業とは、最新の技術を用いて、当たり前の経営を行うこと。新しい技術が手に届くようになった今こそがDX(変革)の好機」と位置付けた。









