畑作体系の可変施肥でスマート農業技術検討会/北海道農業研究センター

農研機構北海道農業研究センターは11日、オンラインで令和6年度スマート農業技術検討会「畑作体系における可変施肥」を開催した。農林水産省によるスマート農業実証プロジェクトの成果の横展開を進めるべく、畑作体系における可変施肥について同プロジェクト終了後も継続して取り組んでいる事業者などが実証の成果や普及に関する情報提供を行った。
開会あいさつした農研機構みどり戦略スマート農業推進室・川嶋浩樹氏は、250名以上の参加登録があったことに謝意を述べた後、令和元年度からスタートした同プロジェクトでは全国217地域で実証が行われたが、本日はこれらの実証成果の社会実装を加速する目的で実証事例や普及に関する情報を共有すると趣旨説明。本日の議論が、環境負荷低減や農業者減少など地域の課題の解決の一助になることを願うなどと語った。
次いで講演が行われた。まず同機構同推進室・長澤幸一氏が「『スマート農業実証プロジェクト』における畑作体系の可変施肥実証の事例」の全体概要を説明。可変施肥実証は概ね北海道にて行われ、可変施肥ブロードキャスタの活用が多く、作目は小麦やキャベツ、玉ネギなどであったとした。一方で畑作の可変施肥は地形や礫、輪作体系などの影響により、水田に比べて難しいとの声があり、作業面積の拡大や可変施肥機以外のスマート農業技術との組み合わせなどの検討が必要などと示した。
一方、(株)ズコーシャ・横堀潤氏は「北海道における窒素肥沃度のセンシングによる可変施肥」と題して、鹿追町で行った実証について報告。土壌中の窒素肥沃度の高低が作物生育に影響することから、ドローンによる圃場の撮影画像データと、実測の熱水抽出性窒素を照合して肥沃度を計測し、さらに堆肥や残渣などの有機物施用履歴を掛け合わせて、土壌肥沃度ベースの可変施肥マップを作成。同マップをもとに施肥設計を行い、ブロードキャスタにて可変施肥を行ったところ、テンサイ・バレイショともいずれの圃場でも減肥かつ増収を達成できた。特にテンサイでは、肥料55%減かつ収量10・3%増を達成した圃場もあったという。コスト面もこれら可変施肥を実施したことにより、肥料削減と増収により、10アール当たりで平均1万5612円の経済効果があったとした。 さらに同社は、可変施肥効果の高い圃場の識別方法として、圃場の衛星画像を使用して、表層の土壌腐食含量並びに作物生育を示すNVDIとの相関を検討し、可変施肥効果が高い圃場を抽出する方法を開発したなどと紹介した。
その他、JAつべつ・有岡敏也氏による「北海道における小麦、玉ねぎの可変施肥実証~土層改良施工との組合せによる効果~」、滋賀県農業技術振興センター・片山寿人氏による「滋賀県における大麦の可変施肥実証および最近の取り組み」などの報告と、北海道から道内の畑作地帯の可変施肥の普及について、農林水産省からスマート農業推進について情報提供が行われた。









