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令和7年3月24日発行 第3544号 掲載

令和6年度エネルギー安全保障セミナー開催/外務省

 外務省は4日、都内新宿区のコモレ四谷タワーコンファレンス及びWebにて令和6年度アジア・エネルギー安全保障セミナーを開催した。
 これはエネルギー安全保障における日本の取り組みや国際連携の必要性等に関する理解促進を目的として同省が毎年開催しているもので、今年度は「エネルギー移行におけるエネルギー安全保障」をテーマとして、クリーン・エネルギー移行に不可欠な重要鉱物などを取り上げ、各国のシンクタンク・国際機関の専門家と議論を行った。
 開会あいさつした同省経済局審議官の林誠氏は、今回はクリーン・エネルギー移行が進む世界において、エネルギー安全保障がどう変わるのか議論を深めたいと説明。世界のエネルギー安保をめぐる状況は複雑化しており、各国とも気候変動対策のためネットゼロ実現に向けクリーン・エネルギーへの移行を加速しているが、一方でエネルギーは国民生活や経済活動の基盤であり、安定供給を損なわないよう安全で秩序あるエネルギー移行を進める必要があると述べた。
 石油・天然ガスといった従来のエネルギー源確保は今後も重要であり、地政学的リスクに注意を払うと同時に、クリーンエネルギーへの移行が求められ、太陽光・風力などが導入されるにつれ、エネルギーの安定供給など新たな課題も出てきている。電力インフラに対する安全確保や、クリーンエネルギー移行に不可欠な重要鉱物のサプライチェーンの強靭化の重要性も高まっているという。エネルギー安保をめぐる状況が転換期にある中で、今日はこれからの課題と国際社会の取り組みについて議論を深め、現在及び将来におけるエネルギー安保に対する理解を深めることを期待したいなどと述べた。
 その後、登壇者によるプレゼンテーション及び議論が行われた。
 プレゼンでは、▽国際エネルギー機関(IEA)シニアアナリスト・ローナン・グラハム氏▽米国戦略国際問題研究所(CSIS)エネルギー安全保障・気候変動プログラム・シニアフェロー・ジェーン・ナカノ氏▽東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA)エネルギー政策局長及びアジア・ゼロエミッションセンター長・ヌキ・アギャ・ウタマ氏▽日本エネルギー経済研究所(IEEJ)資源・燃料・エネルギー安全保障ユニットガスグループ研究主幹・柳沢崇文氏がそれぞれ講演した。
 そのうち、グラハム氏はエネルギー安全保障における伝統的課題及び新たな課題と題して講演。グラハム氏はまず、IEAについて世界のエネルギー安全保障の確保を基本的な使命としていると紹介。そのうえで、従来のエネルギーである化石燃料の動向について、石油の生産は2030年に向けてOPEC(石油輸出国機構)の生産能力の増大により増産すると見込まれ、ガスについてもLNG(液化天然ガス)の液化能力の向上により増産が見込まれるとし、ある程度は供給断絶のリスクが緩和されているとした。しかし、運輸にあたりマラッカ海峡やホルムズ海峡を通過する中東からの供給割合が多いことから、アジア輸入国にとって地政学的リスクが避けられないと指摘。今後の石油・ガスはアジア太平洋地域など、新興国・発展途上国において消費量が著しく増加し需要を牽引するため、それらの国々におけるエネルギー安全保障や緊急時対応がますます重要になると述べた。
 一方で、環境問題対応などを背景に「電気の時代」に移行するにつれて、従来の需要に加えてEVやデータセンター、ヒートポンプなど新しい技術の電力需要も増え、世界の年間電力需要が著しく増加していると説明。それに伴い、電力の安全性が最も重要になると述べ、世界的に膨大な追加発電能力が必要となり、太陽光発電や風力発電などクリーンエネルギーに対する投資が増加しているものの、膨大な電力の安定供給を実現し、安全性を確保するには、短期的・季節的な柔軟性が必要になるという。また、多くのクリーンエネルギーの製造業や、エネルギー関連の重要鉱物は、中国をはじめとした数カ国に集中していることも安全保障における課題などと指摘した。
 他方、柳沢氏は「エネルギー安全保障とエネルギー転換に関する日本の視点」について講演。柳沢氏は日本政府が今年2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画について触れ、同計画では、2021年以降、日本を取り巻くエネルギー情勢が劇的に変化しており、日本のエネルギー安全保障に不確実性が高まっていることを指摘。これに対処するため、日本は2040年度に向けて様々なエネルギー需要シナリオを準備する必要があると述べ、特に長期LNG契約が重要な役割を果たすことに期待が傾けられているが、あらゆるエネルギー源及び供給国には長所と短所、不確実性があるため、万能薬ではないと説明した。
 日本は同盟国であるアメリカとエネルギー協力を強化することが予想されるものの、米国への過度依存は日本のエネルギー安全保障の脆弱性を招くことから、日本はエネルギー源及び供給国の双方において多様化を継続的に追求するとともに、企業活動のみでは解決できない困難には日本政府の支援や関与の必要性もあるなどと述べた。

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