施設スマート化図る/施設園芸協会総合セミナーから

既報の通り、一般社団法人日本施設園芸協会(大出祐造会長)は1月28、29の両日、都内のタワーホール船堀にて、第46回施設園芸総合セミナー・機器資材展「日本の施設園芸の将来像~未来へ繋ぐ革新と挑戦」を開催、参加者とともに将来像について議論した。ここでは、同セミナーで行われた講演の一部概要をみる。
28日の第1部では「日本の施設園芸の将来像をどう描くか?」をテーマに、4講演を実施した。そのうち、農林水産省農産局園芸作物課課長補佐・児島貴郎氏は「スマート化やグリーン化等の施設園芸関係施策について」を講演。先般改正された食料・農業・農村基本法において、食料安保や環境と調和のとれた食料システムの確立、農業の持続的発展などを掲げており、その実現に向けた方策の1つとしてスマート化を進めているとし、施設園芸においてはスマートグリーンハウスの導入を図っているとした。これはロボット・AI・IoT等の先端技術を活用し、生産性の飛躍的向上と大幅な省力化を実現するもので、具体的には、(1)環境・生育データに基づく低コストで最適な環境制御(2)各作業の自動化(3)作業データ・収量予測等に基づいた生産管理を行う施設としている。同省はこうした施設への転換を図るべく、スマート農業技術活用促進法にて生産方式革新実施計画や開発供給実施計画の認定を行っているほか、スマート農業技術カタログで施設園芸関係の173技術を公表。また、スマート農業実証プロジェクトにて毎年施設園芸の技術について実証を進めているなどと紹介した。
一方、グリーン化については、改正食料・農業・農村基本法で化石燃料依存からの脱却を図ることが掲げられ、みどりの食料システム戦略にて施設園芸の2050年ゼロエミッションを目標にしている。その実現を進める方策として、まずは2030年に向けて化石燃料のみに依存しないハイブリッド型施設園芸設備(ヒートポンプ、再生可能エネルギー、地域未利用資源の利用など)の導入支援や、環境制御技術等を活用した適温管理による省エネルギー化を促進することにより、GHG(温室効果ガス)の削減を図りつつ、ゼロエミッション型園芸施設の実現に向けた技術開発を進めることが重要などと語った。
その他、施設園芸関連の国の施策として、燃料価格高騰対策や園芸産地における事業継続強化対策、農業用廃プラスチック適正処理、園芸施設共済への加入促進などを紹介した。
一方、横浜丸中ホールディングス(株)専務取締役・岡田貴浩氏は「加工・業務需要と施設園芸の取り組み事例」を講演。横浜丸中グループは神奈川県の中央卸売市場を拠点に、県内の青果物の卸売販売から加工・配送までをワンストップで提供している。グループのうち、カット野菜事業では、中食・外食のバックヤード向けに業務用カット野菜を加工している(株)FRESCOヨコハマ、消費者向けの市販用袋・カップサラダを加工している横浜市場センターカット事業部の2件のカット工場を10年以上運営していると紹介した。その背景として、食の外部化に伴う加工業務用需要は年々高まっており、野菜の世界でもサラダ等の総菜やカット野菜等の「即時性」食品や、冷凍野菜・冷凍調理食品・料理キットなどの「時短」食材の利用が増加していることがあるという。さらにコロナ禍によって中食の増加や外食企業の中食事業化(テイクアウト・デリバリー・メニューの冷凍食品化)、業務筋における人手不足を反映した前処理・一次加工品等の利用の増加があるなどと状況を説明した。
そうした情勢を踏まえ、同社で実施している商品開発の事例として、農業法人(株)鈴生との合弁会社TEN Green Factoryの取り組みを紹介。同社は静岡県磐田市の太陽光利用型の水耕栽培植物工場。大手コンビニベンダー向けの葉物野菜を栽培しており、鈴生が主に生産・販売を手掛け、横浜丸中グループへ販売先の確保や開拓を依頼している。栽培品目40種類のうち、商品化したのはホウレンソウ、バジル、サンチュ、ルッコラの4種で、主軸はコンビニ向けサラダホウレンソウだという。太陽光型植物工場の課題は1年で最も生産量が少ない1~2月が年間契約量の最大値となるため、他月の過剰生産が必要であることや、初期投資が大きい、光熱費や資機材価格の増加、生産技術の確立など多い。しかし、年間売り上げが確保しやすく、環境調節が可能で作業環境が充実するなどメリットも多く、売り上げも年々伸びているなどと語った。
(株)誠和商品開発部長兼(株)トマトパーク取締役・杵渕覚氏は「施設園芸の経営(大規模化に伴う黒字化へのポイント)」と題して、誠和グループにて大規模トマト農場経営を手掛けるトマトパークの取り組みを紹介。オランダの先進技術を取り入れた同農園は、大玉トマトで10アール当たり50トンと高収量を経営方針の1つに掲げて設立されたが、経営実態はエネルギー高騰や病害虫の影響、労務費の増大などにより赤字が続いたと述べ、これを黒字に回復させる過程で大きな学びがあったと述べた。例をあげると、燃油代の高騰により大きな打撃を受けたが、徹底した葉かきによる蒸散量の低下や、CO2の管理水準変更、太陽熱利用による温度管理の変更など栽培戦略によりLPG使用量の削減に成功。
大規模農場の黒字化においては、大規模化・高効率が必要になるため、高収量栽培による生産性の向上が必須になるとし、そのために労務分析・作業効率の向上やロボットなど自動化技術の導入、代替エネルギーの活用を含む省エネ栽培技術の研究、集団化等による独自販路の構築などが効果的などと語った。









