農機の今後10年を展望/関東農業食料工学会大会から

関東農業食料工学会(北村豊会長)が15日に千葉大学松戸キャンパスで開催した2024年度関東農業食料工学会第60回年次大会から、学会創基60周年記念セミナーの一部概要をみる。
冒頭、挨拶した北村会長は、「学会創基60周年にあたり、農業食料工学の研究・開発における過去10年の歩みと未来の10年を展望する講演会だ」と同セミナーの趣旨を紹介し、「講師は皆それぞれ研究、実業の分野で活躍してきた3名であり、これからの10年について希望をもって迎えられる話を聞けるので楽しみにしてほしい」と期待を寄せた。
セミナーでは、農研機構農業機械研究部門所長・長崎裕司氏による「農業食料工学の10年の歩みと未来展望~農機研の取組を通して~」、筑波大学生命環境系准教授・トファエル アハメド氏による「農業食料工学の10年の歩みと未来展望」、JA全農施設農住部・土方享氏による「農業共同利用施設の設置運営の将来を考える(施設の計画・設置・運営にかかわる課題と展望)」の3講演と質疑応答が行われた。
長崎氏は農研機構農業機械研究部門(農機研)も2022年に設立60年を迎えたとし、農機研の取り組みとして、スマート農機開発を中心としたこれまでの10年の歩みと、今後の方向性について紹介。農機研の主な業務は設立から60年にわたり農業機械の開発改良、農作業安全・検査業務、国際標準化と変わっていないとし、この10年における取り組み例として、2022年度にIHIアグリテックと共同開発したリモコン式小型ハンマーナイフ草刈機を示した。
また、近年の大きな流れとして、研究開発に係る2施策である(1)みどりの食料システム戦略(2)スマート農業技術活用促進法が出されたことをあげ、これらは農機研のミッションである「生産性向上と環境保全の両立に寄与する農業機械の開発・現場実装及び事故ゼロに向けた農作業安全システムの構築」に一致すると説明。我が国が目指すSociety 5・0を実現するべく、ICTを活用したスマート農業を推進しているとし、水田農業におけるICT技術の取り組み例として、田植え作業と苗補給を1人で実現可能な自動運転田植機や、両正条田植機などを紹介した。
一方で、スマート農業技術については期待が大きい反面、他社間データ連携がされておらず使いづらいなどの声もあり、農機メーカーによる農機APIの実装・公開も進めているなどと述べた。
今後の方向性としては、生産性向上と持続性の両立に向けて、農・食産業向けのAIとロボット技術を活用したスマート農業技術の開発を進めることが重要であり、多様なプレーヤーと連携して、農業を強い産業にし、Society 5・0を実現していくと語った。









