EIMAが示す農の未来:AGFM社視察同行紀 進化する欧州農機/イタリア・国際農機展レポート7

前回に引き続き、EIMAへ商談に訪れた(株)アグリフォレストマシーン(北海道空知郡南幌町南15線西22、以下AGFM社)の代表取締役CEO・山田俊作ダニエル氏、アグリビジネス部技術部長・櫻井雄治氏による見本市視察の同行紀後編をお届けする。世界中から農林業機械を正規輸入し、国内農家に販売しているAGFM社が注目する最新の欧州機械をみる。
EIMA2日目、続いて山田社長と櫻井部長が訪れた小間は、デンマークのFarmDroid社。同社は2018年創業の、太陽光エネルギーで駆動する自動播種・除草ロボットFD20を世界展開しているスタートアップである。FD20は、家族が営んでいた有機農業の除草作業を創業者兄弟が手伝った際に、手作業の大変さを実感したことから開発した「農家発の技術」であり、「全自動播種・除草ロボットは世界初」(同社)。
2019年に12台、2020年に40台と年々販売が拡大していき、2024年夏には世界23カ国に500台を販売した。日本にはまだ未入荷だが(昨年11月取材当時)、AGFM社は福島大学からの要請を機に輸入に取り組み、厳しい交渉・審査を経て、昨年夏にFarmDroid社と代理店契約を結んだ。AGFM社が正規代理店となったことで、今後の国内普及に期待がかかる。
FD20は、誤差数ミリの精度を誇る高精度RTKを使用して、播種中に作物の位置をマークし、その後、列間と列内の雑草を機械的に防除する(RTK基地局設営が必要)。さらにスポット散布を行うスプレヤー機能も備え、位置情報を活用して正確に散布することで薬剤使用量を最大94%削減。ソーラーパネルを4枚搭載しており、太陽光エネルギーで駆動し、蓄電池の併用により最大24時間稼働できる。条間22・5センチ以上で、本体作業幅は最大3・5メートル、時速950メートルで移動。1台当たり25~30ヘクタールをカバーするコンセプトで、1日当たり最大6・5ヘクタールの作業が可能。適合する作物はキャベツや人参、玉ネギ、レタスなど50以上で「野菜など小さい種に最適」(山田社長)。
ロボットの作業進捗状況はスマホで常に確認でき、トラブル発生時には通知が来る他、デンマーク本社においてもトラブル情報を収集しており、テレビ電話で対応方法を教えてくれるそうだ。
同機について櫻井部長は「センサーやカメラではなく、位置情報で作物の場所を管理して精密農業を行えるのが一番の特徴」と語る。「場所の管理により、雑草が伸びる前に作物周りの除草が可能。スポット散布もでき、その量やスピードは従来のセンサー技術を活用しているので、新旧の制御技術を融合した機械だといえる。この機械を日本で活用できれば、播種した場所を毎日自動除草できて、さらなる効率化や無人化、精密化につながる」(櫻井部長)。
山田社長は「無人化・省力化・エコを両立した機械。雑草が根を張る前に除草できるので常に草がない畑になり、土の栄養分をすべて作物に向けられる。ソーラーパネルで、ランニングコストがかからないのもポイント」という。「農業者1人で機械5~6台を動かして、圃場を回って機械の作業進捗を監視するというのが今の欧州農業の典型的なスタイル。日本にはまさにこれからの技術であり、今後拡大していくであろう有機農業、低農薬農業、精密農業に興味がある生産者にピッタリ」と日本での拡販に意欲を見せた。
また、山田社長らはこうした取引先との商談の合間に、広いEIMA会場を精力的に見て回り、新しい機械の情報収集を盛んに行っていた。
一部をみると、2日目午後にはイタリアの作業機メーカーDI RAIMONDO社の小間に立ち寄った。
同社は耕うん機、ディスク式プラウ、ハロー、サブソイラー、牽引式ストーンピッカー、地ならし用ローラーなどを製造している地元ブランド企業。小間には油圧式ディスク耕うん機「RAPID」モデルをはじめ、5本サブソイラー「RCH」シリーズなどの大型作業機の展示があった。
RAPIDは反対方向に2列のディスクがあり、表面を1回のパスで処理できることで破砕、混合、平坦化、圧密化など、複数の作業を同時に実行可能という。「油圧シリンダーをそれぞれ別々に制御できるのが特徴。簡単に土だけ砕きたいとなるとこうした機械も必要で、休耕田や耕作放棄地を耕すのに使えるかも」と櫻井部長。
さらに、イタリアメーカーMINGOZZI GROUPによる火炎除草機にも目を止めた。
これはガスを用いてバーナーで火炎放射を行い、雑草を燃やす技術で、炎の動作状態は電子制御ユニットによって制御される。雑草防除に加えて、霜に強くなる効果もあるという。山田社長によると「農薬を使わない有機農業の除草は、手作業か、GPSやセンサーを用いた機械除草か、火で燃やすか。欧州ではオーガニックファーマーの一定数が火炎除草機を活用している。日本にはまだない機械」とのこと。
「こんな面白い機械があったよ、とブログやSNSに載せると『興味がある』という人が出てくる」と笑う。AGFM社では、山田社長らによる積極的な海外情報収集とその発信が新たなビジネスを生んでいる。
半日ほどの同行取材の合間に、櫻井部長に改めてEIMAの感想を聞くと、「国際農機展に来たのは初めて。世界でどんな機械が出ていて、どのように進化しているのかといったことに興味があった。実際にEIMAで農機を見て、大型化だけでなく、確実に精密化が進んだと感じる。この5年10年でコンピュータやICT制御の技術が飛躍的に進んだことに伴い、精密農業が大きく進展した。欧州は日本に比べて国をあげて農業に力を入れている背景もあるので、そうした点で日本よりもさらに進化が進んでいると感じた」と語ってくれた。
AGFM社はそうした進化する農機にいち早く目をつけ、日本に輸入し続けている。同社による世界の技術の国内展開に、今後も目が離せない。









