MENU
令和7年2月10日発行 第3539号 掲載

気候変動適応センターが米の将来予測と対策セミナー/田植機・育苗関連機器特集

 国立環境研究所気候変動適応センターは1月21日、令和6年度第4回気候変動適応セミナー「米の将来予測と対策」をオンラインで開催した。同セミナーでは、同センターアジア太平洋気候変動適応研究室室長・増冨祐司氏による「地球温暖化が水稲品質に及ぼす影響と適応策」及び、新潟県農林水産部農産園芸課参事・瀧澤明洋氏による「気候変動リスクに対応した新潟米の技術対策」の2講演と、パネルディスカッションが行われた。概要をみる。
 増冨氏は温暖化による水稲品質への影響として、日本全国平均では長期的な影響はみられないものの、都道府県ごとでは一等米比率の推移がバラバラになっており、特に西・南の府県は一等米比率が概して低いと指摘。令和5年の高温による水稲への影響は、白未熟粒の発生が全国の5割程度で、その他、粒の充実不足や虫害の発生、生育不良、胴割れ粒の発生、登熟不良がそれぞれ同1割程度で発生したと述べ、白未熟粒の発生が断トツで多いと説明した。高温による白未熟粒の発生では、高温によって米粒が白濁化することで、美味しくない・等級が下がる・収量が減るなどの被害が出ているという。
 そして増冨氏は、さらに温暖化が進むとどうなるかという疑問を提示。IPCCが示した最も気温上昇が高くなる地球温暖化予測RCP8・5シナリオでは、2040年には2010年に比べ平均気温が1・6度C高くなると見込まれ、日本の平野部を中心に、約3分の1の水田で白未熟粒が発生し、年間約400億円の経済損失が出ると見込んだ。
 その対応策として、水稲における様々な適応策を紹介。育種や高温耐性品種の導入が効果的であることを示す一方で、時間がかかり、生産者・消費者に受け入れられるかは未知数であることから、現場レベルの適応策として、水管理に注目。中干しや深水管理、かけ流し灌漑や昼間深水・夜間落水管理、飽水・保水管理などの方法をあげ、水管理である程度水温を下げられる可能性があることを示唆した。
 一方、瀧澤氏は米どころ新潟県の高温対策の取り組みを紹介。それによると、令和5年度は稲作期間を通じて高温で推移し、特に8~9月は記録的な高温が続き、日照時間が多く雨が少なかったことから、作況指数は95のやや不良となり、コシヒカリを中心に白未熟粒が多発し、1等米比率が著しく低下した。高温で発生する白未熟粒は、出穂後1~20日の平均気温が27度C以上で多発生することがわかっており、5年度は主要3品種のコシヒカリ・こしいぶき・新之助の全地域で27度C以上となり、著しい品質低下をもたらした。
 そこで、同県は平成23年に制定した新潟米異常高温時等管理対策指針に基づき、原因を究明するべく、有識者や関係団体、県職員による「令和5年産米に関する研究会」を設置。同会は気象経過、技術対策の状況と品質低下の要因を検討し、農業者や関係団体等から意見を求めながら、次年度および中・長期的な対策を提言し、報告書にまとめた。
 報告書によると、5年産コシヒカリの1等米比率低下要因は、気象要因としては災害級の異常気象だが、栽培要因としては一部圃場で追肥不足による地力低下が起き、未熟粒の発生助長につながったと指摘。今後の対応方向として、将来的には高温耐性品種を中心とした品種構成の生産に移行するものの、当面は作期分散や後期栄養の確保等の技術対策を強化するとした。具体的には、短期的な対策として作付け計画の見直しと肥培管理による後期栄養の確保、適期収穫と適期乾燥・調製、土づくりなどを措置。
 6年産米の取り組みでは、こうした短期的な対策を周知し、高温・渇水のリスクを考慮した作付け計画の見直しと実践、後期栄養の確保に向けた環境づくり、水不足が懸念される地域での用水の有効利用に向けた話し合いを進めていった。直播面積の増加や品種構成見直し、育苗様式の組み合わせなどによる作期分散を図ったほか、施肥管理・水管理による後期栄養の確保を行い、6年産米においても高温で厳しい気象条件であったものの、1等米比率は、5年度よりも回復し、平年並みを確保。白未熟粒の発生は大幅に減少したものの、降雨や倒伏による収穫作業の遅れから除青未熟・胴割粒が増加した。
 こうした結果を踏まえ、7年産においても重点取り組みに▽異常高温対策▽初期生育対策▽倒伏対策▽作業遅れ対策―を掲げて、6年産と同様の取り組みに加え、育苗期間や移植後の水管理の適正化による早期良質茎確保と倒伏防止などを進めていくなどとした。

カテゴリー別最新ニュース