有機水稲栽培の抑草技術/関東農政局がみどり戦略勉強会

関東農政局は1月23日、みどりの食料システム戦略勉強会(第27回)をオンラインで開催した。同会の1~3月のテーマは「役に立つ!有機農業の栽培技術」。その初回となる今回は、公益財団法人自然農法国際研究開発センター専門技術員の三木孝昭氏が登壇し、水稲有機栽培の抑草技術について解説した。
同センターで水稲栽培技術の研究・開発を20年以上行う三木氏はまず、有機農業の課題として、気候や各種条件に合った適切な技術を組み合わせることが必要なため、再現性が難しい点をあげた。目の前の事柄に個別技術を当てはめるだけではうまくいかないことも多く、圃場全体の状況を把握して多様な技術を連携させ、農地の生態系を整えることが重要であるとした。
続いて、様々な条件下での米ぬか除草の効果を検証した結果を提示し、「米ぬか除草をすれば雑草が抑えられるというわけではない。その前提条件となる状況をうまく整えたうえで米ぬか除草をしなければ、生産が安定しない」と指摘。水稲有機栽培は、移植までの管理で抑草の状況が変わるとし、そのポイントとして▽良い圃場環境と土づくり▽健康な苗の育成▽好適な移植時期と栽植密度―の3点をあげた。
現在、畑や牧草地などの有機農業は年々増加している一方、田は横ばいの状態が続いている。水稲有機栽培が広がらない理由の1つとして、三木氏は、有機質肥料による異常還元が、負のスパイラルを作っていることをあげた。有機栽培だからと、深く考えずに有機質肥料を使い続けることで土壌が強還元化し、水稲根が傷むなどの初期成育悪化が起こり、雑草や害虫が増加して生産コストが増加、品質も不安定になり収量が低下、そしてさらに有機質肥料を投与―というループに陥ってしまう危険性があるという。
このような状況を避けるためにも、移植までの非栽培期間の土壌管理が非常に重要であると強調。適度な日減水深、平らな耕盤、過不足のない養分供給など、基本に忠実な環境作りを行い、理想的な田んぼに整えることが大切だと説き、「稲が喜ぶ環境を作ることで、雑草はおとなしくなる」とした。
さらに、米ぬか除草を施用した秋耕の排水田は、湛水田の春耕・秋耕や排水田の春耕に比べ、出穂期の稲乾物重が増加した一方、雑草は大幅に抑制されたという実証結果を示し、水稲有機栽培では、地温が高く稲わらの分解が進みやすい秋に栽培を開始することを推奨した。
そして、目の前にある課題や実績から考えるのではなく、将来の理想的な状態から逆算して、今何をやるべきかを考えることが、安定的な抑草体系など有機水稲栽培の成功につながるとアドバイス。
同センターの技術指導においては、年間を通じて「稲が育ちやすい状態のイメージ」を持ち、抑草の成否が決まる稲刈りから移植までの非栽培期間の管理技術と、円滑な秋処理に向けた移植から稲刈りまでの管理技術のそれぞれの重要性を述べ、それを生産者らと共有している。三木氏は、互いの認識のズレをコミュニケーションで補正しながら、理想的な状態に近づけるよう個別技術の最適化を目指すことが重要であるとした。









