ヤンマーアグリジャパン・田村裕己氏/欧州農機視察団員レポート

この度は第77次農経しんぽう欧州農機事情視察に参加させていただき、心より感謝申し上げます。今回は、国内各メーカー17名にて7日間にわたりイタリアでのEIMA2024展示会とMaschio社工場視察、フランスでの農機販売店LE GOFF&GILLE、日本人農家の山下農園様の4カ所を訪問させていただきました。私自身、初めての海外ということもあり、見るもの全てが新鮮で、これまでの人生にはない新しい経験をたくさんさせていただきました。
イタリア視察初日に訪れたEIMA2024の展示会では、21の展示会場に1750の出展企業から6万点を超える出品があり、開催5日間での来場者は約35万人と、日本では感じることのできない規模の大きさや来場者の人数に驚きました。大規模農業の市場から各社300PSを超える大型トラクタやコンバインの展示が圧巻でしたが、欧州ならではの景観整備作業等に活躍する小型トラクタや、乗用モアの分野ではヰセキイタリア社のシェアが高く、クボタイタリア社ではM7以外は日本製の小型トラクタを主軸に2028年を目処に完全EV化を目指すとし、ヤンマーイタリア社は大型トラクタの野外ブースにてYT359での小回りを活かした旋回デモンストレーションを実施するなど、日本製トラクタの技術と強みにフォーカスを当てた販売戦略に学ぶべき点を感じました。また、欧州でも後継者問題は深刻だと聞いていましたが、来場者は家族連れが多く、子どもたちや次世代を担う若者にも楽しめる工夫が随所に散りばめられており、私個人の視点から見ても農業という職業は国を支える魅力的でカッコイイ職業だと感じられる部分が心に残りました。
2日目に訪れたMaschio社では、担当者による概要説明と2カ所の工場を視察させていただきました。ロータリーハローなどの土耕機のプロフェッショナルとして世界的に活躍し、1994年にはガスパルド社をグループに加え播種機やスプレヤーにおいても現在高い評価を獲得しているメーカーです。5つある工場では24時間シフト3交代制にて1つの工場で300以上の工程を踏んでいますが、工場内は生産性が高くムダのない動線が確保されており、安全かつクリーンな印象で驚きました。また、ロボットを使用し効率を上げる一方で、繊細な作業は全て人の手によって実施されており、品質へのこだわりとプライドが感じられました。今回急遽決まった視察でしたが、帰り際に現地ケータリングによる食事も提供してくださり、イタリアの人柄や文化にも触れることで、同業者として尊敬と感謝の気持ちで胸が熱くなりました。
3日目のフランスでは農機販売店LE GOFF&GILLEを視察させていただきました。郊外に位置する田舎の販売店といったイメージですが、約400世帯の顧客をもち、新品から中古まで幅広く扱い、修理も自社にて行われていました。社長は気さくな雰囲気で、町に欠かせない販売店という印象があり、店舗運営に関しても日本の販売店に共通する部分が多く親近感を抱きました。
午後からの山下農園様訪問では、農園主の山下朝史さんから、29年前にパリに来て独学で栽培を始め、パリに日本野菜を広めたパイオニアとしてのお話を聞かせていただきました。とても魅力的な方で、独自の発想力と人とのつながりを大切にすることで、全てがオリジナルでありオンリーワンであるのだと実感しました。今でもフランスのグランシェフが野菜を求める背景には、日本野菜というよりも、山下さんが作った野菜だからこその価値があるのだと理解できました。
今回の視察を終え率直に感じたことは、農業の形は違えど日本も世界も考え方のベースは同じであるということ。また、世界人口を支える食料は農業従事者を基盤に成り立っているのだと再確認しました。同行した他社メーカー様とも良い関係が築けたことで、今後は世界に目を向けた日本農業界の発展に少しでもお力添えできるよう業務に邁進していく所存です。この度はありがとうございました。
(九州支社谷頭支店)









