2025年の農機市場見通し/日農工部会長がみる

今年の農機市場はどのように推移するのか。国際関係の不安定要素がいまだに継続し、原油・物価の高騰など先行きの不透明感があるが、コロナ禍を乗り越えた今、積極的な実演、展示会などで各社の製品をアピールしていきたい。一般社団法人日本農業機械工業会の機種別部会長の年頭所感から、見通しをみる。
【トラクタ】
2025年のトラクタの需要見通しは、全国的な米不足から2024年産の米価が大幅に上昇したことから、水稲の担い手農家の購買マインド向上が見込まれる。一方で、農業資材費や人件費、燃料費などの生産コストは上昇傾向で、また、毎年のように発生する自然災害、記録的な猛暑日の増加による生育障害や品質低下などが、農業経営の不安定要素になっており、その影響を懸念。
農業政策面では、みどりの食料システム戦略を基本とした環境負荷低減や、スマート農業技術活用促進法などの施策により、農機の大型化やスマート農機の導入はさらに進むと見込まれる。以上のような状況から、2025年のトラクタ全体の需要は、2024年比99%と見込んでいる。
【管理機】
本年も市場環境の大きな改善は難しいと予測される。農家向け管理機では更新需要が市場を支えることが期待されるが、一般消費者向け管理機では物価上昇による消費者マインドの冷え込みが懸念される。このような中、令和7年の需要見通しは、令和6年比94%と見込んでいる。
【田植機】
本年は米価上昇による農家の投資意欲向上のもと、省力化や環境負荷低減に資するスマート田植機のますますの普及が期待される一方で、農業資材価格の高止まりなどによる農業経営圧迫や農家戸数の減少に打ち勝つまでには至らず、令和7年度の需要見通しについては対前年比97%と予測している。
【収穫機】
本年も米価上昇に伴う、担い手層の投資意欲の向上に期待している一方で、農業資材費の高止まりによる、投資意欲低迷の懸念は残る。引き続き4条以上のクラスと普通型については堅調に推移する一方で2、3条クラスは継続して減少すると見込まれ、コンバイン合計では令和6年比95%を見込んでいる。
昨年の食料・農業・農村基本法の改正により、本年はスマート農業関連事業の動きが、より一層活発化すると思われる。省人化・省力化の提案をスマート農機で行うとともに、時期前・後の点検サービス活動への取り組みにより、時期中のマシンダウンの発生を極小化することで、農家の皆様に適期の収穫作業を実施できるよう、推進していく。
【防除機】
今年も材料費の高騰等は続くことが予想されるが、一方で令和6年産米の概算金の引き上げや農地の集約化に伴う省力化・効率化を目的とした大型機械の需要の増加、みどりの食料システム戦略に関連した機種導入の加速等が予想され、小型防除機においても、バッテリー式を中心に昨年の反動から堅調に推移すると見込んでいる。また、近年、更新を見送っているユーザーにおける更新需要の回復も見込んでおり、需要は微増するものと期待している。
【作業機】
本年の見通しとしては、小規模農家の高齢化や離農、生産資材の高止まりの影響などにより中・小型クラスの需要は減少傾向が続き、大規模農家向けの大型作業機のニーズが高まるとみている。畜産・酪農関連は、子牛が価格安の傾向であるため、厳しい状況が続くとみているが、一方で米価高騰による水田向け商品の需要増加に期待している。以上のことにより、本年は対前年比101%と予測している。
【刈払機】
市場ニーズに目を向けると、スマート農業技術の普及が進み、作業負荷軽減に寄与するリモコン式や自走式草刈機の需要は今後も拡大すると見込まれる。エンジン式刈払機については、ライトユーザー間で手軽に扱えるバッテリー式への関心が高まり、低排気量エンジン式からのシフトが進んでいる。一方、プロユーザーでは作業性や性能を重視し、高排気量エンジン式の需要が引き続き根強く、今後も安定した需要が予想される。
【調製・米選機】
脱穀機は中山間地域の小規模農家向け製品で離農や作業委託が進み需要は減少している。昨年の販売台数実績は前年比92%、今年の販売見込みは同91%。籾すり機では中古機流通の影響で需要は減少しているが、大規模農家の更新重要は安定している。昨年の実績は前年比82%、今年の販売見込みは同97%。最後に米選機では省力化になるフレコンパックによる出荷が増加しており、ハカリなしの米選機単体の需要が増えている。昨年の実績は前年比91%、今年の販売見込みは同98%。
【乾燥機】
本年の動向は、米価の高騰が持続して、農家の購買意欲が高まることに期待している。大規模農家への農地集約が加速し、汎用乾燥機のニーズが増加する中、年間の稼働時間が延びることで耐久性の重要性が増している。さらに、所得の増加に伴い優遇税制の活用やライスセンター関連の相談が増加している。
一方で、兼業農家や個人農家の小型クラスの需要は減少するとみている。以上のような状況から、令和7年の需要見通しは、対前年比98%と見込んでいる。
【精米機】
2025年の見通しは、3馬力以上の大型タイプは農家の設備投資意欲の回復に伴い、需要が伸長すると予想されるが、3馬力未満については昨年に引き続き、減少傾向が予想される。
コイン精米機については、2025年の見通しは、兼業農家の減少、電装品の調達難による生産への影響などの不安要素はあるものの、新機種投入による市場の活性化、縁故米や生産者から直接購入する消費者の利用の増加傾向は続くものと思われ、更新需要は今後も堅調に推移すると見込んでいる。さらには商業施設等集客力のある場所での新規設置需要にも期待している。以上の状況から、2025年の需要見通しは、対前年比100%を見込んでいる。









