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令和7年1月6日発行 第3534号 掲載

クボタ 花田晋吾氏/新春トップインタビュー

 ――まずはこの度の代表取締役副社長執行役員機械事業本部長へのご就任、大変におめでとうございます。
 花田 ありがとうございます。組織改編により機械事業本部に調達、生産管理、生産技術、ICT、研究開発などの部門を組み入れ、さらに緊密なコミュニケーションを図り、一体化運営を進めています。前任者の渡邉(大氏)が新たな改革をどんどん進めた中でのバトンタッチになるので、微力ながら頑張りたい。
 ――2024年度の事業環境や経営をどう振り返りますか。
 花田 昨年度は当初から、グローバルな観点で景気の減退、マーケットのスローダウンが予想されていました。加えて資材や人件費の高騰が逆風になるとわかっていました。そのためこの状況に対応するべく、マーケットトレンドをよく見ながら、とにかく在庫過多にならないよう製販調整をしてきました。そんな中、販売をどうするかを考えていました。
 ――手応えはありましたか。
 花田 そうですね。今までかなり後追いになっていた生産への対応が、タイムリーにできるような社内の仕組みなども構築し、それが段々と効いてきたかなと思います。
 ――あるべき姿に一歩近づいたと。
 花田 まだまだ先が遠い部分もありますが、緒に就いたという感じです。
 ――ここ数年で国内市場はガラリと変わりました。
 花田 国内農機に関しては、10年前にトラクタ事業推進部長を3~4年やっていた時期に全国各地を回りました。そこでいろいろと話を聞く中、農業従事者の減少の見込みがここまで深刻なものか、というのが大きな変化だと感じました。2040年には現在の4分の1になるという話も聞きます。この状況では、今までの延長線上で事業を行うのは難しいと実感します。
 ――今年の課題、取り組みは。
 花田 社内的にいうと、1つは新たな組織をしっかりと根付かせるための1年。今回の組織改編は大きなことをしましたが、完成ではありません。部門同士の役割が重複していたり、非効率なところ、日本および地域の役割が複雑になっていたり、明確ではないなど、これらを是正していきたいと考えています。対外的には「2040年の姿」から逆算して、我々が今後どう動いていくのか、長期の視点で考えていかねばならないと思います。
 ――海外については。
 花田 海外は我々の成長の源泉です。4つの成長ドライバーのうち、特に北米の建機事業とインドを中心にしたトラクタ市場の取り組み。これらは今まで以上にリソースを投入して加速化させます。この2つは当初我々が思っていた以上に着実に進んでいる感触です。 あとは、ASEAN市場の拡大とアフターマーケットの拡充です。この2つはもう少しテコ入れが必要と考えます。
 ――国内についてもう少し。
 花田 そうですね、国内は今までのやり方をかなり見直した中期経営計画になるよう検討中です。それは、モノ売りからコト売りに始まり、自動・省人化、そして農村コミュニティーをどう維持していくか。これに加えて農村への経済的な貢献をどうするかといった課題を、我々が核になり、農家の皆様の経済基盤を強くしていく取り組みをどんどん進める必要があると思います。
 ――KSASの動向については。
 花田 KSASは、私が10年前にトラクタ事業推進部長をしている頃に始まった事業で、当時はまだまだ会員数は少なかった。しかし今では会員数も増え、さらに社内だけでなく、社外にも展開しています。我々のお客様だけでなく、社外におけるプラットフォームとなりつつあり、KSASは現在、いろいろな意味で転換点だと思います。
 ――KSASはさらに進化しますか。
 花田 KSASには様々なサービスが付随しており、最近やっとフルで機能を使っていただくお客様が増えてきた感じですが、活用度をさらに高めていきたいと考えています。そこで2023年から始めた「KSAS Marketplace(KSASマーケットプレイス)」を通じて、お客様からの意見なども吸い上げてプロモーションを行っています。
 ――食料安全保障や温暖化に対する農機の役割について。
 花田 食料安全保障については、今の耕地面積を確保するために自動運転など省力化の機械を使いながら考えねばなりません。省力化の機械は大型のものが多いですが、中山間地域で使える小型についても、しっかりと取り組みたいと考えています。
 円安など国力が弱まる中、海外から作物を輸入することも難しくなってきています。そのため、国内の土地をうまく使った食料確保の重要性は非常に高まっていると思います。
 ――アフターマーケットの取り組みについて。
 花田 整備・部品・サービス事業は、今後ますます重要となります。昨年、九州に新設した整備工場を視察しました。そこで思ったのは、人材を最大限に使い、整備をタイムリーに行うこと。つまり、素早く整備するとお客様に迷惑がかからない。加えてディーラー側にとっては収入の源泉にもなる。このように、正に整備工場としての体制をしっかり強化していきたいです。
 今後ますます大規模担い手が増える中、整備需要もどんどん増えていきます。そのため、これに対応する体制の構築と人材の拡充・確保にも取り組みたいと思います。
 米国に駐在していた経験からいうと、同国では営業とサービス(整備)が明確に分けられ、それぞれ専門的に仕事をしていました。担い手への対応としては、今後、専門的なスキルが要求されることになるでしょう。それに対応できる体制も考えねばいけません。
 ――ポテンシャルの大きいインド市場の取り組みは。
 花田 昨年9月に在インド子会社3社が最終的にエスコーツクボタリミテッドに吸収合併され、一体運営となりました。吸収された会社の1つ、エスコーツクボタインディアプライベイトリミテッドは、品質や生産性のレベルが高く、これを現エスコーツクボタに移行する取り組みを続けており、着実に良くなっています。加えて我々の技術部の人材も現地に送り、トラクタおよびエンジンの開発も進んでいます。インド市場はもとより、ほかの海外市場に向けて、これまでになかった新製品やサービスを、エスコーツクボタから供給していく予定です。
 ――今年の抱負は。
 花田 今年は大きな組織変更があります。これを上手く活かしたいというのが1つ。前任の渡邉がイノベーションセンターを筆頭に新分野の開拓、海外人材の活用など様々な取り組みに着手しました。今年はこれを実務レベルで定着させていきたいと考えています。クボタが我が国および国民に役立つ可能性は非常に大きい。その意味で今後はこれまでの延長線ではなく、外部の皆様の協力を仰ぎながら、新たな突破口を開いていきたいと思います。

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