今年の林業機械市場:新鋭機に高い関心/林業機械特集

今年の林業機械、とりわけ高性能林業機械を取り巻く情勢を表すのに適したものに3つの数字と2つのワードがある。この3+2を俯瞰すると、現在、高性能林業機械はもとより、各種の林業機械が置かれている状況が浮かび上がってくる。
現在、活発な素材生産と国産材振興、森林の役割への国民の関心の向上などが手伝って、林業機械導入に関しては好循環下にある。機械化対応がもたらす省力化、生産性の向上、現場の就労条件の改善、重筋労働からの解放、労働安全衛生面のアップなど様々な面での効果、役割が認識されるようになっている。森林施業を適切、的確に進める上でいまや高性能林業機械に代表される各種林業機械は必要不可欠との認識が林業関係者内では広く、深く定着し、浸透している。共通認識になっているといってもいいだろう。
その高性能林業機械の現状を表す1つ目の数字が林野庁技術開発推進室がまとめ、公表している「高性能林業機械の保有台数」の伸びだ。今年の2月末に林野庁のホームページにアップされた「高性能林業機械の保有状況」によると、令和4年度(令和5年3月31日現在)の保有台数は、前年度から1328台増の1万2601台と過去最多を更新している。集材用のフォワーダ3651台(構成比29・0%)、枝払い・玉切り・集積作業を行うプロセッサ2256台(同17・9%)、伐倒・枝払い・玉切り・集積作業を行うハーベスタ2101台(同16・7%)と、この3機種合計で8008台、保有台数全体に占める割合は63・6%とほぼ3分の2。
かなりのウエート。現時点での機械作業体系はこの3機種を中心として推移しているといっても過言ではないだろう。少なくとも、プロセッサ、フォワーダ、スイングヤーダを「3種の神器」として普及していた時代からは一段階上がっている。
同統計の対象機種は、3機種のほか、フェラーバンチャ、スキッダ、タワーヤーダなど5カテゴリーあるが、近年ウエートを増やしているのが、フォーク収納型グラップルバケットの2649台がある。構成比率21・0%、前年の20・4%から0・6ポイント増えており、今後、どのような推移をたどるかが注目されよう。
なにより、高性能林業機械は10年前(平成24年度)の5678台と比較すると約2・2倍の保有台数、2倍以上に増えているのは特筆に値する。
そして2つ目の数字が、10月に福井県勝山市のスキージャム勝山で開かれた「2024森林・林業・環境機械展示実演会」の参観者数の1万9000人。前回大会の茨城会場の2万4000人超には及ばなかったものの、開催条件などを考えるとかなり高い数字といえよう。
大会を全国育樹祭開催県と共催する一般社団法人林業機械化協会では当初、1万人程度の来場参観者を想定しており、それの倍近い数字となっている。ここに同展示実演会が林業関係者にとって「見ておく必要のあるイベント」になっていることを物語るとともに、高性能林業機械に代表される各種林業機械に対する関心の高さがはっきりと表れている。
同展示会は、我が国で唯一の林業機械の総合展示会といわれるが、近年の出展者及び来場者の数は、展示会の価値を一段と高めている。来場者にとって見応えのある、また、出展者にとってもユーザーへの情報提供はもちろん感触をつかむ上でまたとない機会となっている。
そして3つ目の数字が9月末に公表された「令和5年木材需給表」で示された需給動向だ。それによると、令和5年の国内生産量は3425万9000立方メートルで前年と比較すると33万4000立方メートル減ってはいるものの、3000万立方メートル以上の生産量を維持。燃料材が89万8000立方メートルで8・8%増加しているのが大きい。この結果、令和5(2023)年の木材自給率は42・9%となり、前年と比較すると2・2ポイント上昇している。輸出量も11・6%増加しており、機械化対応のバックボーンとなる木材生産が堅調な推移をみせていることは心強い。
一方、2つのワードだが、1つは今年の7月に協議を開始した「林業機械の自動運転・遠隔操作に関する安全対策検討会」、もう1つが林野庁として初めて示し、作成した「省力・低コスト造林に係る技術指針(案)」だ。
共に今年度末には前者がガイドライン、後者が技術指針としてまとめられる予定だが、今後の機械化開発のあり方や林政でも最重点事項となる再造林の推進に与える影響が大きいだけに、どのような形となって提案されるのか目が離せない。









