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令和6年12月16日発行 第3533号 掲載

世界の超長期食料予測/農林水産省がシンポジウム

 農林水産省は5日、都内文京区の東京大学弥生講堂及びWebで「世界の超長期食料需給予測に関する国際シンポジウム」を開催し、これには300名以上が参加した。
 米国農務省首席エコノミストのセス・メイヤー氏と国際食糧政策研究所(IFPRI)上級研究員のキース・ウィーブ氏による基調講演、パネルディスカッションに加え、同省が令和4年度より取り組んでいる「世界の超長期食料需給予測に向けた予測モデル等検討業務」の内容を紹介した。
 開会にあたり、国際農研理事長・小山修氏及び農研機構エグゼクティブリサーチャー・長谷川利拡氏が挨拶。
 小山氏は同省の予測プロジェクトについて報告するとともに、食料需給予測や食料安全保障で世界を代表する専門家である2人に講演してもらうと今回の趣旨を説明。また、2060年の超長期予測を日本が行う意義について、(1)日本は摂取カロリーの6割以上を海外に依存しているため、食料安全保障を考える場合世界の状況を見ることが不可欠(2)日本政府は昭和48年から大型の世界食料モデルを開発しており、これが現在のFAOやIFPRI、国際農研による長期予測モデルのベースになっているとし、日本はこの分野で貢献できる―と説明。長期予測は今のまま進むとどうなるかという見通しであり、今後の目標や警鐘、指針として捉え、食料安全保障を考える時間にしてほしいなどと語った。
 続いて基調講演に移り、メイヤー氏による「気候変動下における食料生産の課題と対策」、ウィーブ氏による「世界食料モデルIMPACTによる気候変動の影響予測」が行われた。メイヤー氏は20世紀の農業成長の主な要因に生産性向上をあげ、天然資源への依存度が低下したと指摘。90年代以降の世界農業生産の伸びの主因はTFP(全要素生産性。資本と労働の増加によらない技術進歩・効率化等による増加)であるとしつつも、昨今の世界及び米国の農業TFP成長率は大幅に鈍化しているとした。TFP成長率は国や開発状況により異なり、新興国による公的な農業研究開発費は先進国を上回るものの、中国・インド・ブラジルといった大国に集中。対して、先進国では同費用の支出が停滞し、一部は民間によって代替されているなどとした。
 一方、ウィーブ氏は、今後の長期的な食料需給の展望について、需要と生産は今世紀半ばまで増加し続けるが、気候変動の結果、より緩やかになると予測。また、気候変動により物価はより急速に上昇し、飢餓はよりゆっくりと減少すると見通した。背景として、極端な気候現象が頻発しており、その影響は作物や地域によって異なるものの、経営方法や技術、インフラ、市場の変化などが影響を相殺するのに役立つと説明。世界の農業・食料システムの変化における主な推進要因は「人口・所得・食生活・技術の変化」であり、それは今世紀の半ばまで変わらないなどと述べた。
 その後、農林水産省事業について「気候変動下の世界の主要穀物の収量予測」及び「2060年にかけての世界の食料需給見通し」を農研機構及び国際農研の担当者が報告した。

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