EIMAが示す農の未来/イタリア・国際農機展レポート2

前回に引き続き、EIMA2024における日本企業の出展をみる。ヤンマーは資本提携しているインドの大手トラクタメーカーITL社とコラボし、ITL社製のSolisトラクタとともに出展。欧州で展開している中小型トラクタのYT359、YM347、SA426を作業機とともに展示した。ブースではヤンマーアグリ(株)営業統括部商品企画部トラクタ・インプルメント推進グループ海外推進担当課長・上田英樹氏に話を聞いた。上田氏によると、今回の展示は、イタリアをはじめ欧州全域に向けて、ヤンマーとITL社との協業を強くアピールすることがねらい。両社のセールスネットワーク統合について卸売及び販売担当者に説明することも目的の1つだとした。今回はそのねらいも踏まえた小間運営になっており、Solisトラクタとヤンマートラクタの両方のラインアップを展示。ITL社とセールスネットワークを統合していくことにより、Solisトラクタを加えた大きなレンジで国際市場を攻めていけるのではないか、と展望を述べた。ヤンマートラクタは欧州にて、その質の高さから農業分野に限らず、幅広い引き合いを得ている。特に冬でも雑草の草刈りをしたり、道路の除雪を行うなど、通年でトラクタ作業がある市役所関係の引き合いが多くなっているとした。キャビンタイプのYTトラクタなどは、「やや高価格ではあるものの性能がいい」と高い評価を得ているという。その評判通り、今回のEIMAでは、ひっきりなしに人が訪れ、熱心にトラクタを確認していた。上田氏は「取引が数年途絶えていたような卸売業者からも、取引を再開したいといった引き合いも来ている」と、感触の良さを語った。ヤンマートラクタが欧州で高い評価を得ていることの証左の1つとして、今回EIMAで展示していたYT359が、今年の「トラクター・オブ・ザ・イヤー2025」でファイナリストに選ばれたこともあげられる。YT359は、果樹園やブドウ園向けの40馬力以上のトラクタ部門であるTotY Specializedのファイナリスト5台に選出された。同表彰制度は欧州市場における最高のトラクタを紹介する国際的権威のある賞。1998年に創設され、最高の性能を持つトラクタを毎年選定しており、世界中の主要な農業出版物から大きな注目を集めている。YT359は今回惜しくも受賞を逃したものの、ファイナリストとして「TotY FINALIST」ロゴを活用できる。EIMAブースでも、ファイナリストになったことを示すモニュメントが展示され、輝いていた。一方、現地拠点であるヤンマーイタリア社はテーマ別展示会「EIMAコンポーネンツ」に小間を出展。同社の小間では、スペースの半分をヤンマーが誇る産業用エンジンが占め、4TN101やL100V、4TNV98Cを展示し、スペースの残り半分はモジュール型バッテリーパックを展示した。前者のエンジンはいずれも、環境に優しいHVO燃料(水素化植物油)に対応。同燃料はカーボンニュートラル化に貢献する次世代型バイオ燃料として欧州で活用が広がっている。後者のバッテリーはグループ会社であるオランダのバッテリーシステム製造会社・エレオ社による製品で、その特徴は、複数のバッテリーパックを縦に重ねるなど自在に組み合わせられること。柔軟性と汎用性に富むモジュール設計により、農機をはじめ、発電機やオフロード機など様々な機械に活用でき、その組み合わせによってシステム容量や電圧も向上する。ヤンマーイタリアの小間では、ヤンマーヨーロッパ社で東欧及び中東産業用パワートレイン部門営業マネージャーを務めるシダス・ウィラカーン氏が応対してくれた。シダス氏は「ヤンマーはエンジンに100年以上の歴史を持っており、安定した供給を誇っている。一方で、欧州では電動化に非常に力を入れているので、作業機メーカーにとって安定したバッテリーサプライヤーを見つけるのが大きな課題。そこで、ヤンマーがエンジン及び、様々な電動化のニーズに対応し提供していく。さらにバッテリーは寿命が長いので、作業機に活用した後も、家のバックアップ電源などを担うライフサイクルを考えている。今回はそうした技術を周知し、選んでもらうためのPRになる」と展示の趣旨を述べた。









