MENU
令和6年12月9日発行 第3532号 掲載

みどり戦略技術カタログ(Ver4・0)から/作業機・土づくり特集

 農林水産省は、みどりの食料システム戦略の実現に向けて、戦略で掲げた各目標の達成に貢献し、現場への普及が期待される技術について、「みどりの食料システム戦略」技術カタログ(Ver4・0)として公表している。ここから、土作りに関連する技術をピックアップした。
    ◇
 【高窒素鶏糞を活用した水稲の減化学肥料栽培】(新潟県農業総合研究所作物研究センター)
 基肥に高窒素鶏糞を、穂肥に硫安を使用して水稲を栽培する施肥体系により、慣行栽培の穂肥技術をそのまま利用できるため、低コストで簡易に、減化学肥料栽培に取り組める。
 高窒素鶏糞の特徴をみると、密閉撹拌発酵された発酵鶏糞の窒素全量は4%以上あり、開放攪拌発酵された従来の発酵鶏糞の約2倍である。窒素の無機化は速く、栽培管理しやすい。メタン生成量も少ない。
 導入の留意点は、鶏糞散布にはブロードキャスター等の利用を推奨。特殊肥料のため厳密な施肥設計は困難。厳密な施肥量計算には、ロットごとの肥料分析が必要。
 効果は、低コストな50%減化学肥料栽培(特別栽培)が可能で、「鶏糞+硫安」の肥料資材費は慣行栽培と同等で、特別栽培の半額である。「鶏糞+硫安」は化学成分を60%削減でき、特別栽培の肥料要件も満たす。収量・品質は化学肥料100%栽培と同等で、「鶏糞+硫安」は、慣行栽培に比べて初中期の生育はやや遅れるが、穂肥の化学肥料で生育調節が図られ、登熟期の生育は同等となる。収量・品質とも差はない。
 肥料資材費の例(2022年7月時点、10アール当たり)として、慣行栽培は4122円、特別栽培は9810円、有機栽培は5390円、鶏糞+硫安は4203円。
 【ペレット肥料散布機付き除草機】(福井県農業試験場)
 水稲の有機栽培は、除草や有機質肥料の散布に多くの労力を要する。そこで、軟弱な土壌でも安定走行ができる(株)オーレック製「WEED MAN」と(株)ジョーニシ製 「サンソワーV―R10」の施肥機をベースに、施肥と同時に除草ができる肥料散布機付き除草機を開発した。除草しながら、約180キロ/10アールのペレット肥料の施用が可能。
 効果は、肥料散布と除草の作業時間を10分の1に削減(省力化)でき、ペレット散布機付き除草機の使用により、肥料散布と除草合わせ1・5時間/10アール程度に短縮できる。(慣行:除草12時間/10アール、肥料散布2時間/10アール)。導入の留意点としては、雨天時は、肥料散布機に肥料がつまるため、施肥作業ができない。価格帯は500万円程度。(株)北陸近畿クボタが販売。
 【堆肥、緑肥等有機物の施用による土づくり(緑肥を活用した水稲栽培での肥料の使用量低減)】(滋賀県農業技術振興センター環境研究部)
 地力の維持増進には、堆肥や緑肥等の有機物施用が基本であり、入手や生産、施用に労力がかかる堆肥に比べて、緑肥の施用は比較的容易に取り組みやすい。また、窒素固定するマメ科緑肥作物は、土壌にすき込むことによって窒素の無機化が起こり、肥料成分として供給されることから、肥料の使用量を低減できる。この技術は、圃場にマメ科緑肥作物であるヘアリーベッチを秋に播種し、春に生草重2トン/10アール(窒素量約13キロ/10アール)をすき込むことで早生品種の水稲栽培の基肥の代替として活用できる技術である。
 効果は、水稲栽培の基肥の使用量を約50%低減可能で、マメ科緑肥作物のヘアリーベッチを2トン/10アールすき込むことで、基肥の使用量を3~5キロ/10アール低減できる。
 すき込む際は、ロータリ軸にヘアリーベッチが絡むのを防ぐため、フレールモアで刈り取りを行った後、トラクタですき込む。
 導入の留意点としては、ヘアリーベッチは湿害に弱く、出芽と生育を安定させるためには、排水対策の徹底が不可欠である。すき込み後、入水までの期間は3週間程度空ける。水稲に葉の黄化等の還元障害の兆候がみられた場合は、2日程度軽く干す。幼穂形成期の生育に合わせて穂肥量を調整する。普及の状況は、滋賀県内で137ヘクタール(2022年実績)。
 【麦生育期の牛ふん堆肥散布技術】(大分県農林水産研究指導センター水田農業グループ)
 現在、水田の地力低下が問題となっている地域がある。地力回復には堆肥の散布が有効であるが、二毛作が主流の地域では、従来の堆肥散布は圃場の無作付期間に行うのが一般的であるが、散布が可能な期間が非常に短い。そこで、堆肥散布が可能な期間を拡大することを目的に、生育中の麦の上から牛ふん堆肥を散布する新たな手法を開発した。
 堆肥散布後の麦への効果は、堆肥の肥料効果により、堆肥を散布しない場合と比較して約3割増収する。後作の水稲や大豆への効果は、堆肥散布1回目後作の飼料用水稲で約1割、同2回目後作の大豆で約2割増収した。中・長期的な取り組み(堆肥散布)により地力が向上し、麦および後作が増収することで、生産者の収益増が期待される。
 麦生育期の牛ふん堆肥散布方法は、麦3葉期以降に牛ふん堆肥を2トン/10アール散布するが、雑草種子の混入の可能性があるため、必ず完熟堆肥を使用する。また、用いる堆肥の品質(肥料成分)により、散布量を調節する必要がある。
 2021年産麦において県内2地域(由布市および宇佐市)で大規模な散布実証試験を実施(農林水産省「産地生産基盤パワーアップ事業」も活用)し、合計散布面積は約19ヘクタール。

カテゴリー別最新ニュース