大阪でスマート農業推進フォーラム開催/近畿農政局

近畿農政局は3日、大阪市のグランフロント大阪北館タワーにて「スマート農業推進フォーラム2024in近畿―スマート農業技術は実証から実装へ『みどりの食料システム戦略』関連技術の紹介」を開催した(一部オンライン配信)。
主催者挨拶した近畿農政局長の相本浩志氏は、10月に施行されたスマート農業技術活用促進法の成立の背景や概要に触れ、新法への理解と活用を求めた。また、みどりの食料システム戦略の推進と併せ、既存の優れたスマート農業技術の横展開を図っていきたいと述べた。
セミナーでは、(1)スマート農業技術活用促進法について(2)近畿農業に対応したスマート農業技術に関する研究成果の紹介(3)スマートサポートチーム(スマート農業技術活用産地支援事業)の紹介(4)みどりの技術ネットワーク地域会議―に関連した4講演が行われた。
このうち(2)では「農研機構西日本農業研究センター等によるスマート放牧に関する取組について」をテーマに、農研機構西日本農業研究センター上級研究員の平野清氏が登壇。島根県で行われたスマート農業実証プロジェクト「荒廃農地の再生による環境保全効果と生産性の高いスマート放牧体系の実証」の取り組みを報告した。島根県大田市の三瓶山周辺は、古くから放牧による草地景観が守られ家畜生産が盛んだったが、高齢化などによる農家減少で放牧が維持できず荒廃が進んでいた。そこで同プロジェクトでは、スマート技術を活用して農地を再生し、収益性の高い生産体系を実証する取り組みを実施。まず、新型フレールモア等を活用して荒廃農地を整備し、その後、牧草作付け計画支援システムを使って、放牧期間を最大限延長できるよう草地を造成した。営農においては、GPSガイダンス等による鶏ふんの効率的散布で施肥・草地管理を進めるとともに、放牧牛位置監視システムを導入し、放牧地面積や飼養頭数の増加による労力負担を低減。併せて、自動体重計測システムを用いて放牧牛の正常な発育をモニタリングするなど高度な生産体系を実現し、農研機構が開発したスマート放牧技術と市販のスマート農業対応機器の活用効果を実証した。
平野氏は生産者の声として「余裕ができて、経営全体へ良い波及効果が出ている」「優秀な飼養管理をしてくれる牛飼い1名に匹敵する効果」などを紹介。また、同プロジェクトの取り組みなどをまとめた『スマート放牧導入マニュアル』を紹介し、実証技術の普及に向けた情報発信にも積極的に取り組んでいるとした。
続いて(3)では、(株)レグミン開発リーダーの近藤克文氏が「淡路島型スマート防除体系の導入・実証コンソーシアムの取組成果」を報告した。同社は、農業ロボットの研究開発や農作業受託サービスを行っており、講演では、淡路島での自動農薬散布ロボットの導入事例を取り上げた。
2022年10月に展示会ブースで淡路島の農業コンサルティング会社から相談を受けたことをきっかけに、タマネギから小麦への転換による栽培負荷軽減や、農薬散布ロボットによる作業負担軽減を提案した。
現地の慣行栽培体系についての情報収集、ロボットに適した作型の共有、ロボットオペレーション指導など1年にわたる準備期間を経て、2023年11月に農薬散布ロボットを納品。その際、エンジニアも派遣して立ち上げを支援した。遠隔による実用サポートなども継続的に行い、2024年5月、サポートなしでの農薬散布を実施、自立操業へとつなげた経緯を紹介した。
そして、農薬散布ロボットは、タマネギや大豆など様々な品目への適用も可能だとし、今後の普及拡大に強い意欲をみせた。
一方で、淡路島には急な坂道や狭い道が多く、枕地がなかったり、入口に急な段差がある圃場も多いことから、ロボットの小型化や栽培体系の整備など、さらなる改善が課題であるとした。









