MENU
令和6年12月2日発行 第3531号 掲載

現地の話題・竹イノベーション研究会/九州特集

 福岡大学工学部社会デザイン工学科の教授・佐藤研一氏が代表を勤める「竹イノベーション研究会」(福岡市城南区七隈8の19の1福岡大学工学部社会デザイン工学科道路・土質研究室)は、「竹の未来を考えるために様々な活動を行うプロジェクト」というコンセプトの基、2012年に設立された。会員数は企業や団体、大学、個人など、24年現在で250の登録がある。同研究会について佐藤氏に話を聞くと、「竹」というキーワードでゆるくつながるグループだと説明した。
 同研究会発足の経緯については、佐藤氏の専門が道路土質工学で、公園の道路整備のため、アスファルトを使用せず、土による舗装の耐久性向上を試案していた際に、竹を粉砕したチップを混入すると、竹の繊維により舗装材の強度が増したことに端を発している。その後、建設会社の依頼でため池の泥土処理時に排出されるヘドロを運搬するための時短アイデアを求められた。同じように竹チップを利用してヘドロ内の水分を吸水させ、泥土強度を改善し、トラックで運搬しやすい固さにして作業の時短に成功した。この技術を国内最大規模の産学連携イベント「イノベーションジャパン」で発表したところある情報誌で取り上げられ、それを機に竹にまつわる様々な相談が同氏に持ち掛けられるようになった。例えばイチゴ栽培農家から「竹由来の肥料でイチゴが甘くなると聞いて施肥しているが、うまくいかない」など、相談内容は多岐に及んだという。そこで研究会を立ち上げ、定期的にセミナーなどを開催し、竹に関わる人たちを「ゆるく」つなぎ始めた。
 竹をバイオマス燃料として利用する考え方は、ここ数年で広まったように感じる。しかし、まだ実用例は少ない。そういった現状を同氏に投げかけると「資材として考えたときに安定供給が求められます。原価の安い竹が中国や台湾から輸入される一方で、日本では放置竹林が環境問題となっている。竹を資材として活用する際、竹林の多くは民有地にあり、誰が土地の持ち主と交渉して、誰がそれを切り出し、誰が運搬し、誰が加工し消費者に提供するか。そういったスキームの確立はまだまだです。研究会の目的の1つは、様々な業種の人たちやその技術で、竹につながるビジネスネットワークを構築することです」と語った。
 同研究会のウェブサイトには全国各地の会員による様々な「竹」の活動が紹介されている。バイオマス燃料としての活用だけではなく、掲載されている多種多様なバリエーションに驚かされる。
 本紙でもおなじみの樹木・竹粉砕機を製造する(株)大橋や、前述の竹チップを用いた土系舗装の「バンブーペイブ協会」、竹の骨組みで農業用ハウスを製造する「バンブーグリーンハウス・プロジェクト」、竹林の整備をメンマ製造につなげた「ITOSHIMA FOOD LAB」など、コンセプト通り「竹の未来」を予見するような事業が並ぶ。
 同氏は「少しでも竹に興味を持ってほしい。京都の嵐山では竹林が観光資源になっている。放置すれば悪者になるが、興味を持って視点を変えれば竹は有効利用できる」と熱く語った。

カテゴリー別最新ニュース