架線式グラップル集材の安全・省力化進める/イワフジ工業

イワフジ工業(株)(有吉実社長・岩手県奥州市水沢字桜屋敷西5の1)は11月26~28の3日間、栃木県が那須町の伊王野城址公園で開催した架線式グラップル集材システムの実演会に協力、同システムおよび木材グラップルGS90LJVによる材のハンドリング、プロセッサGP―45Vによる造材作業などを進めた。同システムのオペレータは操作を始めてわずか5日。まだ不慣れながら伐倒木をラジコンで搬出する作業を披露し、人手不足に悩む現場をサポートする機械力を示した。
実演会には、近隣県を含め行政関係者、営林署関係者、森林組合関係者など150人が参加し、同システムの稼働具合を確かめた。初日の冒頭、栃木県環境森林部の齋藤利也部長があいさつ。森林が利用期を迎える中、現場は人手不足や作業の安全性向上の課題を抱えており、これを解消する手立てとして機械による自動化、省力化に焦点が当てられているとし、今回の実演会の意義を示すとともに成果に期待を寄せた。
また、同部林業木材産業課の上野晴子課長補佐は、これまで車両系の機械化が主流だったが、道が入れられない現場や急傾斜地に向く架線系機械にも目を向け、特に新しい技術が加えられたことで安全性、効率性が向上しており、実際に見ていただきたいということで実演会を企画したと説明。
実演会会場の概況については那須町森林組合の益子朋之事業統括課長が紹介した。それによると、同組合は会場を含む19・63ヘクタールに植栽された52~79年生のスギ、ヒノキの皆伐作業を進めているところだが、会場の山林の尾根沿いには伊王野城の城址に様々な文化財が埋もれており、立木伐採・搬出に際しては山肌を崩さない、新たな道を作らない規制の下での作業になっている(現在ある作業道は文化財情報がなかった12年前の間伐時に作設したもの)。そのため、さほどの急斜地ではないが新しい架線式グラップル集材システムを導入し、実証を進めることになった。全木集材ができるため、A~D材まで搬出して資源の活用を図っているのに加えて、再造林の際の人力作業の軽減につながると考えている。
同システムと採用している索張り方法(エンドレスタイラー式)の説明には同社営業部関東支店の鈴木崇也主任が当たり、今回の現場の元柱から先柱の距離は270メートル、索張りと機械設置には延べ8人で2週間弱を要し、実際にオペレータが操作を始めて5日目になるなどと話した。
また、同システムは、「架線集材グラップルBLG―16R+油圧集材機YR―302E」の組み合わせで、1台のシステムラジコンで同グラップルと油圧集材機の全操作を行い、従来、先山の荷掛け手、集材機操作員、造材オペレータの3人体制で行っていた作業を、2人体制でこなし(造材オペレータが集材機もコントロール)、軽労化とともに、人が材に近づかないことで安全性の面でも格段に向上するなどのメリットをもたらす。
実演の際、参加者は索張りのほぼ中間地点まで移動し、グラップルが材をつかむ様子を上から見学。ここでは、グラップルは回生充電方式のため走行距離が短い場合は空走行して充電、地面方向を映すカメラや充電率の音声通知、吊った材の重さ表示などの機能はICT仕様としてオプションを用意しているなどの補足説明が行われた。
実演後、益子課長は、年間100ヘクタールほど皆伐して植付けし、その後下刈りという流れで、今年も500ヘクタールほど下刈りしているが、人手が足りない傾向の中、同時進行で再造林を進めるに当たってはなるべく省力化し、作業を効率よく組み立てていかなくてはいけないと話し、スマート林業機械に対する期待を表した。









