中山間地域のスマート農業技術/北海道大学スマート農業教育拠点がセミナー

北海道大学スマート農業教育拠点は11月20日、とりぎん文化会館(鳥取県鳥取市)で、「中山間地域におけるスマート農業技術の利活用セミナー」を開催。約130名が参加した。セミナーでは農業技術を開発する各大学の責任者が登壇して基調講演を行った。講演後は「スマート農業と中山間地域農業を考える」をテーマに、鳥取県、ヤンマーアグリジャパン(株)、田中農場、農研機構が話題を提供、参加者と活発な討論を繰り広げた。午後は鳥取大学のフィールドサイエンスセンターに場所を移し、近隣圃場でスマート農機の実演を見聞した。
セミナー冒頭では鳥取大学の明石欣也農学部長が「中山間地域の農業。日本の国土を考えると、同地域は主要な地勢であり、同地域でスマート農業技術を使い、ひいては次の新しい農業のあり方をつくることが重要なこと」などと挨拶した。
続いて基調講演に入り、北海道大学の星野洋一郎教授が登壇。「楽しく学ぼう!スマート農業」をテーマに、スマート農業を楽しく学べる2つの教材を紹介した。その1つは、同大学スマート農業教育拠点が発行・編著した冊子「スマート農業ってなに?」。もう1つは2年を費やして作成したという本「スマート農業オンライン講座 フォローノート2023」である。
同冊子は16頁の構成で、複雑化するスマート農業の全容をわかりやすくまとめており、現在のスマート農業の基礎から最先端に至るまでかいつまんで説明している。一方、フォローノートは、基礎・応用・トレンド編に分かれ、北海道大学作成のビデオ教材「スマート農業オンライン講座」を基に、スマート農業全般を網羅し、学生からプロ農家まで楽しく読める内容となっている。
次に京都大学の飯田訓久教授が「小型スマート電動農機の開発」を話題にした。飯田教授自身、所有する田んぼで草刈りに勤しむ身であり、草刈りに伴う労働の過酷さを熟知している。いわんや人手の少ない中山間地域の広範な草刈り作業となると困難を極める。そこで人手がいらない、バッテリーチャージ式の電動草刈機を開発した。
同機の概要をまとめると、(1)バッテリーで動く電動農機を開発(2)GNSSベース自動走行による草刈り作業の実証(3)ARマーカー検出による充電ステーションとのドッキング(4)農機と作業に関する情報のWebでの可視化―となる。
「果樹類の花粉採取と授粉作業の省力化を可能にするスマート農業技術の開発」の話題では鳥取大学の竹村圭弘教授が登壇。梨の生産量は千葉県が全国1位であるが、梨の生産に欠かせない花粉の75%を輸入に依存しているとし、輸入花粉は供給が不安定で価格が高く、しかも花粉を介した病害が伝播する事例もあると警鐘を鳴らした。
そこで国産花粉を大いに活用するべく、花蕾の一斉採取と葯の精選を同時に行う「自走式花蕾採取機」及び、葯殻の混入する粗花粉から純花粉を精製する「純花粉精製機」の開発に取り組み、国産花粉の安定供給体制を確立し、合わせて作業の省力化も図ると説明した。
基調講演のあと、ヤンマーアグリジャパン中四国支社アグリサポート部の小林誠部長が壇上に上がり、同社の紹介および「スマート農機・高性能機器を利用したニンジン野菜機械化一貫体系による浜田市の有機野菜産地化」として、島根県の事例を紹介した。
事例ではヤンマーのハイクリアランス仕様のトラクタ「YT225A」を使い、畝立て、播種、除草、追肥作業を1台で行い、人力作業の省力化を実現できると強調した。加えてGNSS・自動操舵を利用して圃場登録を行ったところ、誤差2~3センチで畝立て、播種、除草、追肥等の管理作業の高精度化を確認できたと説明した。
セミナーのあと、参加者は鳥取大学に移動し、中山間地域で導入できる最先端のスマート農機の実演を見聞した。









