埼玉県深谷市でスマ農勉強会/中日本農業研究センターなど

農研機構中日本農業研究センターは11月22日、埼玉県、深谷市と共催で、深谷市役所大会議室などにおいて、スマート農業技術実地勉強会「ロボット技術やドローンなどによる農業のスマート化」を開催した(一部Web併催)。これには、会場・Web合わせて160名以上が参加した。
埼玉県及び深谷市で推進されているスマート農業の事業や、同市にて自律走行型ロボットを用いた農薬散布代行サービスを展開している(株)レグミンの取り組みなどを紹介し、露地栽培で使えるスマート農業技術の情報を共有した。同会議室で講演会を行った後、市内にあるレグミン作業所及び現地圃場に移動し、同社の農薬散布ロボットの現地実演会が開催された。
開会にあたり挨拶した中日本農研センターの橘田和美所長は、能登半島被災者にお見舞いを述べた後、農業をめぐる情勢について、今夏も猛暑になったことを振り返り、異常気象が常態化する懸念を提示。さらに担い手不足や地域社会の弱体化といった山積する課題を解決するべく、スマート農業の普及促進が求められていると語り、農研機構としてもスマート農業施設供用推進プロジェクトを新設するなど取り組んでおり、さらに技術普及に注力していくとし、今回の勉強会がスマート農業の理解に役立つことを願うなどと語った。
続いて、農研機構によるスマート農業に関する情報提供、農林水産省・飯田聡美氏によるスマート農業技術活用促進法の説明があった後、4講演が行われた。レグミン代表取締役・成勢卓裕氏は「自律走行型ロボット等を活用した農薬散布サービス」と題して同社が展開している農業ロボットの研究開発及び、農作業受託サービスについて説明。令和3年度のスマート農業実証プロジェクトで農薬散布サービスならびにリモート圃場カメラによる生育モニタリングの実証に取り組み、県推奨水準に匹敵する適切な農薬散布の実施や、監視コスト及び生産コストの低減など目標を達成。これらの実証成果を踏まえてさらに改善を重ね、同社の農薬散布サービスは今では近隣の農業法人をはじめ個人の農家からも依頼が増えているという。また、サービスを通して農家と交流することでニーズをつかみ、同ロボットにおける除草機能などの追加のほか、ネギ出荷調製作業の自動化及びハウス栽培の農薬散布など、新技術の開発も進めているという。兵庫県などロボットの他地域への展開の話も進んでいるなどと紹介した。
一方、石川県農林総合研究センター・植松繁氏は「ドローンセンシングデータの広域シェアリングを核とした土地利用型作物におけるデータ駆動型農業推進の取り組み」と題して講演。水田率が9割を超える石川県では農地集積・大規模化が進む一方で、分散錯圃のため生育状況の把握が難しく、生育ムラなどが発生し、広範囲に生育を診断・対応する技術が必要だった。そこで、農林水産省事業により、新たな仕組みとして「広域画像収集プラットフォーム」を構築・導入のうえ採用した。
これはドローンによる空撮・データ収集作業を(株)オプティムを介して地域オペレータにアウトソーシングし、解析したセンシングデータをJAなど地域の農業者組織でシェアリングすることで、画像収集の労力やコストを低減する取り組み。さらに、今回は従来よりも撮影高度を上げることで、1日当たり約1000ヘクタールと短時間で広範囲の撮影を可能にした。
また、データに基づいた栽培管理情報などを農業者に通知する農作業支援アプリ「アグリレコメンド」も導入し、農業者は自ずとデータ駆動型農業を実践できるようになった。これらの取り組みにてドローンを活用した広域生育診断ノウハウを確立し、JA松任及びJA能美管内で1時期当たり約4000ヘクタール規模と国内最大規模の広域画像収集を実現。これにより大麦の追肥診断を実施したところ、実証経営体では地域単収と同等以上の収量向上効果を得たという。この取り組みはJA小松市などに横展開しており、今後も県内の他地域はもちろん、全国レベルで導入・普及を図っていくなどと述べた。
その後、深谷市役所産業振興部産業ブランド推進室・福嶋隆宏氏による「儲かる農業都市ふかやの実現に向けたDEEP VALLEYアグリテック集積の取り組み」、埼玉県農林部農業支援課・安西智美氏による「埼玉県におけるスマート農業の取り組みについて」―の講演を実施した後、マイクロバスにて市内のレグミンの作業所及び現地圃場に移動。同社の農薬散布ロボットの実演と説明が行われ、参加者はそれぞれ積極的に質問をしていた。









