MENU
令和6年11月25日発行 第3530号 掲載

データ用いた人工光型植物工場/農研機構が研修会

 農研機構植物工場九州実証拠点は12日、令和6年度第1回農研機構植物工場九州実証拠点スマートグリーンハウス展開推進研修会「データを活用した人工光型植物工場の最新動向」をオンラインで開催した。
 開会挨拶した農研機構九州沖縄農業研究センター暖地畑作物野菜研究領域領域長補佐・渡辺慎一氏は、40名以上の参加者に謝意を述べ、同センターの久留米拠点では人工光型植物工場の生産性向上のためにレタスの生育予測技術の研究などを進めていると説明。それを踏まえて、本研修会では、人工光型植物工場における栽培管理者の技術向上や人材育成を目的として、データを活用した人工光型植物工場の最新動向を紹介すると語り、参加者各位が関わっている植物工場における野菜生産などにぜひ役立ててほしいなどとコメントした。
 続いて講演に移り、同センター同領域施設野菜グループ主任研究員・中井勇介氏による「人工光型植物工場入門」、(株)ファームシップ研究開発部門取締役・宇佐美由久氏による「光合成エンジニアリングによる植物工場の未来」、大阪公立大学大学院工学研究科機械工学分野教授・福田弘和氏による「農業デジタルツインにおける植物モデリングの基礎研究と展望」―の3講演が行われた。
 中井氏は(1)人工光型(2)人工光・太陽光併用型(3)太陽光利用型の3種類がある植物工場のうち、今回は(1)に注目。その特徴は室内にて作物の生育に必要な環境条件などを管理することにより、気候や天候に依存せず病害発生を抑制できるもので、規模はリーフレタスで家庭用の月産3株~日産3万株まで幅広く、栽培方式は水耕栽培をベースにDFT(湛液循環式)・NFT(薄膜型水耕)・噴霧式があるが、現在はDFTの採用が多いとした。
 室内で野菜生産ができる人工光型工場は、砂漠や南極などの極地、耕地面積が狭いシンガポールなどで利用が進んでいるとし、同工場における研究は、北米が先端を走り、中国と日本が後を追い、中東・ロシアなどが追従して導入を進めている形だと語った。
 一方、栽培品目については葉物野菜の他、イチゴやトマト、キュウリなどの果菜類、ラディッシュやミニ大根など根菜類もあるとし、栽培技術は成熟してきた印象と述べた。そのうえで、商業的な背景から栽培の約9割がリーフレタス、次いでイチゴが2位となっているが、昨今は漢方薬などの生薬や高含有アントシアニンなど付加価値の高い野菜、遺伝子組み換え植物を活用した犬の歯周病予防薬などの開発が行われており、国内外で植物工場での栽培適性の高い品種の育成が進められているなどと紹介した。
 他方、宇佐美氏は全国に人工光型植物工場を展開するファームシップ社の取り組みと、目指している植物工場の未来及びその技術を紹介。
 同社グループは植物工場の生産から販売までバリューチェーン全体をサポートしており、大手企業の植物工場事業参入を支援しつつ、野菜の販売・流通は同社が請け負うと説明。事業展開例として、静岡県沼津市におけるホウレンソウ植物工場を示し、最新大規模植物工場モデルの実証を目指していると語った。植物工場野菜の市場は現在、主流のレタス類は横ばいが続くものの、ホウレンソウ・ハーブ類やイチゴ・トマト類、ワクチンその他など新しい品目で拡大が続くと見込まれており、将来に向けてさらなるコスト削減と多品種対応が重要になると指摘。
 そこで必要になる技術として、(1)AIによるバリューチェーン効率化システム=AIで需要と生産を予測し、農作物を過不足なく生産(2)革新的省エネ植物工場=無駄なくジャストインタイム生産を行い、AIで需給調整、多品種対応(3)スマートアグリソリューション=バイオものづくりの顧客ニーズに応じて、葉物野菜~微細藻類などあらゆる光合成生物の事業化をサポートする大規模植物工場ソリューション―等を示した。

カテゴリー別最新ニュース