米価格アップで上昇気流に/青森県特集

米価格の上昇が農機市場のありようを一変させる。その影響力の強さを改めて青森県で思い知らされた。とくに津軽地域は、リンゴの安定感にコメ場ゆえの上げ潮が加わり、防除用SS好調、稲作用秋商品・米の調製機が活性化と、上半期に漂っていた資材価格高止まりなどによる停滞感を吹き飛ばした。ただ、この気流の反動も懸念しており、各社とも年内から来春へのダッシュに全力を傾ける。秋の展示会シーズンを迎えた青森県を歩いた。
今年の県内農機市場は、上期と下期で環境が大きく変わった。
(株)ヰセキ東北青森支社の成田友洋支社長は、「4月頃に米の値上がりの話が巷間広がり、作業が始まってから機械が動き始めた。下期は尻上がりで、米の価格がいかに農家に影響を与えるかを改めて思い知った」と振り返る。
昨年来、実演会などで推してきたトラクタBFシリーズは評判が良く、大型トラクタ主流の南部地域でも管理作業用に入っているという。「ガマンしてきた農家さんの購入意欲がアップしているのは確か。BFトラクタをはじめ、この秋の需要もあった新型コンバイン・フロンティアマスターや新製品のフロンティアファイター、田植機、また、後付けができる自動操舵システムCHCナビなど、実演を通じて実績につなげたい」と意気込みをみせる。
ただ、米価格の先行きには不透明感があり、来春まではこの勢いが持続すると期待感を持ちつつも楽観できる市場ではない。来年からは組織体制が変わる。当面は現状通りということだが、様々な面で変化をクリアしながらの対策遂行になる。この期にどれほど貯金ができるか、社内一丸の営業推進に力を尽くす。
(株)みちのくクボタ青森第1営業部の佐藤和也部長は、リンゴ、稲作ともに作物価格が上昇、「津軽の市場環境はいい」とした上で、集約化・大規模化が進行し、担い手・スーパー担い手の経営体では、スピーディー作業、省力化・省人化が一層求められ、ICT農機によるニーズ対応・実績づくりが進んでいるという。また、すでに移植栽培のほとんどは密播で、今後は直播が増える可能性があり、土質が合えば不耕起・直播を採用するところも出ていると指摘。例えば牽引式の作業機ニーズが増えているなど、それぞれの経営体の要望にマッチする機械化提案の重要性を強調した。
市場環境の良さは、修理代金をまけてくれといった話が出ないという現状の様子からもうかがい知れる。
同社青森営業本部長の高橋了介常務は、「いまは第一に受注を進めることに力を尽くす。また、小物商品を含めてクボタのお客様になっていただくための製品を提供しクボタのファンを増やす。
一方で、安価版農機完売の動きをみると、担い手の経営体に対する推進はもとより、中小規模農家へのアプローチも大切になる」と営業の重点項目を示し、個々の営業マンの力量強化とともに、チームで顧客対応力を上げていく体制整備にも注力しているとした。
今期目標のクリアは確実。来春需までは目算が立つが、それ以降の見通しはいまのところ不透明感が漂う。米の価格アップで生まれた上昇気流を最大限に活かしつつ、顧客農家の増加・定着の活動を不断に進めていく。
ヤンマーアグリジャパン(株)北東北営業部は取材期間中の8、9の両日、上北郡六戸町の同社敷地内で、秋の展示会を開催した(詳細は別掲)。南部畑作地帯とはいえ、十和田市ほか稲作が活発に行われている地域もあり、米価格が上昇している勢いを受けて、コンバイン、田植機、播種機、計量機、精米機など、常になく稲作用製品のPRにも力が込められた。
横濱良隆青森ブロックエリアマネージャーは、ナガイモの収穫本番はこれからだが、価格水準は良くなってきており、収量が多ければ農家の機械投資意欲が出てくると期待を向けつつ、「全体的には畑作用機器が主体の市場になる。超低速作業が必要な畑作物では、自動操舵システムの優位性がアピールできるし、有効な営業対策としては実演が大きなポイントになるので、社内的にも知識を高めながら、しっかりとお客様対応を進めたい」とこれから来春にかけての活動量アップを強調。「今回の展示会を起爆剤に需要を掘り起こしたい」とも。
他方、稲作地帯のつがる市に拠点を構える津軽ブロックの福原勝エリアマネージャーは、米価格の上昇に加え、リンゴの作柄が安定的に推移したことから、とくに下半期の市場の活力増を指摘。「SSが良かった上に米関連では秋もの、調製機の動きが活発で、この盛り返しの勢いは来春までいくのではないか」と展望。集約化・大規模化がさらに進展している中、稲作では慣行の移植栽培のほか、密苗、乾田直播、あるいは不耕起・直播などの組み合わせによる労働負担の軽減、省力化・省人化意向が強まっており、それら各技術への対応に万全を期す。
また、普及度合いが高まる自動操舵システムに関連しては、新たに取り扱うY―POINT・(RTK補正情報提供サービス)や栽培管理システムザルビオとの連携など、ICT技術・スマート農業技術への対応にも意欲を示した。
三菱農機販売(株)青森支店の吉田司支店長は、南部畑作地域の作物価格が安定してきたことで、環境はまずまずと。普及に力を入れてきたヒサルラー社のディスクハローおよびショートディスクハロー・KUSANAGIについては、Web効果で問い合わせが増え、実演依頼に応える機会はかなり増えたとし、畑作・稲作の両面で引き続き実演を進め実績に結びつける考え。大型トラクタは苦戦しているが、管理作業向けの小型は期待できるとのこと。
津軽地域はコンバイン整備や米関連機器の拡販で多忙を極め、来春に向けては水田用のインプルメント、あるいは田畑輪換を担うスピーディー作業機に期待しているという。
実演で製品理解を進め実績づくり―の基本方針は変わらず、市場環境の上げ潮に乗せていく。









