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令和6年11月18日発行 第3529号 掲載

第29回テクノフェスタ開催/農業食料工学会

 農業食料工学会(飯田訓久会長)は8日、埼玉県さいたま市の農研機械農業機械研究部門(長崎裕司所長)で、第29回テクノフェスタを開催した。今年のテーマは「ロボティクス技術の現場導入の加速化に必要な取組」で、「農作業自動化におけるロボティクス技術の展開」と題して、東京大学大学院情報理工学系研究科教授の深尾隆則氏が基調講演を行ったほか、開発賞受賞講演として、(株)ササキコーポレーション、井関農機(株)、(株)クボタ、三菱マヒンドラ農機(株)の開発担当者が受賞機の特徴などを発表した。
 冒頭、飯田会長、長崎所長があいさつし、テクノフェスタにおける先端技術に関する各種の話題提供が会員の活発な議論につながり、有益な会となることを期待した。
 基調講演した深尾氏は、農業のロボット化・自動化のポイントとして(1)リアルタイム性=少なくとも「人と同程度の作業速度」を満たす処理(2)高精度=「数センチオーダー」の作業に対する要求(3)ロバスト性=圃場の凹凸等による外乱、屋外環境下(4)コスト=ターゲット経営体(販売数量、技術発展の不確定性)、地域単位での取り組み―をあげた。
 AIロボットの社会実装を進める上での課題としては、市場などの求める農産物の過剰品質がロボット化のコストを引き上げる要因の1つとし、収穫物の品質とコストのバランスを考えた栽培が重要だとした。また、AI利用製品化が可能なメーカーが不足しているとし、企業、ベンチャーの参入を促した。また、農業においては、育種や栽培方法の改良も重要であり、「人工知能・計測・制御・機械・農学の融合」が求められるとした。
 開発賞受賞講演は、開発特別賞の「マルチインプルメント ブームマスターZ」(ササキコーポレーション・長畑友之氏)、開発賞の「乗用型じゃがいも植付機(1条)の開発」(井関農機・清家丈晴氏)、「施設園芸向けしおれ検知自動潅水制御システム(Hamirus:ハミルス)の開発」(クボタ・片岡麻子氏)、「小型ディスクハロー『KUSANAGI』の開発』(三菱マヒンドラ農機・斎藤秀樹氏)の4氏が発表した。
 開発特別賞を受賞したササキコーポレーションのブームマスターZは、従来機(SBM360)をさらに発展させるため、▽作業部はブームと一体的であるので、目的に応じてインプルメントごと交換が必要▽格納時に後方への視界を妨げる場合がある▽操作箇所が多いため、慣れるまでに一定量の技量を要する▽さらに遠方での作業を可能にする―などの課題を解決した。着脱機構によって作業部位のみを交換可能とすることで、ブーム本体部は共通のままで多様な作業場所に適応。作業部は、フレールモアと際刈りアタッチの2形態をラインアップした。
 井関農機の乗用型じゃがいも植付機は、従来機の歩行型を乗用型に改良するため、作業、乗車しやすい乗車部、ぬかるんだ圃場での走行・直進性能、座ったままでの楽な種イモ供給機構などの課題をクリアした。
 クボタのHamirus:ハミルスは、作物体内の水分が不足することにより生じる「しおれ」を数値化し潅水制御に利用する方式であることから、定性的なしおれ状態の見える化や、しおれ状態を利用した安定的な潅水アルゴリズム開発などにより、作物の大きさの違いや天気の急激な変化があっても常に作物が必要とするタイミングで潅水を実行することができ、設定変更の労力軽減や収量品質低下の防止に貢献するもの。
 三菱マヒンドラ農機の「KUSANAGI」は、トルコから輸入販売している大型ディスクハローが好評である一方、50PSくらいのトラクタで使いたい、もっと小さいディスクハローはないか、水田でも使いたい―といったニーズに対応し、水田を含む中規模農家向け(経営面積約3~15ヘクタール)に開発した。小型軽量化による作業機の浮きを独自のチゼル機構で抑制するなどの工夫をこらしている。

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