農業を取り巻く環境/第30回JA全国大会議案

【食料・農業・農村を取り巻く環境】
1 食料・農業・農村基本法の改正
食料・農業・農村基本法は、第213回通常国会において改正されました。食料安全保障の確保を軸として、人口減少下でのスマート農業等の活用による農業生産性の向上、環境と調和のとれた食料システムの確立、農村における地域社会の維持等が今後の中長期的な食料・農業・農村政策の大きな方向性となります。また、JAグループ等農業関係団体が基本理念の実現や食料・農業・農村振興に重要な役割を果たしていることが明記され、地方公共団体・企業等、JAグループ内外と連携して今後もその役割を発揮していく必要があります。
今後は次期食料・農業・農村基本計画の策定が予定されており、改正基本法や関連法の改正内容をふまえ、施策の具体化、実践をはかっていくことが重要です。
2 国際情勢の変化に伴う生産資材価格の高止まりと適正な価格形成の必要性
国際情勢の緊迫など地政学的リスクの高まりにより、肥料・飼料・燃料等の生産資材価格は高止まりしています。厳しさが増す農業経営を持続可能なものにしていくためには、法制化も含めた国産農畜産物の再生産に配慮された適正な価格形成の実現と経営安定対策の両立が必要です。
また、海外輸入依存度の高い農作物の生産拡大や生産資材の国内資源活用拡大など過度な輸入依存を低減して国際情勢による影響を小さくすることにより、平時からの食料安全保障の確保に取り組んでいくことが求められています。
3 農業生産基盤(人・農地)の弱体化
中山間地をはじめとした農村部における人口および基幹的農業従事者数の減少・高齢化の進行は止まらず、耕作放棄地・荒廃農地の拡大も継続しています。農業経営体数は減少傾向で推移するなか、担い手への農地集積率が6割程度となり、今後、担い手が農地の受け皿として全てに対応し切れなくなっていくことが想定されます。
また、多くの産地で生産基盤の弱体化や出荷量の減少がすすむなか、共同利用施設の老朽化が顕在化しており、更新・修繕が今後、必要となっています。
「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」として、JAグループが農業者を支え、農業生産基盤である「人と農地」を守っていくためには、次世代の担い手確保のための事業承継・相続対策や、農地の総量確保と適正利用に向けた取り組みが課題です。また、担い手以外にも多種多様な農業の関係人口の増加やスマート農業による労働生産性向上、労働力支援もさらに必要となっています。
政府は、令和3年5月に策定した「みどりの食料システム戦略」の実現に向けて、令和4年7月に「みどりの食料システム法」を施行し、2050年のめざす姿の実現に向けて、取り組みを推進しています。
JAグループは、第29回JA全国大会において、環境調和型農業を推進していくことを決議し、令和6年3月には「JAグループ環境調和型農業取り組み方針」を決定しました。頻発化・激甚化する異常気象・自然災害や国内外における環境問題、脱炭素等への関心はさらに高まっており、諸外国の動向や生産現場の課題をふまえつつ、環境調和型農業や脱炭素等の取り組みにより、農業の持続性を確保していく必要があります。
5 物流2024年問題への対応
現在、トラックドライバーは非常に深刻な担い手不足の状況にあります。令和6年(2024年)4月より適用されたトラックドライバーの時間外労働の上限規制などの影響により、安定した輸送力の確保が困難になると懸念されており、円滑な食品アクセスの確保をはかるためにも物流の適正化・効率化・標準化をよりすすめていく必要があります。









