関東農政局がみどり戦略勉強会/土づくり関連機器特集

関東農政局は10月30日、みどりの食料システム戦略勉強会(第24回)をオンラインで開催した。自治体、農業者・農業法人、農業団体、食品等事業者などを対象に毎月実施しており、今回から「バイオ炭の農地施用によるJ―クレジットの活用」をテーマとしている。その初回は「農業分野の脱炭素と減化学肥料を実現する高機能バイオ炭『宙炭(そらたん)』の活用事例について」と題し、株式会社TOWING取締役COOの木村俊介氏が講演した。同社は、高機能バイオ炭「宙炭」を開発・販売する名古屋大学発のスタートアップで、J―クレジットの発行・販売や、宙炭を活用して栽培した作物の販売なども手掛ける。
主力商品「宙炭」は、植物の炭等のバイオ炭に微生物を付加し、有機質肥料を混ぜ合わせて管理した人工土壌の技術「高機能ソイル技術」を活用したもので、脱炭素と減化学肥料を両立し、生産性も向上させる資材として期待されている。あらかじめ、状態の良い土壌の微生物群をバイオ炭の中に構築することで、通常3~5年かかかる土づくりを約1カ月で実現。同社独自のバイオ炭の前処理技術や微生物培養等の技術と、農研機構の開発技術を融合させて実用化した。
木村氏は「宙炭」活用のメリットとして、(1)土壌健康状態の改善(2)地域のバイオマス活用による化石資源の代替(3)食料生産システム由来のGHG排出の低減―をあげた。(1)については、土壌微生物の総量が増え、有機体窒素の利用効率などが向上することや、安定して中性帯を保持できることなどを示し、土壌の生物性、化学性、物理性の全てで改善が見込めることを説明。(2)については、宙炭を使って1カ月土づくりをした畑は、5年間土づくりを行ってきた畑と比較して、有機肥料の利用効率が2倍になったという研究結果を提示し、化学肥料から有機肥料への転換につながるとした。さらに、土壌病害への耐病性向上の可能性もあることを示した。(3)については、バイオマスを炭にして投入することで、農地への効率的な炭素貯留ができ、CO2が排出されなくなると説明。10アール当たり約1トンのCO2除去を実現し、カーボンクレジットによる脱炭素を促進するとした。
同社の事業は商品の開発・販売に留まらない。▽土づくりソリューション:宙炭の販売、営農指導▽アップサイクルソリューション:未利用バイオマスのバイオ炭化処理を担うプラント導入の推進▽GHG削減、作物販売:カーボンクレジット創出・販売、作物販路提供―という流れで、トータルな食料生産システムサービスの提供を行う。木村氏は「バイオマスの入口からクレジットの出口まで、一気通貫でのビジネスモデルを構築している」と自信をみせた。
同社は、間もなく茨城県で始まる有機JAS生産圃場の新規整備事業への参画も予定している。1・1ヘクタールの圃場に20~30トンの宙炭を投入する大規模なプロジェクトで、みどりの食料システム法が目指す方向性に沿ったものであるとし、「有機JASの圃場整備と、早期立ち上げという観点において、宙炭が有効な一手となる可能性がある」と期待を寄せる。
今後は、国内での様々な実績をベースに、グローバル展開に向け、積極的な取り組みを進めていくとした。









