全国でマッチングフォーラム/土づくり関連機器特集

農林水産省の補助事業により、「国内肥料資源の利用拡大に向けたマッチングフォーラム」が各地で開催されている。
これは、下水汚泥資源や畜産堆肥などの肥料原料を供給する事業者や肥料メーカー、肥料販売事業者、それら肥料を活用する耕種農家等の幅広い関係者が一堂に会し、関係事業者同士の情報交換や連携づくりの場として行われているもの。
同省は持続可能な農業生産の実現に向け、化学肥料の利用低減とともに、堆肥や下水などの国内資源の肥料利用を拡大し、輸入原料に過度に依存した肥料利用からの転換を進めていくために、昨年2月に原料供給事業者・肥料製造事業者・耕種農家の関係者が連携する「国内肥料資源の利用拡大に向けた全国推進協議会」を設置した。
同協議会の取り組みの1つとして、同マッチングフォーラムが進められており、令和5年度は6月に都内で「同マッチングフォーラムin東京」が初開催されたのを皮切りに、同年9月に熊本で「フォーラムin九州」、今年1月に宮城で第3回の「フォーラムin東北」、3月に愛知で第4回の「フォーラムin東海」と計4回のフォーラムが開催された。そして、今年度においても9月に広島で「フォーラムin中国四国」が開催され、来る12月4日には北海道札幌市で「フォーラムin北海道」が開催される予定となっている。
同フォーラムでは肥料原料供給者や肥料製造事業者、農業機械等メーカー、肥料販売事業者、相談窓口、その他がそれぞれブースまたはポスター出展を行い、それぞれの取り扱う商品やサービス、ニーズなどをアピールするほか、基調講演や先進事例先による取り組み事例発表、出展者数社によるショートプレゼン、農林水産省からのお知らせが発信される密度の濃い内容となっている。初回の東京におけるフォーラムをはじめ、各地のどのイベントも盛況を博し、国内肥料資源にかかる関心の高さが表れている。
ここでは、過去に行われたフォーラムから基調講演などの概要をみる。
昨年6月に東京で開催されたフォーラムでは、秋田県立大学名誉教授・金田吉弘氏が「有機質資源を活用した持続的農業の展開を目指して」と題して基調講演。金田氏は生産現場において田畑輪換で安定収量を目指す動きが増えているが、大豆栽培は土壌中の窒素を減らすため、有機物施用が土壌中の可給態窒素の維持及び、持続的農業に有効と指摘。そのうえで、化学肥料と有機物両方の特性を活かすことが重要になると述べ、有機物を活かすためのポイントとして、有機物の特性を知ることや、土壌診断の実施、現場の課題に合った有機物を選択すること、養分吸収を高める根圏環境を整えるために根を重視した機械作業等が必要になるなどと語った。
一方、昨年9月に熊本で開催されたフォーラムでは、農研機構九州沖縄農業研究センター研究推進部技術適用研究チームチーム長・荒川祐介氏が「国内の肥料資源の有効利用による持続的農業の展開に向けて~混合堆肥複合肥料を事例に~」と題して基調講演。国内肥料資源の有効利用に向けて機運が高まっていることを踏まえ、(1)堆肥のペレット化(2)混合堆肥複合肥料の製造とその利用における先進例(3)国内資源の肥料原料化への7課題(4)下水汚泥資源の肥料利用の好事例―について話題提供した。
うち(1)は家畜ふんの堆肥化は最も安価でかつ実際的な処理方法であり、土づくり、作物の品質向上、化学肥料の使用量低減等に役立つものの、輸送コストや専用の散布手段などが必要になることから、ペレット化や化学肥料との混合など、耕種農家が使いやすい肥料の実用化が進んでいるとした。堆肥ペレットは取り扱い性の向上や品質の安定で優れるものの、普及上の課題として、設備投資や加工コストが必要・散布量が多い・主成分の含有量と作物の要求量が合致しない・地場流通が中心―などがあげられ、製造効率化や広域流通が求められる等と語った。
今年1月に宮城で開催されたフォーラムでは、山形大学農学部食料生命環境学科教授・渡部徹氏が「下水道資源の農業利用の現状とこれから」と題して基調講演。下水汚泥の農業利用は約1000カ所の下水処理場で取り組まれているが、全汚泥発生量に対する割合は1割に留まっており、これを高めるのが課題だと指摘。氏らが実施したコンポストを用いた多肥栽培の比較試験では、飼料用米は収量は慣行区と有意差はなかったものの、タンパク質含量が少ない結果となった。デントコーンについては収量・質ともに慣行区と有意差はなく、コンポスト施用で化学肥料を代替でき、さらに土壌微生物が大きく増加する結果を得た。渡部氏は下水道資源利用により食・資源・経済の地域循環を実現でき、肥料・飼料・食品の輸送を減らせば温室効果ガス排出も削減できると述べ、スマートテロワール(循環型農村経済圏)の構築を国内外に進めていくべきだと提案した。
他方、今年3月に名古屋で開催されたフォーラムでは、基調講演として中日本農業研究センター温暖地野菜研究領域有機・環境保全型栽培グループ主席研究員・徳田進一氏が「畜産廃棄物由来有機質資材による化学肥料代替技術についての研究開発」を発表。国が進めるみどり戦略で土壌肥料分野は、化学肥料の使用量低減及び有機農業の取り組み面積拡大において大きな役割を果たすと述べ、氏が取り組んだ家畜排せつ物由来有機質資材(おがくず牛ふん堆肥・メタン発酵消化液・炭化鶏ふん)に関連する研究を紹介。牛ふん堆肥連用キャベツ栽培試験を行い、化成肥料使用区と比べたところ、牛ふん堆肥のみで化成肥料と同等の収量を確保するには、化成肥料の3倍量の全窒素に相当する量の堆肥連用が必要と判明。一方で、土壌の状態については、堆肥連用区は化成肥料使用区に比べて土壌の全炭素・全窒素含量が施用量に応じて増加、pHを維持したなど土壌の肥沃度維持に効果がみられ、肥沃度維持に堆肥施用が役立つなどと語った。









