MENU
令和6年11月4日発行 第3527号 掲載

丸山製作所・安田輝毅氏/陸内協・技術フォラーム

 先月16日に都内尾山台の東京都市大学で開催された第24回技術フォーラム。一般社団法人日本陸用内燃機関協会(田尾知久会長)が「協会の3大イベント」の一つと位置付ける技術フォーラムは今回、菅元首相による2050カーボンニュートラル(以下、CN)宣言により、よりフォーカスされるようになったCN対応の有力技術を取り上げて、現状の共有を図った。特に内燃機関のこれからにも展望をもたらす水素エンジン関係やCN実現に向けた燃料動向を話題とし、この先の展開、可能性等を掘り下げている。例年にも増して協会会員の関心も高く、併催したWeb開催と合わせ200名以上が参加した同フォーラムの講演内容をフォローした。 24回目となる今回の技術フォーラム2024では、(株)丸山製作所の安田輝毅氏が「2ストロークサイクルエンジンへの水素燃料の適用」、三菱重工エンジン&ターボチャージャ(株)(MHIET)の古川雄太氏が「陸用内燃機関のCN燃料対応への取り組み」、そして(株)橋本屋の友金卓也氏が「英国および欧州のCN燃料動向」をテーマに講演した。
   ◇   ◇  
 最初に「2ストロークサイクルエンジンへの水素燃料の適用」。丸山製作所では、各種手持ち式作業機用の2ストロークエンジンの水素運転に着目し試作機を制作した。脱炭素に寄与していくとの考えの下、脱炭素燃料として使われているバイオ燃料、合成燃料e―fuel、水素燃料、アンモニア燃料の中で、「水素を燃料としたエンジンの排出ガスは無害な水となる」(安田氏)水素燃料に目を付け、特に(1)安定性(2)出力(3)エミッション(4)耐久性を検討する必要があるとして、開発に着手した。
 安田氏は、中でも水素燃料の特性として「低密度で点火範囲が広いことが特徴で、わずかなエネルギーで点火し、幅広い可燃範囲も小型2サイクルに適している」点をあげる。そして手持ち式作業機用では、小型、軽量、高出力を特徴とする2ストロークエンジンのメリットを損なわないように通常と同じ工程とし、80立方センチ単気筒の背負式ブロア用のエンジンをベースに用いて試作した。
 エンジンの構成は、シンプルでコストに優れた構成の観点から、圧縮工程前の筒内への低圧直接噴射を採用。安田氏は、燃焼異常及び出力に重点を置くと、直接噴射が水素エンジンの不具合を防ぐ最適なソリューションになると指摘する。また、手持ち式作業機の場合、搭載できる水素タンクサイズにも制限があることから、運転時間延長のためにも低圧での稼働は重要だという。
 その上で、安全機能、水素燃焼、異常燃焼、異常燃焼制御などの試験を重ねており、その結果、安定性については、異常燃焼を防ぐための電子制御が必要となるが、低圧噴射でこの現象を解決。出力も従来のガソリンと同等の水準が得られたことを確認。自己着火現象の発生など問題点はあるものの、OPEエンジンとして水素燃料は実用性があることが分かったと評価する。
 エミッションでも、水素燃料で窒素酸化物(NOx)が最も多い排ガス成分となったことや潤滑油由来の炭素化合物の排出を微量検出。水素燃料による金属劣化などの不具合も発生しないなど確認している。
 今後は水素タンクを採用し、部品を小型化することで屋外での作業可能な試作機の作成とともに、実際の圃場でOPE製品の動力源としての水素エンジンの可能性を探っていく予定。
 安田氏は「シンプルで安価な2ストロークエンジンでの水素運転は可能であり、それによって2ストロークエンジンの小型、軽量、高出力の特徴を活かした様々な用途での使用が想定される」とこれからの可能性を展望している。

カテゴリー別最新ニュース