FAO・トレロ氏が特別講演/国際農研、農林水産省など

国際農研(JIRCAS、小山修理事長)は10月8日、農林水産省及び外務省と共催で「FAOチーフエコノミスト マッシモ・トレロ氏 特別セミナー」をWeb開催した。世界の食料安全保障が直面するリスクや食料システムの抱える課題について分析し、その解決に向けたFAOの取り組みなどについて紹介。
開会にあたり、小山理事長ならびに農林水産省国際食料情報特別分析官・窪田修氏が挨拶。窪田分析官は、10月16日は世界食料デーであり、今年のテーマは「食への権利を、より良い生活と未来のために」だとし、世界的な飢餓人口増加で食への権利が満たされない状況に焦点を当てていると指摘。そうした状況を踏まえ、日本の農政では基本計画において平時から食料安全保障に向けて取り組んでおり、また、国際会議においても強靭で持続可能な食料システムを構築するためのイノベーションや投資、関係者と取り組む重要性を強調しているなどと語った。
続いて、トレロ氏が「世界食料栄養安全保障及び強靭な食料システム実現のための優先的政策・投資オプション」と題して基調講演を行った。トレロ氏は現状について、世界には慢性的飢餓7・33億人、食料不安23億人、経済的に食生活に課題がある28億人、急性食料安保危機2・8億人がいると述べ、その背景に紛争や気候変動、経済危機などの状況があると説明。急性の食料危機に直面する人々の割合は4年連続で高止まりしており、プラネタリーバウンダリー(地球の限界)では9つの領域のうち、淡水利用や生物多様性、気候変動、化学物質汚染など6つが危険領域を超えていると語った。さらに地球温暖化が進行し、気候ストレスに苛まれることも踏まえ、2030年における世界の栄養不良人口はコロナ禍前の予測に比べ1・3億人増加すると見通されている。
そこで、トレロ氏はアグリフードシステムの強靭化に向け、リスクの最小化とリスクが起こった場合の対応を図るため、早期警戒システムや食料危機予防対策資金、迅速対処法資金などへの投資を提案。食料安全保障と栄養の主な決定要因に対処するために、公的・民間含めて国内外から費用対効果の高い資金調達を行うことが重要であり、強靭なアグリフードシステムの変革を推進するべく、早期警戒システムやショックの吸収能力、回復メカニズムを構築することが必要だと述べた。









