新たな基本計画策定に向けて/農林水産省企画部会

農林水産省は10月16日、第111回食料・農業・農村政策審議会企画部会を開催し、基本計画の策定に向けた検討の視点について議論した。ここでは「農業生産活動における環境負荷の低減」の内容をみる。
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農業生産活動における環境負荷の低減については、次の(1)~(5)をポイントに、主な課題と検討の視点を示した。
(1)気候変動対策の推進 課題=▽農業分野・畜産業における温室効果ガスの排出削減対策・吸収源対策を各分野で着実に進める▽農業機械に関し、小型農機では実用化された電化技術は一部に留まるため、さらなる開発や導入支援が必要。大型農機では電化・水素化技術等の導入が課題▽園芸施設に関し、ヒートポンプなどの省エネ機器等は導入コストが高く、効果的な使い方の普及が必要であるほか、その他再生可能エネルギーの代替技術では加温の不安定性等が課題▽燃料燃焼以外で温室効果ガスの排出量が多い水稲栽培や畜産を中心に排出削減対策を進めるとともに、農地土壌での吸収源対策を進める
検討の視点=▽農林水産省地球温暖化対策計画に基づき、農業機械の電化やハイブリッド型園芸施設への移行、農地や畜産に由来する温室効果ガス排出削減、農地土壌炭素貯留等をJ―クレジット制度等も活用しつつ、着実に進める▽農業機械については、自動操舵システムや電動草刈機等の導入支援を図るとともに、小型農機の電化機種の拡大に向けた技術開発・実証や、大型農機での電化・水素化技術の利用拡大等に向けて、他産業で開発・実用化された技術の応用検討を推進▽園芸施設については、省エネ機器・省エネ型施設の導入支援に加え、ハイブリッド型施設モデルの作成、優良事例の横展開等を行うとともに、ゼロエミッション型園芸施設実現に向けた技術開発・実証が必要▽水稲栽培の中干し期間の延長、土壌診断や局所施肥等を通じた過剰施肥の抑制、家畜排せつ物の管理方法の変更や温室効果ガスの排出量を抑制する飼料などの開発・利用等を進めることで農地や畜産に由来する温室効果ガスの排出削減を進めるとともに、堆肥や緑肥、バイオ炭の施用等の土づくりを推進して土壌炭素貯留を進める
(2)化学農薬・化学肥料等の使用量低減
課題=▽リスクの低い農薬や技術の開発等には時間がかかることから、開発等の推進と併せて、既存技術の活用を図っていく▽化学肥料の原料の輸入依存を低減していく観点から国内資源の肥料利用を推進するとともに、環境負荷低減や持続可能な窒素管理の観点からも化学肥料のさらなる低減を図る▽「昆明・モントリオール生物多様性枠組」以降、生物多様性の損失を止め、反転させるネイチャーポジティブの実現に向けた動きが世界的に進む中、国内対策に加え、国際ルールメーキングにも参画する
検討の視点=▽総合防除体系や農薬使用を低減させるスマート農業技術等の産地導入支援、総合防除の実践指標の策定推進、有機農業の面的拡大、化学農薬の使用量低減技術や病害虫抵抗性品種等の開発、天敵等の新規資材の審査等を推進▽化学肥料については、AI等を活用した土壌診断の高度化等による施肥の効率化や、国内資源を利用した堆肥化・ペレット化施設の整備や関係者間での取り組み方針の共有、化学肥料低減に資するスマート農業技術の開発・普及等を推進▽農林水産省生物多様性戦略に基づき、生物多様性保全を重視した農業や技術開発を進めるとともに、国際環境交渉では、みどりの食料システム戦略をアジアモンスーン地域の持続的な食料システムのモデルとして提唱し、ルールメーキングに参画
(3)有機農業の推進
課題=▽移行期の単収が低く不安定である等、農業者が踏み切りにくい状況▽取り組みを点から面に広げていくために、地域ぐるみで有機農業に取り組む産地を拡大▽有機農業技術の体系化や指導体制が不十分。また、省力化等に資する有機農業技術のさらなる研究開発が課題▽販路確保のために、消費者の理解醸成に加え、消費地との連携拡大や、輸出拡大を図る▽麦や大豆等の加工原料は輸入への依存度が高く、国産有機原料の生産・取り扱いの拡大が課題
検討の視点=▽環境保全型農業直接支払交付金において、2025年度から、単収が低く不安定な移行期の重点支援を図る▽有機農業の推進拠点となる地域(オーガニックビレッジ)を拡大するとともに、みどりの食料システム法に基づく有機農業のモデル区域の設定を推進▽現場の実践技術を体系化し、広域的な技術の普及に向けた指導体制の構築を推進するとともに、除草作業の省力化・効率化に資する機械除草体系の確立等、次世代の有機農業技術の研究開発を推進▽学校給食での有機農産物の活用、産地と消費地が連携した取り組みの拡大を図るとともに、輸出についても産地や事業者の取り組みを後押し▽国産原料を使用した有機加工品の開発等、加工メーカーと産地が連携した取り組みを後押し
(4)バイオマスの利用拡大
課題=▽持続的に発展する経済社会や循環経済の実現に向け、地域資源の最大限の活用を図るべく、地域特性に応じたバイオマスの総合的な利用を推進
検討の視点=▽「バイオマス活用推進基本計画」に基づき、バイオマス産業都市の取り組みの推進や、地産地消型バイオマスプラントの施設整備等により、地域特性に応じてエネルギーやマテリアルとしての利用を進め、循環経済の実現に向けた取り組みを推進▽燃料利用については、バイオ燃料法による農林漁業者とバイオ燃料製造事業者の連携の促進や、資源作物の栽培実証等を進めるとともに、SAFについては、関係省庁と連携して国産原料による製造や廃食用油の回収方法等の検討を進める
(5)再生可能エネルギーの利用拡大
課題=▽FIT/FIPのみに依存しない再生可能エネルギーの農山漁村地域への導入推進や先進技術の導入が課題
検討の視点=▽農山漁村の再生可能エネルギーを地域の農林漁業関連施設等で活用する地産地消の取り組みモデルの構築や普及を図るとともに、次世代型太陽電池(ペロブスカイト)等の導入効果の検証などを行う









