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令和6年11月4日発行 第3527号 掲載

戦争中のロシア・ウクライナの農業/農林水産政策研究所が研究報告

 農林水産政策研究所は10月29日、研究成果報告会「ロシア・ウクライナ間の戦争と農業」をWeb開催した。今も続く戦争を背景に、共通の土台と懸隔を併せ持つ両国の農業のあり方を浮かび上がらせたもので、同研究所国際領域政策研究調査官の後藤正憲氏が報告した。これには全国から100名以上が参加した。
 後藤氏は戦争と農業はドローン・無人飛行機など技術転用が多く、複雑で有機的なつながりを持つと説明。そのうえで、2国は20世紀に同じ国のもとで農業の近代化を果たした歴史を共有する一方で、環境や国の方向性の違いから農業のあり方に大きな開きが生じていると述べ、今回は農業を構成する(1)生産者(2)土地(3)作物(4)水(5)肥料の5つの要素から両国の農業の特徴を明らかにした。
 (1)はソ連時代は集団農場(コルホーズ)と国営農場(ソフホーズ)がほぼ全体を占めていたが、ソ連崩壊後は両国とも過半数が組織経営に。そのうち親・子会社が垂直統合して巨大企業グループとなったアグロホールディングの存在感が大きいとし、これに対してロシアは国内、ウクライナは西側の金融機関による投資が大きいと語った。
 また、(2)土地はロシアでは国による土地の管理が強化される一方でウクライナでは土地取引の自由化が進展。(3)作物については、ウクライナでは企業を中心に輸出向け作物が増加しているのに対し、ロシアは種子自給率75%以上を目標に掲げ、農作物と資材の自給率を高める計画を推進しているとした。(5)肥料については、3要素全てを生産するロシアは化学肥料の国内供給を安定させ、生産を拡大。窒素肥料のみ生産するウクライナはロシアとの断絶などにより肥料供給に不安が広がっているなどと述べた。
 総じて、ロシア農業は政府が一元的に情報を集約・統括・制御して、政府を中心に盤石な基盤が築かれている一方で生産者の利益が犠牲にされる側面が大きいのに対し、ウクライナは実質的に民営化が進み、小さな政府と脱中心化の傾向が顕著になり、西側の金融機関への依存がますます高まっているなどとした。

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