秋田県農業試験場の病害虫防除の取り組み/秋田県農機ショー特集

秋田県農業試験場生産環境部病害虫チームの高橋良知主任研究員(水稲担当)と蛭川泰成研究員(園芸担当)に今年度の成果や現在の取り組みについて話を聞いた。
まず今年度の成果として、ハウスを使ったアスパラガスの半促成栽培における赤色防虫ネットを用いたネギアザミウマに対する薬剤防除回数の削減効果がある。生産現場における慣行防除では、主要害虫のネギアザミウマ対策として、2週間に1回程度の間隔で防除が行われている。同種に対して、侵入抑制効果がある赤色防虫ネット(サンサンネットクロスレッド目合0・8ミリ)を利用し、妻窓、出入口、側窓に展張することで、虫の侵入抑制や被害、薬剤防除回数の削減効果を大仙市とにかほ市の現地圃場で検証した。その結果、赤色防虫ネットを設置したハウスでは、ネギアザミウマの急増期となる6月下旬と、その後の収穫物への被害が確認された時期に、速やかに薬剤防除を行うことで、防除回数で慣行に比べ40~50%程度少なくなり、かつ収穫物の被害も抑制された。蛭川氏は「開口部すべてに赤色ネットをきちんと設置することに加え、虫の侵入が始まる時期前に設置することが重要」と話す。現在、食用菊で応用すべく試験している。
ネギにおける薬剤防除の省力化技術として、農薬散布ドローンの活用が期待されていることから、主要害虫であるネギアザミウマに対する農薬散布ドローンによる高濃度少量散布の実用性を検討した。「県北中心にネギのメガ団地化が進んでおり、大規模化に伴い、防除適期に農薬散布できないことがある。そこで、ドローンを活用した散布ニーズが増えていることを受けて試験した」と蛭川氏。結果として、ネギアザミウマに対し、地上散布とほぼ同等の防除効果が認められた。今回ベネビアODを使用したが、他の薬剤での効果も試験中で、今後、県の防除基準に追加していく考えだ。
一方、課題もみつかり、高濃度散布のために薬液が葉に付着した際、薬斑が取れない薬剤があることがわかった。ベネビアOD単用であれば問題ないが、一部の殺菌剤を混ぜて使用する際、薬斑が出ることがある。品質低下につながるため注意が必要だ。薬斑が出た薬剤については、出荷時の品質に影響しないよう収穫予定21日前までの散布指導を行っている。
県内のネギ圃場において、従来から発生していたネギハモグリバエのバイオタイプAとは食害の様相が異なり、多数の幼虫が葉を集中的に加害するバイオタイプBの発生が2020年に確認された。そのため、バイオタイプBの発生状況と同種に対する有効薬剤を調査した。食害の特徴と遺伝子診断により、県内の発生状況を調査。また、バイオタイプBが優占して発生している圃場で有効薬剤の検討を行った。結果、調査を行った24圃場のうち、ほぼ全県にわたる16圃場でバイオタイプBの発生が確認された。有効薬剤はブロフレアSC、アグリメック、ダブルシューターSE、ダントツ水溶剤、パダンSG水溶剤、ベネビアOD、リーフガード顆粒水和剤、グレーシア乳剤、ディアナSCで、バイオタイプAに効果がある薬剤はバイオタイプBでも効果があることがわかった。タマネギにも発生することがあり、注意が必要である。
現在行っていることは、秋蒔きタマネギと夏ネギにおける減農薬栽培体系の確立。害虫発生の時期を加味した散布回数の見直し、有機JAS規格に適合している薬剤を使った使用成分回数の削減などを行っている。また、枝豆につくダイズシストセンチュウの発生を抑制する緑肥の活用試験など、みどりの食料システム戦略にそった環境負荷低減を意識した取り組みを進めている。
水稲では、高温性病害である、もみ枯れ細菌病について、富山県の成果として有機質含有培土を使うことで抑制できることがわかっており、秋田県で流通している培土についても効果があることが確認できたため、現場使用に向けて準備を進めている。
今後はドローン農薬散布によるネギハモグリバエ防除の試験や昨年6月に県内で初めて見つかったトマトキバガの対策なども行う。トマトキバガは、令和2年に九州で初観測された侵入害虫。今年度、国から研究成果が発表されるため、その成果を応用して対策していく。
最後に生産者へのメッセージを聞いた。両氏は「害虫を取り巻く環境が変わってきているので、新しい情報を把握し、しっかり取り入れていただきたい。また、農作物に今までと違うことを見つけた場合には、どんな些細なことでも相談してほしい」と述べている。









