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令和6年10月28日発行 第3526号 掲載

新しい農に挑む・村上満氏/秋田県農機ショー特集

 20年に及ぶ「八郎潟干拓」により生まれた秋田県大潟村は、今年10月1日に創立60周年を迎えた。耕地面積1万1500ヘクタールを誇る国内最大の干拓地に全国から入植者が集まり、米作りを営んでいる同村では、現在も農家戸数こそ減少しているものの(当初589戸↓令和5年4月現在473戸)、その子孫をはじめとした村内の農業者が営農を継続している。
 今回、そうした大潟村の営農のもようを、三菱農機販売(株)東北支社秋田支店(佐藤浩二支店長・秋田県秋田市寺内字神屋敷295の28)並びに同支社大潟村営業所(武内幸緒所長・秋田県南秋田郡大潟村南1の39)の紹介により取材に伺った。話を聞いたのは村上満さん(58歳、秋田県南秋田郡大潟村)。34ヘクタールの面積で水稲作を営む家族経営の農家である。村上さんと奥さん、ご子息の健さん(28歳)の3人を中心に、農繁期には臨時スタッフも雇い入れて「あきたこまち」「ちほみのり」を生産している。取材に伺った9月下旬は例年よりやや早めの稲刈りシーズン真っ最中。大雨が降った翌日に伺ったため、圃場がぬかるんでおり、その日の稲刈りは中止に。前日刈り取った稲のポストハーベスト作業で忙しい中での取材となった。
 代々農家の家系だという村上さんは、父親の代で県内の由利本荘市から大潟村に入植。入村当時15ヘクタールから始まった一家の営農面積は、村内で離農した農地の集積などにより拡大していった。秋田県の臨時職員を1年務めてから、21歳のときに就農したと語る村上さん。父親は地域の様々な委員等を務めていたため、家を不在にしがちだったそうで、農業に関しては「手取り足取り教えてくれたわけではなく、背中を見て学んだ」形だった。
 村上さんは30歳の時に農場経営を移譲されたが、これまで利益を上げるべく様々な取り組みに挑戦してきた。行ってきた取り組みを聞くと、ハウスメロンは60アール規模で4~5年、大豆は14ヘクタールで2年ほど。カンピョウやカボチャを作っていたこともある。湛水直播を14ヘクタールで12年、加工用米にも3~4年取り組んだ。「うまく活用できそうな補助金があったり、省力化と収益向上が見込めそうな取り組みがあったらやってみる」という実践派だ。米以外にもいろいろ取り組んできた村上さんだが、試行錯誤の結果、今は「比較的安定している」米の専作に落ち着いた。「手間をかければ収量や品質が向上するなど、工夫のしがいがある。一生懸命頑張れば頑張るほど儲かるような体制が少しずつ整ってきた」と振り返る。
 それは米の出荷先を精米会社に絞っていることも大きい。出荷先は平成元年に大潟村の生産者同士で出資・設立した秋田農友会((株)農友)。秋田農友会は生産から精米、販売まで一貫して行う生産者組織であり、村上さんは同社の役員も務めている。農友会を通すことによって、市場に出荷するよりも高い水準かつ安定した価格で年間通して販売でき、農家個人で在庫を抱えずに済むなどメリットがあるという。出荷先による取り決めもあることから、米作りについては「安全・安心な品質のお米を安定的に卸していくことにこだわっている」と述べた。
 そして、そうした村上さんの営農の歩みにピッタリ寄り添ってきたのが、三菱の農業機械と、三菱農機販売大潟村営業所の武内所長である。「農機は親の代からずっと三菱」と語る村上さん。所有している農業機械を聞くと、トラクタ4台(138PS、100PS、95PS、90PS)、田植機1台、コンバイン2台(6条刈)、その他作業機など多数。乾燥調製施設には80石の乾燥機3台、籾すり機、色彩選別機などが揃う。武内所長については「就農当時からの長い付き合い。修理をはじめ対応がいつも早くて、我がままも聞いてもらって助かっている。こういうことがしたい、こういうのがほしい、という相談をすると、一緒に考えて、最適なものをアドバイスしてくれる」と厚い信頼を寄せている。農業機械への要望を聞くと、「もっと装備を簡潔に、値段を安くしてほしい」という。「農業未経験者には自動装置なども必要かもしれないけれど、ほぼ使っていないので、そうした機能は選べる仕様にしてもらえたら。安くて使い勝手がいいものを導入基準にしている」と語った。
 農業機械の操作など、メーンの農作業は村上さんとご子息の健さんの2人がこなしている。健さんに対しては「いつ経営を渡してもいいと思っている」が「肝腎の肥料設計や水管理などがまだまだ」と、少しずつ教えている形。一方で、ネットで新しい情報を取り入れて、スタブルカルチやパワーディスクの導入など省力化について提案してくれることも多いといい、それらを実際に取り入れたところ、以前より土の質が良くなったそうだ。「話を聞いて賛成できるものは取り入れたい」と思っているとした。そのためにも、「若い世代が失敗しても大丈夫な、やりたい農業ができるような営農環境になってほしい」と期待する。
 将来の展望と課題について聞くと、(1)規模拡大(2)高温対策をあげた。
 (1)については「もっと面積を拡大して、そうなれば人を雇うことになるだろうし、また野菜など別の作物もやってみたい」という。(2)はあきたこまちが高温に弱いため、「今は水管理などで対策しているが、いずれはあきたこまちに替わる品種を考えないといけない。秋田に合う高温耐性品種の米があれば育成してほしいし、サキホコレにも挑戦してみたい」と語った。
 また、大潟村を取り巻く調整池や承水路などで構成される八郎湖は、古くより代かき濁水排出が水質汚染の大きな問題になっていた。村上さんは大潟村の農業を守るためにも、15年ほど前から水田からの濁水流出を抑える「無代かき栽培」を実施している。「突き詰めていけば今後はさらに環境に配慮した農業の方向へ進むのでは」と未来を語る。J―クレジットや、さらなる効率化にも取り組んでいきたいと語る村上さん親子の「やりたい農業」に、今後も三菱の農機と武内所長が寄り添っていく。

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