スマート農業の取り組み・秋田県農業試験場/秋田県農機ショー特集

秋田県農業試験場の企画経営室スマート農業チームはスマート農業関連技術の実証、新しい作業技術や機械開発も含めた研究を行っている。近年では水稲の側条施薬装置や(株)クボタ、(株)斎藤農機製作所と共同で開発したえだまめコンバインなどがある。今回、同チームの石川祐介研究員に現在行っている取り組みやスマート農業技術の活用、今後の展望などを取材した。
水稲作の取り組みとしては、(1)無人作業が可能なロボット農機や自動航行が可能な農薬散布用ドローンを活用して労働生産性を向上させる試験(2)センシング技術(収量コンバインやリモートセンシング用ドローン)を活用した基肥可変施肥によって土地生産性を向上させる試験、など。
(1)では、具体的にはロボット田植機やロボットトラクタを使って作業能率を上げる。ただロボット農機に置き換えただけでは、作業時間短縮にはつながらず、作業人数や作業速度、作業幅を変えなければ労働生産性は上がらない。そこで、1人の作業者で2台を動かすトラクタの協調作業や、田植えにおいても、ロボット田植機を活用して、少ない人数で同じ面積をこなし労働生産性を改善する研究を行った。また、同様に土地生産性の向上としての薬剤散布ドローンによる農薬防除では、自動航行機能を使い、隣接した2つの圃場で、2台を1人のオペレータで同時航行させる試験を行った。繁忙期の必要なタイミングで人手を確保することが難しい状況のなかで省人化を図り、少ない人数で栽培面積の維持や拡大に寄与することを目的としている。「生産規模や栽培条件はそれぞれの農家によって様々ではあるが限られた作業適期の中で作業人数を増やさず、きちんと作業が進められる体制を取れる技術開発を進め、その成果を情報発信することで農家がロボット農機を導入する際の判断材料となれば」と石川氏は話す。現状のガイドラインではロボット農機の使用時、オペレータは監視の必要があるが、ただ監視するだけでなく、監視をしながら可能な範囲で他の作業をしたり、別のトラクタで作業するなどそれぞれの使用条件に照らし合わせた成果を発表し、県の公設試としての役割を果たしていきたい考えだ。
県内の基盤整備で増えつつある連筆圃場の作業体系におけるロボット農機の使い方や活用試験等も行っていく。県内のスマート農機の使い方、基盤整備圃場のあり方に加え栽培技術を組み合わせた最適解がどこにあるかを探求していくことになる。「大規模農家向けだけでなく、現場の人手不足にあえぐ中小規模農家にとっても、選択肢となる成果や情報を提供したい」と述べる。
(2)では、センシング用ドローンと収量コンバインを活用して圃場内の生育や収量のばらつきを把握する。得られた収量マップを基に可変施肥マップを作成して、翌年、可変施肥のできる田植機を使うことで、収量の低い部分の肥料散布を増やして増収を図る試験を行い、収量の高位安定化につなげたいとしている。寒冷地に位置しており、水稲栽培の作業適期が短い秋田県において、短期決戦で、より効率よく収穫するための技術といえるだろう。
その他の取り組みとしては、来年2月発売予定のえだまめ粗選別機、えだまめ色彩選別機の開発を農機メーカーと共同で行った。開発した粗選別機は、枝豆の未熟莢、一粒莢、葉くず、枝を高能率に揺動スリットや風力により選別。色彩選別機は、2台のカメラで莢両面を同時に判別し、黒点莢、斑点莢、茶変莢などの変色莢と一粒莢などの短い莢を高性能に選別できる。現場では収穫後の調製作業に負担が掛かっていることが課題だったことから、必要な機能を盛り込みつつ、性能と価格のバランスがとれたえだまめ粗選別機および色彩選別機を開発した。石川氏は「開発当初は粗選別機と色彩選別を一体にする案もあったが、既存の粗選別機とのマッチングも考慮し、別体として生産者が導入しやすい構成とした」と話す。「枝豆の出荷では色選をかけても結局、最終的に人の手による選別が必要だ。出荷量や売り方、用途によって調整作業の手間が変わるという現実を踏まえて作られた農家ファーストの機械と言えるだろう。今回の農機ショーでは、(株)秋田クボタの小間にて展示される。
また、えだまめコンバインの次のステップとして、県内で2割程度の面積があるマルチ栽培への対応に向けた研究なども行っていく。「マルチ栽培で7月に収穫が可能な枝豆を出荷することは、市場アドバンテージを獲得するには必要な要素。コンバインがマルチ栽培に対応することで、現地への導入がより進むと考えられる」と話している。
最後に石川氏から生産者へ向けたメッセージをお伝えしたい。「スマート農機はまず、導入にコストがかかると考えてしまうと思う。導入することが目的ではなく、何が課題なのか、今後、何が課題になるのかを見極め、どういった機械や技術が自分たちの課題解決につながるのかを十分に検討してもらいたい。その検討材料となるよう、我々も試験研究に取り組み、成果と情報を迅速に発信していく。是非発信する情報を受け取り、活用していただきたい」と意気込みを述べている。









