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令和6年10月21日発行 第3525号 掲載

各社の対応/埼玉県特集

 (株)関東甲信クボタ(冠康夫社長)の横田真吾執行役員・関東営業事業部副事業部長は今年の状況について「7月の価格改定前はトラクタが好調で、特に中型トラクタが絶好調だった。GSなどスマート農機の販売台数も増加した」と振り返った。逆に田植機、コンバインの伸びはやや低迷している。価格改定後の8月以降も、計画達成率は好調を維持している。この要因について横田副事業部長は「若い営業マンが一生懸命、訪問活動をしている成果だ」と述べた。以前は展示会などのイベントが新規客獲得の契機となっていたが、コロナ禍以降は個別の訪問活動へとシフトしている。関連商品も含めた農機に関する質問に丁寧に回答するなどの対応が、新規客の獲得につながっているという。客層拡大の場から、見込み客への訴求の場へとイベントの役割が変化する中、同社では昨年、栃木県で「クボタスマート施設園芸展」を初開催した。横田副事業部長は「県にはハウス農家もある。今後は、施設園芸を視野に入れた領域拡大のための活動も必要だ」と強調。開催意義の1つとして、施設園芸関係者との接点づくりができたことをあげた。
 冠社長の掛け声でもある「背暗向明(どんな状況下でも、明るい方向に向かおう)」を胸に、川越・鴻巣の2拠点1チームで、来年に向けて実演会などの山場づくりに臨みたいと、横田副事業部長は意欲的だ。
 ヤンマーアグリジャパン(株)関東甲信越支社(杉山靖彦支社長)関東営業部埼玉ブロックの右島保エリアマネージャーは、昨年度の売上げ実績について「7月の価格改定を受け、駆け込み需要はあったが、それ以降はその反動から苦戦した。最終的には、概ね前年並みで締まった」と述べた。
 今年度は、昨年の影響もあり計画からは少し遅れているが、イベントなどの成果もあって持ち直しつつある。また、力を入れているサービス事業が好調。「お客様へのさらなるサービス向上に努めていく」とした。
 9月に熊谷地域でトラクタを中心とした展示・実演会を開催。実際に機械を動かしての実演をメーンとし、直進アシスト仕様の試乗コーナーなどが人気を集めた。右島マネージャーは「一度スマート農機を体感すると、お客様の反応が変わってくる」と、実演の効果を強調する。
 埼玉ブロックでは今年5月から、営業社員ごとにトラクタの実演機を準備し、自由に活用できるようにした。「試乗、販売、貸出など、営業社員の活動に応じた取り組みを行っており、契約につながっている」と、手応えを感じている。
 「農家ごとの課題を認識・共有し、各人がその解決に向けた提案を行うことが重要になってくる」と右島マネージャー。営業社員が主体性をもち、それぞれが柔軟に対応することで、さらなる販売強化を図っていく。
 (株)ヰセキ関東甲信越(瀧澤雅彦社長)の広瀬三喜男執行役員埼玉営業部長は、昨年の状況について「トラクタ、田植機の春製品は前年並みだったが、台当たり単価の高いコンバインは3月の価格改定を前に駆け込み需要が旺盛で、前年比2ケタの伸びとなった。必要な機械に投資する経営意識の高まりを感じた」と振り返る。
 今年は年初よりトラクタが好調に推移し、T.JapanシリーズやBFシリーズの中~大型機種が全体を牽引。また、大規模イベントとして2月・7月に展示会を開催し、いずれも1000人以上が来場した。会場ではBFトラクタや新型コンバインFMシリーズの試乗会も行った。「今まで使っていた農機との違いを体感した上で、購入を検討していただきたい」と広瀬部長は言う。
 イベント時以外に、個別実演会も積極的に開催。3月に実施した実演会では圃場にBFトラクタ5台を持ち込み、多くの来場者がその良さを体感した。また、実演会には同社社員も20人以上参加し、研修を兼ねたものとした。実演会は、社員にとっても製品知識を高める良い機会になっているという。
 広瀬部長は「米価が良い今、秋の商材をどれだけ受注できるかがポイント。これまで以上に個別実演をこなし、コンバインなどの販売につなげていければ」と営業戦略を語る。また、「下期はコンバインの推進がカギを握っている。好評を博しているFMシリーズと低コスト農業応援機『HFR4050』を全面に打ち出し、集合・個別実演を積極的に展開していく」と、今秋への意気込みを強く語った。
 三菱農機販売(株)関東甲信越支社(平木郁夫支社長)南関東支店の角田富穂支店長は、今年の状況について「トラクタとコンバインの販売台数は昨年並みだが、田植機はやや減った」と述べた。
 同支店がある熊谷周辺は米農家が中心で、離農する小規模農家と、集積化により大型化する農家とが、ますます明確になってきているという。「離農する農家が圧倒的に多いが、仲間とともに新規就農する若者もいる」と言い、彼らの購買意欲に訴えていく考えだ。
 今年度の大きな取り組みの1つに、幸手市オーガニックビレッジ推進事業への協力がある。幸手市は、稼げる農業の実現を目指して有機農業に力を入れており、今年度から同社の紙マルチ田植機の活用を推進することとなった。これに伴い同社は、有機栽培や紙マルチ田植機についての説明会などに協力。「まずは市が紙マルチ田植機を1台購入し、希望者に貸し出す取り組みから開始する。来年度以降の本格的な動きに期待したい」と角田支店長は言う。
 同社は昨年8月、販売管理システムを導入、今年9月から本格稼働を開始した。営業記録や顧客情報なども管理しており、同システムを活用することで、より効果的な販売戦略の立案が可能になると、今後の展開に期待をかける。
 (株)トミタモータース(桑波田信久社長)の昨年の状況は、トラクタが好調、コンバインは横ばい、田植機が微増となった。新車の販売台数が控えめだった代わりに中古機が好調で、前年より3割近く増加。主要3機種全てで、中古機の販売台数が新車を上回った。
 今年に入り、草刈機の動きが目立って良い。「昨年も好調だったが、今年はそれ以上。毎日1台ずつ売れている」と桑波田社長。主要3機種にはそれほどの動きはないが、秋に発売予定のクボタの新型トラクタ(TERAST ST25、ST31)に期待をかける。
 今年5月、自動操舵田植機や農薬散布ボート、ドローンなどのスマート農機に特化した実演会を実施した。このうち農薬散布ボートは県からの補助金を受けた自社開発商品。「開発まで行っている販売店は、全国的にもほとんどないのでは」と桑波田社長は自信をのぞかせる。展示会には予想以上に多くの人が来場し、スマート農機への関心の高さを感じたという。
 整備技術の高さも同社の強みだ。冨田英則会長が社長だった10年前に、大型機械対応の整備工場を建設。クボタの認定工場として万全のサービスを提供できることが、大きなアピールポイントとなっている。今後は高い整備技術を活かし、中古機の全国的な買取事業への本格参入を目論む。「優良中古機を仕入れ、きちんと整備し、ほしい人に届けていきたい」と、桑波田社長は新事業に向けて力を込めた。
 (株)ホソダ(河口淳子社長)の河口拓也専務取締役は、昨年の実績について「トラクタは平年並み。田植機とコンバインは伸び悩んだ」と述べた。その要因として、稲作農家の高齢化と離農をあげた。後継者不在のため、大規模農家に任せる傾向がますます進む。
 今年に入ってからは、全体的に順調な推移が続いている。法人経営の大規模農家が、補助金を活用して大型農機を購入するケースも目立つという。多くの制度が大規模農家を対象にしたものであることから、同社もそこへのアプローチを強化していく方針。米価上昇を背景に、「節税対策にもつながる農機の一括償却などを提案していく」と戦略を語る。
 社員全員が農業機械整備士1級を取得している同社にとって、整備・修理事業は大きな強み。「2016年から社内のDX化を推進している。情報の取得や共有を迅速に行うことで、スピーディーな課題解決を心がけている」と河口専務。高い技術力に加えICTを活用することで、素早く有効な提案ができ、サービス向上につながっているという。
 11月には、例年通り展示会を予定。近年はお祭り的な要素を減らし、本気で農機購入を考えている人が集まるイベントへの転換を進めている。河口専務は「農家の方々が役立つ情報を得られる場として、独自色を打ち出していきたい」と、さらなる変革に意欲的だ。今後の同社のイベントにも注目していきたい。

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