日本土壌肥料学会が創立100周年シンポジウム/土づくり特集

一般社団法人日本土壌肥料学会(藤原徹会長)は7月、学会創立100周年記念事業公開シンポジウムシリーズ「サステイナブルな未来を創る土壌・植物科学」の第2回「持続的食糧生産」をオンラインで開催した。
今回はCO2を吸収して生長する作物の研究開発に焦点を当て、土壌微生物と植物の関係を利用した食料生産や、作物生産に不可欠かつ温室効果ガス(GHG)発生を引き起こす肥料の利用を少なくしたり作物増収を実現する研究開発の現状、土壌汚染に対する作物改良についての研究と応用例などを第一線の研究者が紹介した。
シンポジウムでは、▽土壌微生物を利用した持続的食糧生産(大津直子氏・東京農工大学大学院農学研究院教授)▽栄養の利用効率を高めた植物の作出(三輪京子氏・北海道大学大学院地球環境科学研究院教授)▽ポスト緑の革命・イネの増収をめざして(牧野周氏・東北大学名誉教授、東北大学高度教養教育機構・特定教授)▽肥料を少なく与えても生育するイネの開発と特徴(大森良弘氏・東京大学大学院農学生命科学研究科准教授)▽汚染物質を吸収しない作物の作出と利用(石川覚氏・農研機構農業環境研究部門化学物質リスク研究領域無機化学物質グループ長)―の5講演が行われた。
大津氏は持続的な農業に求められる肥料削減に役に立つ土壌微生物について紹介。大津氏らはヨーロッパの土壌に存在する冷涼・乾燥に強い根粒菌を単離のうえ培養して微生物資材として開発することで、大豆栽培を改善させる研究を進めているとした。また、肥料3大要素である窒素・リン酸・カリウムのうち、施肥したリンの多くが土壌中の成分と結合して沈澱してしまい、植物が使えない状態になっていることから、これには有機酸などを分泌して土壌に固定されたリンを溶かし出す「リン溶解菌」が有用と説明。稲や大豆の根の付近からリン溶解菌を単離して微生物資材とする研究を進めており、これによりリン肥料を減らすことができるのでは、などと期待を寄せた。
一方、牧野氏らは窒素肥料を効率よく利用できる超多収イネの開発を目指して、光合成やバイオマス生産の改善などについて研究。光合成能力の律速要因が光合成の炭酸固定酵素であるルビスコであることを見出し、遺伝子組み換えによりルビスコの量を増やすことを試みた。その結果、約30%増やすことに成功し、葉の最大光合成速度も約10%向上したという。さらに、ルビスコ量を減らした稲の作出も行い、減少に応じて光合成速度が下がることも確認したなどと説明した。









