6年度畜産環境シンポジウムから/土づくり特集

このほど開催された令和6年度畜産環境シンポジウム(主催・農林水産省、一般財団法人畜産環境整備機構)では、堆肥の利用拡大を進めるためのペレット堆肥の製造及び販売方法等が検討された。ここでは、「堆肥ペレットの効率的な生産技術」(畜産環境アドバイザー・薬師堂謙一氏)、「養豚農家におけるペレット堆肥の製造から販売までの道のり」((有)ブライトピック〈千葉県〉代表取締役社長・志澤輝彦氏)の講演の概要をみる。
〈堆肥ペレットの効率的な生産技術・薬師堂謙一氏〉
家畜ふん堆肥の利用上の問題点は▽畜産農家でのふん尿過剰、環境汚染▽耕種農家の堆肥利用の減少▽良質堆肥が手に入らない▽化学肥料の利用に比べ散布労力がかかる(堆肥散布労力がない)▽肥効の予測が困難で管理が大変▽コストがかかる―など。
堆肥ペレットの特徴は、▽乾燥し圧縮成型されているので施用量が少ない▽輸送コストが安い▽耕種農家の所有する散布機(石灰散布機、ブロードキャスター等)で施用できる。
堆肥ペレットの形状は、直径3ミリ、5ミリ、8ミリなどがあり、8ミリまでであれば石灰散布機で散布可能。実際の利用希望は5ミリが多い。
牛ふん堆肥ペレットの製造工程は(1)原料受け入れ↓(2)1次発酵(1カ月)↓(3)2次発酵(2~3カ月)↓(4)ハウス予乾(水分30%以下)↓(5)粉砕↓(6)成分調整混合↓(7)成形↓仕上げ乾燥↓(8)ふるい選別↓(9)袋詰め↓(10)貯蔵↓(11)出荷。仕上げ乾燥で水分15%以下まで下げるのが最大の課題だという。堆肥の前処理で、金属、石、砂など異物を除去することも重要で、異物があると、成形機部品(ダイスなど)の消耗・交換でコスト高になる。
成分調整成型(ペレット)堆肥と従来型堆肥のコスト比較については、小袋入り堆肥(40リットル)では、成分調整成型堆肥の方が安価。フレコン入り堆肥(1立方メートル)ではほぼ同等の金額。バラ堆肥では、輸送距離が100キロ以上でペレットが有利。
ペレット堆肥の適応例をみると、ホウレンソウでは、牛ふん堆肥と豚ぷん堆肥の混合、葉の厚いものができる(熊本の市場で1、2番の品質)。ネギでは、とう立ちが遅くなり収穫期間が1週間延長。その他、慣行栽培と同等以上の品質、収穫量のものはメロン、イチゴ、トマト、キャベツ、大豆、麦、米、ニンジン、カボチャ、カンショなどの例がある。
〈養豚農家におけるペレット堆肥の製造から販売までの道のり・志澤輝彦氏〉
ブライトピックは、15年前から、千葉県旭市を中心とした水田で生産した飼料用米を豚の飼料として給与し、排出された糞尿を堆肥として還元する「循環型の耕畜連携プロジェクト」を立ち上げ、海外に依存しない畜産経営を行ってきた。
2022年3月末に、銚子農場にペレット製造機1号機を設置した。
導入したのは、(株)垣内(高知県南国市)が製造するペレット製造機「造粒くん」。
銚子農場でのペレット化の流れをみると、(1)豚舎から出た糞や浄化槽の汚泥(2)コンポストで堆肥化(3)スクリュー式堆肥舎で2次発酵&水分調整(4)ペレット製造機でペレット化(5)乾燥(6)梱包(7)出荷。「造粒くん」でのペレット化の仕組みは、(1)投入口に原料を準備(2)原料ベルコンを経由し振動ふるいへ(3)振動ふるいにてゴミなどの異物を除去(4)原料が「造粒くん」に投入される(5)造粒くん内で原料がペレット化(6)ペレット化されたものは冷却設備へ。
製造工程(1)水分調整
コンポストにて生産された堆肥の水分調整を行う。目標の水分含量は22~23%ほど。水分量が多いとペレットが柔らかくなりすぎ、低すぎるとペレット化できなくなる。
製造工程(2)造粒機
ペレット製造機に投入された堆肥はふるいにかけられてから造粒機を通りペレット状に。造粒機の「ダイス」には無数の穴が開いているタイヤのような部品があり、そのダイスの穴を通ることでペレット状になる。
製造工程(3)冷却装置
圧縮されペレット状になったばかりの物は熱を持っており、そのままだと崩れてしまうので、冷却装置で風を当てて冷やす。
製造工程(4)乾燥↓梱包
冷却されたペレットは状態をみて必要であれば乾燥させる。出荷は主にトランスバックに梱包して出荷している。必要に応じてバラでトラックに積み出荷を行っている。 ペレット堆肥の販売は富士見工業(株)(静岡県静岡市)が行っている。取引内容は▽1袋500キロのフレコンでの取引▽ペレットの水分含量は18~20%以下を目標にしている▽月に3台(1台21トンのペレット堆肥の出荷)、年間で756トンのペレットを出荷している。
この間のペレット堆肥の生産量と販売量の推移は、令和3年度は生産8・5トン、販売なし。4年度は生産1007・7トン、販売519トン。5年度は生産1373トン、販売937トン。目標は生産1250トン、販売1250トンとしている。
志澤氏は、大量に発生する堆肥の対策としてペレット化を試行。現在ペレット担当人員2名で、1日3~4トンのペレット堆肥を生産している。今期は8月までに4300万円の売上げとなっている。売上げは、まだまだだが、「千葉県旭市周辺では、堆肥は産廃業者に有料で処理してもらうような地域なので、収益に貢献している」と、今後の普及に期待を寄せている。









