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令和6年10月21日発行 第3525号 掲載

松山記念館第30回文化講演会を開催/松山

 松山(株)(松山信久社長・長野県上田市塩川5155)の創業者である松山原造氏と2代目松山篤氏の業績を記念・顕彰する公益財団法人松山記念館(松山久理事長・長野県上田市塩川2874の1)は11日、松山(株)の本社で第30回文化講演会を開催した(後援は上田市、上田市教育委員会)。
 同記念館は、1985(昭和60)年に設立され、原造氏の偉業の数々と、のちに松山犂として全国に普及した、創業時の双用犂の開発に至るまでの資料を展示しているほか、創業者の次世代育成の想いを実現するために、広く「食育」の活動を支援している。
 文化講演会は重要行事の1つで、これまで29回開催され、大学教授、試験場関係者など学識経験者、農機メーカーのOBなどが講演している。新型コロナウイルスの感染防止対策のため2019年以降中止していたが、新型コロナの5類移行に合わせ昨年、4年ぶりに開催した。
 今回は、メルシャン(株)(山梨県甲州市勝沼町下岩崎1425の1)のシャトー・メルシャン事業本部副本部長ゼネラルマネージャー(GM)で、工学博士の小林弘憲氏が「上田ワイン産業振興および地域の活性化に向けた椀子(まりこ)ワイナリーの役割」と題し講演した。
 冒頭挨拶した松山理事長は、5年前の文化講演会における馬耕伝習者とメルシャンとの出会いに触れ、フランスのワイン産地・ブルゴーニュでは耕作地が狭いのでブドウ栽培はうね幅を狭くしてたくさんの苗木を植え、トラクタでは重くて入れないので、馬耕によって栽培管理することなどを紹介。上田ワインのさらなる振興に向け講演会が有意義なものになるよう期待した。
 続いて後援者を代表して、上田市丸子地域自治センターの中村尚文センター長が挨拶に立ち、気候変動など農業を取り巻く環境は厳しいものがあるが、気候、風土など様々な地域特性を活かした農業の振興が必要であると訴えた。
 講演に立った小林GMは、メルシャンワインの歴史、日本ワインの現在の立ち位置(消費量は40年で8倍など)などを説明したあと、どういうビジョンでワインづくりに取り組んでいるかについて、「歩留まりのいい品質のいいブドウを作りたい。目標は日本を世界の銘醸地にしたいという大きなスローガンがあります。海外からはまだ、日本はワインって作っているのか、という見方もあるので、我々の活動を世界に知ってもらって、日本ワインの良さを広めたい」と強調した。
 そして、椀子ワイナリーが掲げる3つのキーワードとして、(1)地域との共生(2)自然との共生(3)未来との共生―を紹介。
 (1)では椀子ヴィンヤードの開園当時から植樹、除葉、収穫など年間を通じた栽培作業に多大な支援、またワイナリー建設に対する熱い想いもいただいたと謝意を表するとともに、2019年にそれらの要望にやっとお応えできたと熱く語った。
 (2)では、2000年当時、一部遊休荒廃地化していた陣場台地が椀子ヴィンヤードとして生まれ変わったことで年間を通じた栽培管理が行われるようになり、農研機構が毎年行っている生態調査によると、年を経るごとに多種類の植物・昆虫・鳥類の存在が確認され、在来植物の保護及び生態系の維持につながっているとの報告がされているとし、今後もこの景観を守るべく日々の栽培管理、ひいては日本の里山を守る活動に励みたいと述べた。
 (3)では、現在、地域住民と協働し、地元の小学生に向けた食育活動(ジャガイモ栽培)を椀子ヴィンヤードの一部で実施し、またブドウ栽培作業を通じた職場体験および社会科総合学習の場として、地元の中学校および高校に活用されているとした。そして、今後もブドウ畑およびワイナリーのすべてを活用し、ワインを楽しむことができる次世代を育てる取り組みをより強化していきたい、と述べた。
     ◇
 講師の小林氏は1999年メルシャン入社。ワイン研究の道に進み、ボルドー大学やオーストラリアほか、世界で醸造技術を学ぶ。2003年の仕込み時期に甲州ブドウから今まで感じることができなかった柑橘系のアロマを感じるキュヴェを発見。そこから生み出された『甲州きいろ香』の生みの親の1人。甲州ワインの特微香の研究で博士号を取得。2017年から2年間、本社生産部を経験し、桔梗ヶ原ワイナリー、椀子ワイナリーの計画・建設に携わる。2023年GM就任。栽培から醸造まで一貫したワインづくりを探求している。

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