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令和6年10月21日発行 第3525号 掲載

北大教授・野口氏が特別講演/農業WEEKセミナー

 既報の通り、9~11日、千葉市美浜区の幕張メッセで開催された「第14回農業WEEK」では、業界の最新情報をテーマとした様々な講演が人気を集めた。
 10日午前に行われたセミナー「持続的な農業を可能にするスマート農業」では、北海道大学大学院農学研究院院長の野口伸氏が登壇。満席の会場で、スマート農業研究の現在とこれからについて解説した。
 野口氏は、スマート農業は、技術開発とともに普及が急速に進んでいるとし、デジタルツインを活用したバーチャルファームについて紹介。デジタルツインとは、現実世界(フィジカル空間)で収集した情報をもとに、仮想空間(サイバー空間)に同じ環境を再現する技術。多様な農業現場をサイバー空間に写像することで、高度なシミュレーションが可能になる。デジタルツインを活用したAIロボットの現場適応力の向上が、最適な農作業の実現につながり、様々なメリットがあることを示した。具体的には、開発・実用面では▽ロボット開発を効率化できる▽山間部にある樹園地の傾斜勾配や樹間幅などの点から、ロボットが導入可能かどうかの事前評価ができる。利用面では▽ロボットの作業経路・作業方法などの運用計画を立てることができる▽作業前にシミュレーションを行うことで、作業時間や消費エネルギーの点から作業計画の最適化を図ることができる―などをあげた。
 デジタルツインは既に様々な活用が進んでおり、例えばロボットトラクタの耕うん作業をバーチャルファームでシミュレーションすることで、ロボットトラクタによる圃場内のティーチング走行など作業前の準備が不要となるほか、ロボットトラクタの農道から圃場への進入や枕地旋回の安全性も事前確認できるとした。また、次世代農業支援サービス事業に不可欠な、複数のロボット農機を使った協調作業についても、サイバー空間でのシミュレーションによって、作業効率の向上や作業時間の最適化など、柔軟な運用を検討することが可能になるとした。
 続いて、農業者の減少が最大の食料問題であるとし、2050年には、農業者1人当たり、今の4倍の作業量をこなす必要があると指摘。そのためには、スマート農機を活用して、24時間作業やリモート操作で作業量を革新的に増加させ、「きつくて大変な作業はAIロボットに任せて、人は農作業を楽しめる」状況を目指したいなどと、スマート農業の将来像を示した。
 リモート農業については、現在、北海道大学とNTTグループが取り組んでいる研究について報告。▽小型マルチロボットによる超省力化▽AIロボットによる熟練技術の体得▽リモート農業の実現―などが進んでいるとし、これによる成果として▽人手不足が深刻な農業の新しいカタチ▽必要十分な量と質の食料を安定生産▽世界の食料をMade by Japan―などが期待できると力強く語った。

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