MENU
令和6年10月7日発行 第3523号 掲載

水田メタン排出削減プロジェクト、カンボジアで始動/国際農研

 国際農研は9月26日、カンボジア王国の首都プノンペン市にて、SATREPSの枠組みによる「水田メタン排出削減プロジェクト」の発足記念式典を開催した。これは、日本のODAにより灌漑排水施設が整備されたプルサット州ダムナック・アンピル灌漑地区を対象に、水稲の収量を維持しながらメタン排出を抑制する広域的な水管理手法と温室効果ガス削減量をモニタリング・評価する手法を開発するもの。開発した成果は2国間クレジット制度(JCM)に活用し、カンボジアが自ら決定する温室効果ガス削減目標の達成に貢献することを目指す。
 SATREPSは科学技術振興機構、日本医療研究開発機構及びJICA(国際協力機構)が共同で実施する地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム。今回は「トンレサップ湖西部水田における広域的水田水管理システムの確立による温室効果ガス排出削減技術の開発と社会実装」の研究課題で、令和6年4月より5年間にわたり研究を進める。具体的には、▽水源から圃場までの用水と圃場からの排水を含む効率的な水管理システムを構築▽圃場での湛水と落水を繰り返す間断灌漑技術を導入して、水稲の品質や収量を維持しつつ、メタンの排出削減につながる広域的な「メタン排出削減型水管理システム」を開発▽タワー観測やドローンなどのICT活用により、対象地区の水田から排出されるメタンを効率的に測定・報告・検証(MRV)するための方法論を確立▽その方法論を用いて質の高い炭素クレジットを創出し、農家のインセンティブとして活用する手法を開発▽開発した「メタン排出削減型水管理システム」、MRV方法論及び「質の高い」炭素クレジットを創出・活用する手法をパッケージ化し、気候変動緩和と農家の生計向上を同時に達成するモデルの構築を目指す―を推進。国際農研とカンボジア王立農業大学を両国の代表機関とし、共同研究機関は農研機構、東京学芸大学、東京農業大学、北海道大学、九州大学及びカンボジア工科大学の6機関、協力機関は国際農林業協働協会、Green Carbon(株)、(株)クボタ、アースシフトグローバル・アジア合同会社の4機関。
 26日の記念式典にはカンボジア農林水産省事務総長をはじめ関係者らが出席し、祝辞ならびにプロジェクトへの期待が示されるとともに、研究成果の発現と社会実装を達成するために両国関係者が協力・連携して取り組むことが確認された。さらに翌日の27日には、プロジェクトの発足を記念して日本、カンボジア、ベトナム、ラオスの専門家や国際機関が参加する国際ワークショップも開催された。国際農研は農業分野の気候変動緩和策として、アジアモンスーン地域における間断灌漑による水田メタン排出削減の更なる普及・社会実装を目指した研究を実施していくとしている。

カテゴリー別最新ニュース