2024年本田賞、フジモト博士が受賞/本田財団

公益財団法人本田財団(設立者:本田宗一郎・弁二郎兄弟、石田寛人理事長)は、2024年(第45回)の本田賞を、近赤外線を利用して網膜や視神経といった眼底の断面を画像化する光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography、OCT)の技術を開発した、ジェームス・G・フジモト博士(米国マサチューセッツ工科大学電子工学研究所電気工学・コンピュータ学科エリフ・トムソン冠教授)に贈呈することを決定した。
今から四半世紀前まで、眼科医が患者の眼球に異常を見つけた際に行うことができる検査は、造影剤を使って眼底の血管の内部構造を観察する検査のみだった。しかし、この方法では眼球の裏側や視神経周辺の状況を確認できないため、眼球の前方向から様子を観察して、病状を推測するしかなかった。
フジモト博士が開発した光干渉断層撮影とは、目には見えない光(近赤外線)を眼球に照射し、網膜や毛細血管など眼球内組織で跳ね返ってきた光の情報(エコー情報)を読み取り、断層撮影像を表示するもの。この技術によって眼球の内部構造をより詳しく観察できるようになった。
人間は目のレンズから光を取り込み、眼底にある網膜、特に視神経が集中している黄斑部分に結ばれた映像を「見て」いる。網膜は、浮腫や剥離、加齢黄斑変性(AMD)、黄斑上膜など視力低下や失明をもたらす病変が多く生じる部分。OCTはメスや針を使用せず、眼球を傷つけることなく精密に眼球内の組織の状態を調べることができる。検査精度も飛躍的に向上した結果、重篤な疾患の早期発見と経過観察が可能となった。また、検査はわずか数秒で完了するため、診断確定までの時間を大幅に短縮し、医療コストの削減にも寄与している。
フジモト博士は、OCTの基礎となる論文を発表した1991年、光干渉計技術の眼科診断への応用を目指し、光学技術者や眼科医などを招聘して研究チームを発足させた。そして、1993年にOCT技術を使用して、生きた人間の健康な目の網膜画像の収集に成功。1996年には世界初のOCTによる眼科検査装置の発売に漕ぎつけるなど、驚異的なスピードで研究を推進した。
本年で45回目となる本田賞の授与式は2024年11月18日に東京・日比谷の帝国ホテルで開催され、メダル・賞状とともに副賞として1000万円がフジモト博士に贈呈される。









