果樹の担い手育成/中央果実協会が事例発表会

公益財団法人中央果実協会(村上秀徳理事長)は24日、「果樹産地における後継者・担い手育成の取組事例発表会―園地の集約・整備主導の後継者・担い手育成の取組み―」をWeb開催した。
これは同協会の調査事業である「令和6年度果樹産地における後継者・担い手育成事例調査」の一環として、果樹生産現場における後継者・担い手育成・確保のための取り組みを行っている組織の情報を取りまとめて公表するとともに、事例発表会等を実施しているもの。
今回は、果樹産地における事例紹介として、(1)新・果樹振興手法―30年後を見据えた行動を―【カンキツ他】(大分県農林水産部地域農業振興課広域普及指導班主査・河野雅俊氏)(2)農地基盤整備事業への期待 実践を通じて思うこと―園地整備で若者が戻る郷土づくり―【リンゴ他】(長野市農業委員会会長・青木保氏)(3)世羅幸水農園―大規模ナシ園の経営と園地の維持・再整備の取組み―【ナシ他】(農事組合法人世羅幸水農園組合長理事・光元信能氏)―の3講演が行われた。
発表会ではまず、中央果実協会が「園地の集積・集約・整備主導の後継者・担い手育成事例の特長と課題」を説明。各産地では大規模な園地整備による担い手育成や、小規模な園地整備を進めて新規就農者や若手生産者に継承するなど、遊休園地の集約・整備や、水田・干拓地での果樹園造成等により、作業性・生産性の高い園地を次世代に継承しようとする動きが出ているという。それを踏まえて、果樹園地の整備の背景と課題として、中山間園地の特徴である▽園地規模が小さい(区画が狭い)▽急傾斜地、区画の段差が多い▽園内作業道がなく混植・密植園が多い▽まとまった単位の園地確保が難しい▽改植、新植の必要な園地が多い▽一般道へのアクセスが悪い―を示した。そして、大規模な園地整備には公共事業の実施、大規模な改植、新植には未収益期間の経営安定の方策が必要と指摘。
また、大規模な園地整備に関する課題としては、▽遊休園地の集約・整備‥不在地主を含む園主の同意取り付けや未登記園地の解消が必要↓対象地区の選定や同意取り付け等の実施▽10ha(中山間地5ha)以上の大規模整備の場合、農地中間管理機構関連農地整備事業の活用も↓全額国庫補助等であるが要件のクリアが必要▽かん水施設整備‥土地改良区との調整▽入植者の確保と入植後の経営安定▽整備後の園地の維持・管理と次世代への継承―を示し、これらの課題をいかに解決するか全国で取り組まれている旨を紹介した。
一方、河野氏は大分県の事例を紹介し、県内果樹農業は、担い手が激減し、現存する担い手平均年齢も70歳を超え、2050年には果樹産地完全消滅のリスクもあると説明。新規就農者は野菜を選択しており、果樹の壁として(1)広い農地が必要(2)未収益期間の存在(3)技術習得が難しい(4)人力作業が多い―があると示した。一方で果実は全国的に不足気味で価格が上昇傾向にあり、強力な国産果実需要があると指摘。これらを解決すべく、大分県では果樹振興手法を大きく改定。(1)ターゲットの見直し=非農業者を対象に果樹ファーマーズスクールや研修講座などを設置し、受入れ体制を整備しているほか、積極的に企業へ参入提案。担い手の要望に応じて経営計画を提案するなどサポート(2)壁をなくす仕組みづくり=「農地確保」「苗木育成」「技術習得」を同時進行で進めて園地と人を同時育成し、未収益期間を削減(3)農地整備による入植地確保=農地調査~担い手候補に候補農地を案内~農地集積~整備同意~基盤整備~園地設計を地元で実施。担い手に応じた支援体制を構築しているという。
こうした手厚いサポートにより、県内では10年間で果樹新規就農者数が200名増え、特に非農家・異業種が急増。また、10年間で約200haの新植・改植を実施するなど果樹担い手が増えており、今後10年間で新植300haを目指すなどと語った。
最後に、講師らによる意見交換会を実施。「今後の果樹産地の方向性」をテーマに掲げて、地域を維持発展させていくために必要なことや、果樹特有の課題、難しさなどについて議論した。









