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令和6年9月23日発行 第3521号 掲載

地域農業と環境守る/四国農家ルポ・松本高秋さん

 愛媛県南西部に位置する宇和島市三間町。四万十川上流の1つである三間川が貫き、三間盆地を形成し水田地帯となっている。芳醇な水、保湿性の高い肥沃な粘土質の土壌、そして標高150メートルの盆地の昼夜の寒暖差が大きい気候は、食味の良い「三間米」の産地として知られている。
 同市で米を栽培している松本高秋さん(65歳)は、祖父の代から続く農家だ。高校を卒業してから、愛媛ヰセキ販売に入社した。ヰセキ中四国愛媛営業部の明賀昌幸部長とは同期になり、同社では10年勤務した。退社後は生活のために「給料の良い職を探して転々と渡り歩いた。最後にはトンネル工事までした」という。
 「子供の頃からお前は農家の長男だからと言われ続けてきた。そのため違う職種で働いていても、結局は農家に戻らなくてはならないという思いが常にあった。どうせ農家をするなら早めにやらなくてはと思った」と、42歳の時に就農した。
 しかし就農と同時に鉄工所で働き、最初は兼業農家をしていたという。「倉庫を安く建てたかったため、鉄工所に就職した。2年ほど勤め、一から技術を学んだ」と、土台を作り、柱を自分で溶接するなどして会社の人に手伝ってもらいながら、現在のライスセンターを建てた。
 倉庫を建設後、本格的に就農した。就農当時の栽培面積は2ヘクタールだったが、徐々に広がり現在は7・5ヘクタールとなった。米の品種と栽培面積は、コシヒカリ=4ヘクタール、あきたこまち=1・5ヘクタール、にじのきらめき=8アール、雄大21=8アール。
 販売先は道の駅がメーンである。「お客さんがついており、ご指名で買ってくれる」という。その他は、顧客に直接販売、また、ふるさと納税の返礼品としても出荷している。
 取材時の9月上旬にはすでに刈取り及び乾燥作業は終わっており、精米して出荷する作業の真っ最中だった。
 「通常刈り取り作業はお盆の頃に始まるが、今年は昨年より早かった」と、猛暑のため実りが早く、毎年刈り取りの時期が早まっているという。また今年は高温障害により、質も収量も落ちている。
 「特に『あきたこまち』が高温障害の影響を受けた。そろそろ愛媛では『あきたこまち』を作るのは限界かもしれない」と感じている。
 松本さんが使用している農機は、トラクタが50馬力と23馬力の2台(NTA503・TG23)、田植機が1台(PRJ8)、コンバインが1台(HFG447)で全てヰセキの製品だ。
 松本さんがヰセキのOBだということもあるが、三間町は井関農機の創業者である井関邦三郎氏の生誕の地ということもあり、松本家では祖父の代からヰセキの農機を使用してきた。
 担当しているのは、(株)ヰセキ中四国四国支社愛媛営業部宇和島営業所の高田季輝所長で、担当して8年目になる。
 「要望にも早く対応してくれ、よくやってくれる」と、長年の的確なサポートで厚い信頼を得ている。
 「道の駅みま」では、8月下旬に新米祭りが行われた。そこで新米を販売するが、今年は驚くほど売れたという。「新米、コメ不足の影響」などの理由でお客さんが殺到した。
 「最近は、近所の人が、都会に住む娘に米を送りたいから分けてくれと言ってくるようになった。父の代からずっと見てきたが、こんなことは初めてだ」と、昨今の「令和の米騒動」を体感したという。
 これまで大変だったことを伺うと、「顧客探し」と答えた。就農して米の販売先を探すことから始めたが、なかなか見つからなかったという。
 就農して数年たち、近所に「道の駅みま」がオープンした。そこで販売を始めてみたが、1年目はそこそこの売上げで、満足いくものではなかった。しかし2年目に台風の影響で刈り取りができなくなり、新米まつりに多くの農家が出荷できない事態となった。すでに刈り取りを終えていた松本さんは、新米まつりに出荷することができた。「出荷できた農家は数えるほどだったため、飛ぶように売れた。倉庫から何回運んだかわからない」と振り返る。
 「そこでうちの米の美味しさを知ってもらうことができた」と、それ以来、松本さんの米を買いたいという顧客が増えたという。今では「うちの子供が、松本さんの米しか食べてくれない」という声が届き、松本さん自身の励みになっている。
 今後の目標を伺うと、「地域の農業、土地、環境を守っていきたい」と語った。
 「誰かが土地を守っていかなくてはいけない。池や水路の管理は地元の者にしかできない。集落や地域を守るためにはその集落の者がいなくてはならない。私は65歳だが地域では一番の若手だ。私がやらなくては」と笑う。
 現在、松山で会社員をしていた長男が帰ってきて近所でキュウリ農家をしている。
 「独学で始め、就農して4年。今は、自分の仕事を軌道に乗せるのに忙しく別々に行っているが、地域を守るためにも、ゆくゆくは一緒に法人化したいと思っている」と、松本さん。
 美味しいお米を作り続け、地域を守る松本さんをこれからもヰセキの先進農機が支えていくだろう。

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