AIで病害虫診断/日植防がシンポ

一般社団法人日本植物防疫協会(早川泰弘理事長)は18日、都内千代田区の一ツ橋ホールで、シンポジウム「農業現場が求める病害虫防除の情報とは何か」を開催した(Web併催)。会場、オンライン合わせて700人以上が参加した。
最初に挨拶に立った早川理事長は、「本シンポジウムでは、病害虫防除に関して、農業生産現場にどのような情報が提供されているのか、また、ユーザー側にとってどのような情報が必要とされているのか、幅広い方々からご意見をいただき、今後の病害虫防除に関する情報提供のあり方について考えていきたい」と述べた。
シンポジウムでは、3つの講演、4人のパネラーによる情報提供、そして講演者とパネラーらによる総合討論が行われた。
最初の講演は、農研機構農業情報研究センターWAGRI推進室・二宮芳継氏と同農業AI研究推進室・山中武彦氏による「WAGRIが提供するAPIの説明と農業データアグリゲーションスキームの構築」。農研機構は、農業データ連携基盤WAGRIを開発。民間企業や官公庁、農研機構などが保有する農業関連のデータをWAGRIを通じて提供することで、生産現場に役立つインターネットサービスの開発を支援している。現在のWAGRI会員数は、ICTベンダーや農機メーカーを中心に111。二宮氏はさらなる普及を図るためにも、データを使って儲ける成功事例を多く作っていくことが必要だと述べた。
続いて山中氏が、WAGRIを活用した農研機構AI病虫害画像診断サービスを紹介。トマト、イチゴ、キュウリ、ナスの4作物でサービスを開始し、その後、ジャガイモ、ピーマン、タマネギなど8作物を追加した。さらに、診断だけでは現場のニーズに応えられないと、被害の原因と対処法の情報を提供するため、病虫害小図鑑と農薬情報のデータ提供も開始。山中氏は「AI病虫害画像診断・WAGRI病虫害小図鑑・WAGRI農薬情報提供の3点をセットで提供することで、農業生産現場にコミットしていきたい」と意欲をみせた。今後は、病害虫発生予測モデルの組み込みや、モデルアシスタントアノテーションを活用した精度向上に取り組んでいくとした。
続いて、兵庫県立農林水産技術総合センター淡路農業技術センターの神頭武嗣氏が、兵庫県における生産現場への病害虫防除に係る情報提供について報告した。JAなどから予察情報が提供された際の生産者の対応は、(1)主体的に自ら情報収集し、薬剤を選択・防除(2)近隣農家の対応を確認して模倣(3)緊急防除する手段がなく放置―の大きく3パターンに分かれるといい、(1)は意識が高い基幹的農業従事者、(2)は一般的な兼業農家、(3)は高齢者などが多い傾向にあるとした。今後の病害虫防除に関する情報については、ネットでの発信をベースにしながらも、ネット社会からもれている生産者へのフォローも重要だと指摘。また、生産者側からの情報提供ルートの創設などの必要性も提言した。









