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令和6年9月16日発行 第3520号 掲載

3年度スマート農業実証プロジェクト成果から/トラクタ・作業機特集

 農林水産省農林水産技術会議はスマート農業実証プロジェクトの成果について取りまとめてホームページに掲載している。ここでは、その中から令和3年度スマート農業実証プロジェクトにおける採択実証課題の成果報告の、主にトラクタ・作業機を使用したスマート農業事例をみる。
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 【令和3年度スマート農業実証プロジェクト成果】
 畑作〈(有)木樋桃源ファームほか(北海道津別町)〉
 ▽実証課題名=高収益作物普及を目指した5Gスマートトラクタおよびドローン画像認識技術による中山間地超省力化・リモート化推進実証
 ▽経営概要=矢作農場:12.16ヘクタール(うちタマネギ11.12ヘクタール、うち有機タマネギ1ヘクタール)うち実証区面積:0.8ヘクタール(有機タマネギ)/木樋桃源ファーム:200.03ヘクタール(うちてん菜66.87ヘクタール)うち実証区面積:13.86ヘクタール(てん菜)
 ▽導入技術=(1)てん菜褐斑病検知システム(ドローン・トラクタ併用)(2)鳥獣害対策ソリューション(kagatta、わな検知クラウド)(3)自動移植・除草トラクタシステム
 ▽目標=(1)てん菜褐斑病害検知システムの導入↓病斑画像認識率60%以上、農薬コスト15%減少(2)鳥獣害対策用罠設置および捕獲通知システム導入↓労働力の50%削減、被害額20%減少(3)スマートトラクタシステムの導入↓傾斜地での誤差5センチ以内で畝数6%増、除草作業時間約50%減少
 ▽目標に対する達成状況=(1)画像認識率(初期病斑含むすべてのもの)76%以上の成果となり目標達成。人の目に代わり自動的に病斑を検出し画像内の検出位置マークを付与する技術を高い精度で確立した。農薬散布量は約11%削減、費用は1%削減の成果となり目標未達。ドローンのセンシングデータと照らし合わせることで散布エリアを絞ることができ、部分防除を1回行い、430アールのうち139アールで散布を行った。
 (2)本来、捕獲用罠設置後は毎日見回りを行わなければならないが、罠にICT機器を設置したことで遠隔監視が可能になったため、労働力は65.8%削減で目標達成。被害額削減について、てん菜圃場における10アール当たりの被害額を比較した結果、被害額削減率は、鹿66.2%、熊マイナス913.4%、全体ではマイナス73.7%で目標未達。但し、被害面積の削減率は、鹿46.2%、熊5.0%、全体では30.5%となった。
(3)傾斜地での高精度な自動操舵による誤差2センチ以内の移植で隣接条間を短縮することができたため畝数は令和4年度で約12.9%以上増加した。また、スマートトラクタ導入前後の除草作業時間を比較した結果、削減率は57%で目標を達成した。
 ▽導入技術の効果
 てん菜褐斑病害検知システム:AI画像認識モデルを作成し、人の目に代わり自動的に病斑を検出し画像内の検出位置にマークを付与する技術を確立。トラクタは約84%、ドローンは約76%の画像認識率(初期病斑含むすべてのもの)を達成した。農薬使用量の削減は一定程度行ったが収穫への悪影響は見られなかった。
 鳥獣害対策用罠設置捕獲通知システム:実証区と慣行区を比較すると、実証区ではICT機器の活用により現場での見回り回数を減らすことができ、労働力削減率は65.8%を達成した。町内全体(実証農家含む)では被害額が増加しているが、実証農家のてん菜の被害面積は令和3年度から約30%減少しているので効果はあったと考えられる。
 スマートトラクタシステム:スマートトラクタシステムを導入し、除草作業時間の57%削減を達成した。また、高精度の自動操舵により、畝数の約12.9%増(令和4年度)を達成した。
 ▽事業終了後の普及のための取り組み=(1)ドローンおよびトラクタ、データ運用システムの改良・開発を行い、令和5年度から試作品の開発に着手する。また、ドローンの普及には一定の技術習得が必要であるため、幅広く事業参画を働きかける等の取り組みを行っていく(2)自然環境の状況変化による検知システムでの誤通知を軽減し、地域コミュニティ内における役割分担及び連絡フローの整理・合意によって更なる効率化を目指す(3)スマートトラクタ(除草用)について、開発及び販売を検討中。AIサーバーの小型化と通信コストの削減を目指す。
 露地野菜〈(同)重原農園ほか(広島県庄原市ほか)〉
 ▽実証課題名=多品目広域連携で実現させる「AaaS(農業版MaaS)」によるAI農機シェアリング
 ▽経営概要=477ヘクタール(水稲239ヘクタール、キャベツ100ヘクタール、大麦42ヘクタール等)実証面積:477ヘクタール(12生産者)
 ▽導入技術=(1)自動運転大型トラクタ(2)直進アシスト中型トラクタ(3)農薬散布用ドローン(4)自動運転アシストコンバイン(5)シェアリングシステム「AaaS」
 ▽目標=スマート機械の導入およびAaaSの実装により、実証経営体全体の機械導入コスト(農機具費/生産費)半減、生産面積10%増、売上高10%増、利益20%向上、労働時間5%削減
 ▽目標に対する達成状況=予約調整を先着順による受付ではなく、予約重複時に優先順位を決めるため、11項目にわたるポイントによって公平な差配を行うシェアリングシステム(AaaS)を実装し、シェアリング機械の利用実績は年間延べ556日に達した。機械の導入コストは15%減、生産面積は6.7%増、売上高1.0%増、労働時間は7.9%減。
 ▽導入技術の効果
 シェアリングシステム(AaaS)調整実績:各農機の利用希望を取って、重複した日程をAaaSで調整した結果7.8%調整できた。最終的には、スポット予約等で対応した。シェアリング効果の事例:ある生産者では、シェアリングにより、労働費や機械費等の比率が減少し、利益の比率が向上した。
 シェアリングに対する生産者の意見:直進アシストトラクタでは、未習熟者でも、真っすぐ進め耕うんなど重ね幅を縮小でき、また播種、マルチング等でもきれいに効率よくでき効果があった。今後、シェアリングが進み、このAaaSシステムの予約調整をもとに差配調整すれば事務的作業が軽減されると考えられる。農機具のシェアリングは、新規就農者や小規模生産者にとって、高い農機具を買い揃えずに農業が行えるため、機械導入のハードルを下げることができる。
 ▽事業終了後の普及のための取り組み=今後、新たなメンバーを加え、スマート農機のほか生産者が保有する遊休農機も含めたシェアリングを行うことで農機具に係る初期投資を軽減し、スマート農業機械等を最大限利用していく。AaaSシステムについては、実証終了後も準備室を中心に、より現場ニーズや課題解決に資する機能を追加・改善する等改良を行いたいと考えている。

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