全農耕種資材部・名取伸治専任部長に聞く/特別企画 JAグループ農機事業の今とこれから

――農機ご担当については、お帰りなさいというところですね。
名取 本所の農業機械課長から平成31年4月に本所経営企画部JA支援課、令和3年に大分県本部管理部、また、4年には大分県農業協同組合に出向し、今年4月から本所耕種資材部となりましたので、5年ぶりに戻ってきたことになります。農業機械の仕事は現場と最も密接に関わりがあり、この間、私自身より広い視点から農機事業を見られたことで、変化が大きい日本農業のこれからを支える上で農機の役割はますます重要になってきていると感じています。今後は、他部門や現場との連携による相乗効果の創出がこれまで以上に期待されており、そうしたことが新たな取り組みにもつながっていきますので、全農、JAグループの強みを生かしながら農機事業を仕組んでいきたいと考えています。
――今年度は今次3カ年計画の最終年度で、次期中期計画を策定する年にもなります。
名取 農機事業としても目標の仕上げをしっかりと進めていかなければいけません。また、農業や農機事業の将来を見据え、これまでの成果を踏まえながら新たな計画にチャレンジしていきたい。今年度については、全農全体で掲げている戦略に基づき、農機事業ではとくに生産振興や事業体制の取り組みの大きな柱として、(1)ICT搭載農機等への対応(2)生産者のコスト低減に向けた対策(3)農機事業一体運営の拡大(4)広域部品センター体制の拡大(5)広域事業所体制の構築(6)整備事業の機能強化(7)システムのクラウド化による業務効率の向上(8)人材育成と人材確保の検討・実施―を重点実施策とし取り組みを進めています。
――一体運営については。
名取 今年4月時点で22県79JAが参加しており、事業運営に係るマネジメントの強化や拠点体制の再編などの運営改善の取り組みを通じて収支の改善、サービス機能の強化に成果が出てきています。環境を勘案すれば、事業運営をより効率化していくことが求められますので、全農としては一体運営で先行しているJAにはより事業の高度化が図られるように取り組んでいきますし、参画していないJAに対しても運営改善・機能強化に向けた取り組みをしっかり支援していかなければいけないと考えています。
具体的には、平成31年4月に中四国広域農機事業所を設立し、令和6年度現在、管内6県域の参加の下、農機事業一体運営と県ごとの業務を中四国エリアで集約させ、広域レベルでのより効率的な事業体制の構築にのぞんでいます。また、令和5年度は島根県でJA全農島根農機サポート(株)を7月に設立し、11月から新しい事業体制でのサービスを始めています。これまでは、従来の全農からJAへの卸による事業、一体運営での事業、JA子会社での事業と、3つの形態がありましたが、会社設立によりこれらを一本化して、全農がJAしまねから農機事業を経営受託し、新会社へ業務委託するビジネスモデルとなっています。
――農機事業の体制づくりのポイントは。
名取 現在全国で7カ所に設置した広域部品センターがあげられます。複数県域をカバーする広域部品センターに集約・再編することで、豊富な在庫アイテムと効率的な受発注・配送体制を築き、高い即納率などの機能を発揮することができ、修理整備事業のバックヤード機能として、多くの利用JAから高い評価を頂いています。現在の体制でほぼ想定するエリアをカバーできましたので、今後は参加県の拡大を段階的に進めていきます。
また、いま全農では省力化、低コスト技術に対応する農機の提案、あるいはZ―GIS、ザルビオなどの営農管理システムを利活用できる機械の提案を軸に取り組みを進め、一方、高性能農機の取り扱いができる農機センターなどの拠点の整備・機能強化を図っているところでして、さらには生産現場に欠かせない農機の適正導入、中古農機の活用などにも引き続き取り組んでいきます。これらすべての項目に共通して、それを支える人材の確保・育成も大きな課題になります。
――共同購入農機第3弾のコンバインが4月から出荷されています。
名取 共同購入コンバインYH448AEJU(4条刈)については、今後約3年間で1350台の供給目標としていますが、今年1月からの受注開始以降、想定以上の動きになっていますので、生産者からは評価を頂けていると考えています。これまでの第1弾、第2弾のトラクタは当初計画を超える大きな成果を得ることができました。加えて業界全体でも同クラスの売上が増加傾向だったとみています。共同購入農機が市場全体に与えたインパクトはとても大きなものがあったと思いますし、われわれの進めるコスト低減対策を目に見える形で出すことができたともいえます。共同購入の提案を通じて、経営規模の拡大や農業を続けていこうという方が増えることで、生産基盤の維持にもつながると期待しています。









