MENU
令和6年9月16日発行 第3520号 掲載

水田飼料作シンポジウム開催/近畿農政局など

 近畿農政局、一般社団法人日本草地畜産種子協会ならびに近畿地域飼料増産行動推進会議は6日、オンラインで近畿耕畜連携イニシアチブ「水田飼料作シンポジウム」を開催した。耕畜連携による水田飼料作物の増産を図るべく、特に稲発酵粗飼料にスポットを当てた形で実施したもので、これには全国から約60名が参集した。
 開会に当たり挨拶した近畿農政局の犬飼史郎次長は、6月に成立した食料・農業・農村基本法では引き続き農業の持続的な発展を図るとともに、農業生産活動における環境負荷低減活動や食料安全保障の確保が求められていると指摘。このためには、畜産飼料について、引き続き過度な輸入への依存からの脱却を図っていくことが課題であるとし、耕畜連携を図ることは重要な政策課題であり、本日のシンポジウムが持続的な農業の発展の役に立てれば幸いだと述べた。
 続いて講演に移り、▽飼料作物をめぐる情勢について(農林水産省畜産局飼料課課長補佐・野中陽子氏)▽耕畜連携に向けた極短穂型WCS用イネの活用展開(日本草地畜産種子協会飼料稲アドバイザー・新出昭吾氏)▽管内の取組事例1:中山間地域におけるスマート農業活用によるWCS用稲の生産(天王ナチュラルファーム会長・東正明氏)▽事例2:稲WCS・トウモロコシWCSの生産拡大による耕畜連携体制の構築(滋賀県甲賀農業農村振興事務所農産普及課主幹・竹若与志一氏)▽情報提供:飼料増産に係る取り組み(日本草地畜産種子協会)―が発表された。
 野中氏は自給飼料をめぐる情勢や水田を活用した飼料作物の生産拡大について、及び関連予算について説明した。令和5年度(概算)の畜産における飼料供給割合は、主に国産が占める粗飼料が20%、輸入が占める濃厚飼料が80%となっており、飼料穀物のほとんどは輸入に依存している状況。持続的な畜産物生産のためにも、国産飼料の生産・利用の拡大を進めることが重要であり、飼料自給率を令和5年度の27%から12年度までに34%まで引き上げる目標を示した。
 そこで、水田における飼料用米・WCS用稲の生産拡大などを推進しており、水田活用直接支払交付金や飼料自給率向上緊急対策、飼料増産・安定供給対策などの事業で飼料生産基盤に立脚した持続的な畜産経営を推進していくと語った。
 一方、東氏は大阪府最北端にある中山間地域の天王集落で集落営農に取り組んでいる天王ナチュラルファームの取り組みを紹介。2017年7月2日に設立した同組織は農地約20ヘクタールを集約して地域農業の中心を担っている。取り組みの一環として極短穂茎葉型品種の「たちあやか」を用いてドローンによる飼料用米の直播・追肥・除草剤散布を行うスマート農業を実施しており、また、稲WCSは汎用型微細切断機及びラッピングマシーンでロールベールにしているとした。
 令和5年度は実証の結果、収穫量は10アール当たり2100キロ(7ロール)となり、単価水準は35円/キロと出され、これは近畿地区内での稲WCSの取引価格に近いなどとされた。品質においても調査した大阪府家畜保健所から良好な栄養価の報告が出されたという。
 6年度の稲WCS収穫物については、集落内6戸の農家が参加し、作付け面積16ヘクタールで展開。一方で、今後の課題としては約20ヘクタールだとしても1人での収穫は限界がある一方で、耕種農家が飼料用米を作付けするにはまだ時間が必要であり、今後畜産農家の需要は高まるが、耕種農家の参加がまだ難しいことなどと指摘した。

カテゴリー別最新ニュース