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令和6年9月16日発行 第3520号 掲載

低コスト機でスマ農推進/埼玉ロボネット研究会

 埼玉県と公益財団法人埼玉県産業振興公社は8月27日、さいたま市の新都心ビジネス交流プラザで「令和6年度埼玉ロボネット分野別研究会(農業編)」を開催した。
 同研究会は、埼玉県が整備している「SAITAMAロボティクスセンター(仮称)」の令和8年度中の開所に先駆け、ロボット開発に関わる多様な主体が協働することを目的に企画されたもので、農業以外にも、介護や物流など分野別の取り組みが進められている。
 今回の農業編では「農業ロボットの社会実装とスマート農業への参入について」をテーマに、宇都宮大学工学部教授で同大学ロボティクス・工農技術研究所(REAL)所長の尾崎功一氏と、アイアグリ(株)経営企画室の坂本和彦氏が講演を行った。
 尾崎氏は「農業ロボットの社会実装チャレンジ」と題して講演。まずは自身が所長を務める宇都宮大学ロボティクス・工農技術研究所について、研究者が社会実装にまで取り組み、ユニークなロボット技術で農業のオープン・イノベーションを加速させることを目指す施設であると紹介。その後、数々のプロジェクトの中から、尾崎氏が中心となって進める農業支援ロボットプロジェクトを紹介した。2003年にイチゴ収穫ロボットの研究を開始。イチゴ摘みロボットから始まり、2018年には果実にふれずに収穫できるイチゴ収穫ロボットの社会実装を実現した。
 現在は、そこから発展した分散協働型システムによる搬送用ロボットの研究開発に注力している。分散協働型にすることで、▽機能の追加・変更が容易▽ロボットの段階的な導入が可能▽運用・更新が容易▽複数企業による分散開発が可能―などのメリットがあるという。また、部品の共通化などで汎用性を高め、低価格化を推進。これらの技術を活かし、ナシ収穫支援ロボット、花き管理用ロボット、剪定枝収集モジュール、薬液散布補助モジュールなど、様々な農業向け移動ロボットの社会実装を進めている。その際の課題として、低コスト化(生産者側)と収益の確保(提供側)をあげ、適正価格の検討が重要だと指摘した。
 現在、ロボティクス・工農技術研究所ではプロジェクト制の実践型研究開発を進めており、研究室で先端的な研究を行い、大学発ベンチャーが実践技術を検討する―という例が多数あるとし、今後の農業ロボットの社会実装に向けて、自信をのぞかせた。
 続いて、アイアグリの坂本氏が、異業種からスマート農業に参入する際のポイントについて講演した。同社は「農家の店しんしん」による農業関連商品販売事業のほか、農業支援事業や青果物流通事業なども行う。農家の減少や高齢化を背景に、スマート農業の必要性を感じ、異業種ながら、農業用ドローンの教習、販売、導入支援、機体整備・点検を一気通貫で行うサービスを展開。さらに、自動操舵システムや除草用ラジコンボート、環境センシングデバイスなどのスマート農機の実演会を通じて認知拡大にも取り組む。
 このような実績から、異業種がスマート農業に参入する際のポイントとして、▽会社の方針が明確であること(スマート農業推進に向けた投資判断に基づく体制構築と活動理解が必要)▽会社の強みや特徴が活かせる・伸ばせること▽農林水産省の施策を利用者目線で活用できること―をあげた。顧客第一主義でコスト削減や省力化に貢献することや、スマート農業の情報発信基地になることで、「農家のベストパートナーとして、スマート農業振興を目指したい」と意欲をみせた。

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